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部屋に用意したスライムさんに埋もれるようにして座り込むと目の前に複数の窓を開いて現在の情報を表示する。学園のマップ、寮のマップ、確認が終わっている教職員や生徒の名簿。そしてスケジュール表。さあそれでは一つずついきましょう。まずは学園のマップから。これはわたしが通ったところが確定しているところということでいいのね?


『はい。屋外の寮周辺や教室周辺など、おもに通ることになるであろう場所は4号の支配下に入りました。今のところ抵抗もなく、このままであれば明日には拡張を終えられるかもしれません』


ほーん。それじゃあ散歩していても危ないことはないわね。それにダンジョン内に立ち入ってくれたらその時点でステータスだとか確認できるものね。ここまでは順調ね。


『授業開始に間に合いました。安全を確保し、そして行動の自由を確保しました。安心して学園生活を送れますよ』


そうね。良かった。今日の様子を見ていて改めて思ったのだけれど、わたし、目を付けられる可能性は高いわよね。さすがにいきなり暴力に発展するようなことにはならないだろうけれど、わたしは世間を知らないからね。クレーベルさんやハイネさんを見る限り、問題はありそうだったから。うーん、あれはどういう話になっていて、どういう対応をするように言われているのだろう。

『敵対するようであれば排除しましょう』

いやー、それは最後の手段にしようよ4号ちゃん。わたしも暴力には暴力、さっさと一発かまして思い知らせようとかは考えるけれどさ。


『私たちにとってヒトを行方不明にすることなど簡単ですからね。ですが平穏であれという方針も承知しています。カラスのフンが降ってくる、石につまずく、部屋の鍵が折れる、ペンのインクが切れる、答案用紙の名前が消える、財布をなくす、報復は控えめにしておきましょう』


名前が消えるのは怖いな。まあいいや。ダンジョン化が完了してしまえばわたしは無敵だからね。多少のおいたは、許しはしないけれど反撃するにしても適度でいいのよ。やっぱり学園では楽しくすごしたいからね。

さて、それでは教員と生徒の名簿を見ていきましょうっと。んー、教員は1年生担当だけだね、あ、2ページ目がそれ以外か。おっけーおっけー、んー、学年主任さんやっぱり完全に”学校の先生”だわね。知力がとても高い。体力そこそこなのは激務に耐えるためなのか。そしてそれ以外は普通。ジョブが王都学園勤務の1学年統括主任、クラスがエキスパートでスキルも学習と指導関係だし、ばっちり立場に合った人だわ。副主任の先生も似たような感じ、それ以外の先生もまあ担当に見合ったスキル構成になるのかな。

それで、おー、あのいかにも武闘派な人はパラディンじゃないのよ。しかも覇道と来たわ。ん、男爵か。えーっと、経歴経歴、ん、軍で実績ありで男爵まで昇ってきて、退役して学園にね、なるほど。で、魔法使いの人はどうなのか、と。ウィザード、戦闘魔術、わは。これは確かにスキルを磨いてどうこうになりそうね。従軍経験なし、どころか戦闘経験が少なそう? うーん、レベルと経歴が合っていないな。これは机上と訓練でここまで来たタイプかも。よし、教員はこんなところね。

次、寮の管理人さん。貴族なのは聞いていたけれど、本人が騎士爵持ちじゃないのよ。え、実績は? 経歴は? うは、本物、軍ではなく王城勤務、つまり騎士団にいた人。あ、籍はまだ騎士団なのね、うわー、問題があったら頼って何の問題もない人をおいているのか、すごいな女子寮。寮のそれ以外の職員さんは管理人さんの従者だって言っていたけれど、もちろん騎士の従者なわけで。これってやっぱりあれか、不埒者を蹴散らせるようにか。そして寮内で問題が起きても対応できるようにと。いやー、すごいわね女子寮。

男子寮も当然同じパターンよね。うん、管理人さんは普通の人に見えるけれどきっちり騎士だし、従者に思いっきり見たまま騎士っぽい人をおいている。これは女子寮よりも暴力沙汰の発生を警戒してのことなのかな。


教職員の確認はこんなところとして、ここからは生徒の確認ね。マップの各部屋に名前が入っていて、名前が一覧にもなっていて、選択すると現在地が表示されて、うんうん。わたしの部屋がここで、隣がハイネさんで、階を切り替えてわたしの部屋の真上がクレーベルさんで、よしよし。

そしてまずは貴族組を見ていくのだけれど、当然クレーベルさんが筆頭だね。ヘルゼンバンド侯爵家の次女。ん? クラスがアリストクラート、高貴な者じゃないね。パラディン、ノーブルウォリアー。これはすごいんじゃないの。レベルはさすがに低いけれど、この年齢できっちりパラディンを育てている。もしかして家で訓練でもしていたのかしら。どれ、経歴経歴。うん、お父さん、侯爵様が古き者のパラディン、お母さんが秩序のクレリック。やっぱり家で訓練していたっぽいね。えー、お兄さんが国の中央で勤めていて、もう一人のお兄さんとお姉さんが学園にいると。まあこれ以上のことは仲良くなってから直接聞きましょう。クレーベルさんの状況に問題がありそうなのは、本人はともかくとしてその隣の部屋が空き部屋なことで察せられる。これ、従者を連れてくることができなかったんだ。人手の問題か、それとも金銭的な問題か、何かあることが確定ね。

その空き部屋の隣が伯爵家。ユークサーナン州のアントザーナ伯爵家。国の南側に位置しているのでセルバ家との接点はない。その従者枠の部屋が2つあってから、トーレデント州のダスカ伯爵家。ハイネさんの親に当たる家だね。セルバ家の東隣になるので接点は多いはずなのだけれど、わたしはよく知らない。肝心のハイネさんのフェストレ家というのはやっぱり子爵になるようなのだけれど、モンスレーという土地を知らないのでこれまたよく分からない。ハイネさん自身は普通にアリストクラートを持っていて、能力値も平均して高めにそろっている。スキルは、うはは、緑の指を持っている。これ、たぶん後から生えたタイプのスキルだね。一番上にある家事系のスキルが最初にあったものじゃないかな。ということは植物が好きなタイプで、仲良くなっておこうという判断は間違っていなかったのだ。

こんな感じで女子寮のおもな貴族は侯爵が1、伯爵が2ということになる。その3家の従者枠を含めて3階が埋まっている形。その次にわたしが来て、そしてその次がハイネさんだからフェストレ家は結構いい家なはず。その次も子爵家なので全部で子爵が3だね。ハイネさんも従者枠がないのだけれど、最後の子爵家は従者枠を2つ確保している。これはすごいね、単純に頑張ってしまった結果か、それともわたしやハイネさんに対する当てつけか。その次からは男爵になって、それ以外が続いてとなる。まあまあ数が多いぞ。全部覚えていられる気がしないので、いざとなったら頭の上にネームプレートを表示してもらおうそうしよう。


さあさあ次は一般市民組ですよ。注目は例の虹色の子、それから宗教関係者。もちろん大きな商会だとか工房だとか、それ以外にも知っておくべき人はいるだろうけれど、さすがにそれはおいおいでいいでしょう。

虹色の子はー、これだな。リリーエル・ウォーカー。ストール州、かっこ、アメリカ合衆国カンザス州レブンワース市、かっことじ、出身。うん。初めて見たわ。これ、たぶん転移者だね。転生ではなく、転移でしょう。経歴を、うんうん、学校帰りに行方不明になったのね、そして町の片隅でたたずんでいるところを教会関係者に保護された。2年前のことか。8歳でこちらに来て、教会で学んでそれから学園へ送り込まれた。一緒にいた宗教関係っぽい2人は監視役か付き人か。それにしても持っているクラスがすごいな。コモナーが設定されているけれど、それ以外にブレードシンガーのウィザード、運命のクレリック、創造のバード、原始のドルイドが全部レベル1である。問題のギフトに神の寵愛、そしてスキルに全属性があり、秩序と混乱と創造と破壊がある。これはすごい。何でもできるし何にでもなれるよ。寵愛が良く分からないけれど、全属性ということと併せて虹色になったのだろうけれど、秩序と混乱、創造と破壊をセットで持っているから育て方を間違えると悲惨なことになるのだろうね。今のところ人となりが分からないから何とも言えないけれど、見た感じは悪い印象は受けなかったし、趣味のところにマンガ、アニメ、ゲームとか書かれていてこれは仲良くなれるのではと思ってしまった。問題になりそうなのは宗教が絡むことと、一緒に動いていたグループに普通に貴族もいたことかな。

それ以外にも宗教関係者は男子寮の方に6人いる。教育のためなのか布教のためなのかは良く分からない。それでも十分な人数だと思うし、そこに信徒を含めれば、そして全学年を合わせれば、それこそ一大勢力を形作ることになるだろう。もしかしたら貴族組全部よりも多いかもしれない。国と宗教の関係が問題なのだけれど、やっぱりそういうことにわたしはうといので、今後の展開次第ですね。触らぬなんとかになんとやらな状況なら別にいいのだけれど、それでも虹色の子と比較はされるのだろうなあ。

もう一人の注目、キャルさんは。はい、獣人なのが確定。ネコ系だね。帽子をかぶったままだったのは耳を隠したかったのでしょう。クラスがアーティフィサー、それもバトルスミスだ。あの戦う鍛冶屋、あのイメージでそれほど間違ってはいないというあれだ。レベルが2だから家か工房か、どれ、ああ実家はすでになし、両親は死亡、兄弟姉妹は不明、町の鍛冶工房に住み込みで手伝いをしながら生活していたと。なるほどね。うん、やっぱり仲良くなっておくということで決まりでいいでしょう。身の上のわりに人見知りというわけでもなかったし、もうすでにバトルスミスを持っているのだから何だったらセルバ家で勧誘して製法が内緒のあれやこれや作ってもらうのもありになる。うーん、これは掘り出し物を引っかけることに成功していたかもしれない。


さて、こんな感じでいいかな? いいね、いいよね。これで学園のダンジョン化も、教職員も、生徒のことも十分でしょう。今必要なこと考えなければならないこと知っておかなければいけないことはこれでよしとみていいでしょう。うん、よし。次はいよいよ3号ちゃんのダンジョンのことへいこう。今日はダイジェスト版だね。よーしよしよし。さあ再生しますよ。楽しみねえ。

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