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閑話 とあるボッチ女子の独り言

男の子って、なんであんなにいい匂いがするでしょうか?


と私、“伏満(ふしみつ) (はな)”は何度も思います。


ちょっと痩せてる子でも、ちょっとぽっちゃりな子でも、皆何故かいい匂いがするんです。

多分これは、私が変態なだけじゃなくて、多分女子全員に聞いても頷いてくれると思います。


でも、でもです。実は女子の中にも、男の子みたいにいい香りがする人がいるんです。


その人は───“春峰(ハルミネ) (ミナト)”ちゃん。


我が高校、《青峰学園》で“男女混合”のもと、密かに行われる人気投票大会。その中で男子に集まった票をぶっちぎり、圧倒的1位に輝いた美少女です。


にも関わらず、共学であるためにかなり高い偏差値を要求するこの高校に置いてトップクラスの成績を収めていますし、身体能力に関しても、同年代の私達じゃ叶わないくらい良いです。

そしてなにより……めちゃくちゃ優しくて可愛いんです。


分け隔てないって言うんでしょうか?

違うクラスですけど、たまに陰キャの私に話しかけてくることがあります。


「あっ、僕華ちゃんのRAIN持ってないや……ってことでこーかんしよ?」


なんて、しれっと言ってくるんです。


私が重いものを運んでる時とかも、クラス合同のグループワークの時に仲間が作れなくても、彼女はいっつも私を助けてくれるんです。


にしてもやっぱりあの笑顔は反則ですね、はい。性癖が歪むので責任取って結婚してください、って思わず求婚しちゃったくらい可愛いです。

いえ、もっと分かりやすく言うと、陰キャの私が危うく浄化されて陽キャになるくらいでしょうか?


……それはないか、うん。


まぁ兎も角です。


なぜ私がこんなことを思い出したのか、それは私に───友達が、出来たからです。


信じられるでしょうか?

ボッチの私に湊さん以外の友達が出来たんです。違うクラスの子なんですが、その子の名前は、“遠野(トオノ)(リン)”ちゃんといいます。おっパイ大きいです。


私も大きい方なんですけど、こう……爆乳です。

男性の中では、胸が大きい女性はあまり好ましくないらしいですが、なんで世の中の男性は胸の良さが分からないんでしょうか?


………おっと、ついモテない怒りが。


話を戻しますと、なんと今日はその子と一緒に駅まで遊びに行く日なんです!


なんでも、華は気飾れば可愛くなるんだから、かわいい服のお店紹介するから一緒に行こう?


なんて可愛らしく言ってくるものですから、正直鼻血が出るかと思いました。

だって凛ちゃんが話すたびに、おっパイが上下左右に振られて、思わず凛ちゃんの頭が三つあるのかと錯覚したくらいです。


なるほど、これがケルベロスですか……なんていう私の呟きが凛ちゃんに聞こえてなくて本当に良かったと思います。


さて、そんな私ですが……現在、駅の近くの公園で凛ちゃんを待っています。


集合時間は17時。


ですが私はその30分前に来てしまっています。もちろん凛ちゃんはまだ到着していません。


早く来すぎて不安になり、ちらっと周りを見渡せば、私なんかよりオシャレで可愛い女性達がわんさかいます。


「アホです、私アホです……」


やばいです。

早速私の場違い感出てます。


エマージェンシーエマージェンシー、此方華、我場違いなり。と凛ちゃんへ打ち込み、応援を要請します。


さすがに私一人だけでは戦力が足りないようです……くっ、これだから陽キャはッ!


……まぁでも正直そんなことどうだっていいんです。


このまま凛ちゃんの到着を待つのに、私はどのように過ごすか?それが今の私に課された議題です。


素直にスマホをいじくるってのもありですが、それだと何か感じが悪いというか……私は他人と遊びに行くことがない上にかなりの陰キャですので、こういう時の暇の潰し方がどうすればいいか分からないです。


なんて虚しいんでしょう。


「うーん、適当に周りの風景を楽しむ……私に出来ることはこれぐらいしかないですね……」


近くのベンチに座ってブラブラと足を揺らし、私と比べたら月とミジンコレベルの凄く綺麗なファッションをしている女性達を眺める。

なんて暇なんでしょう。


いっそ、湊ちゃんでも目の前を通れば楽しいの……に………?


え、あ、あれ?


「あれってもしかして……湊ちゃん?」


私はもしかして幻想でも見てるんでしょうか?


そう思って目を何度も擦りますが、目の前で堂々と歩く湊ちゃんの姿は変わりません。そして何だか後光が差しているような気がします。


うっ、眩しいっ!?それに何かいい香りする!?


「くっ、この眩しさと(かぐわ)しい香りは間違いなく湊ちゃんですね、間違いないです!」


にしても何て可愛さ……いえ、綺麗さでしょう?

学校にいる時はあんなにふわふわして可愛いのに、今日は何かカッコよくてキリッとしてます。


あぁ、また私の性癖がぁ……。


「ていうか凄いですね、何ですかアレ。モーセの十戒か何かですか?」


湊ちゃんが歩く度に、周りにいたオシャレな女性達の人混みがわぁっと縦に割かれ、まるで海を割ったモーセのように湊ちゃんは堂々した立ち振る舞いでまた歩いていきます。


そしてその光景は、私が湊ちゃんの姿を追えなくなるまでずっと続いていました。


って、何頬赤く染めてるんですか貴女達?湊ちゃんはあげませんよ!!


がるるるっとばかりに威嚇する私。

いやまぁ私如きじゃ勝ち目はないんですけどね?


「ごめーん、お待たせしちゃった?」


おっとここで私の友が到着したようです。大きい胸を上下させて、目尻を下げて私に微笑みかけます───うん、流石ですね。今日もおっパイおっきいです。


「いいえ、待ってないですよ!今来たとこですし」


できる女、伏満 華。

友を不快にさせるほど私は落ちぶれちゃいないのですよ。


「そ、そー?じゃあ行こーか!」


「えぇ、そうしましょう!」


───


「つ、疲れましたぁ………ッ!」


ぐでぇ、と全力でオシャレな喫茶店のテーブルに伸びをすると、疲れを噛み締めた言葉を吐く。


「ん、そーお?私はまだまだいけるかなー」


対して我が友はどうやら経験豊富な様子。まぁ、私の服とか色々買ってくれたので何の文句も言えないんですが。


疲れた以上に楽しかったですしね。


「飲み終わったら出ましょうか」


「んー?分かったー」


私がそう言うと、凛ちゃんはちょっと残念そうな顔をした後に買ったビニールの袋を抱えて立ち上がる。


って、結構な量あったのにもう飲み終わったんですか!?


まぁでも、言い出したのは私なので少食な私なりに急いで、ふらぺちーの?とかいう飲み物を飲み終えた。


その後はお店を出てすぐ近くのエスカレーターまで歩く。


私も凛ちゃんもかなりの大荷物で移動が少し遅いけど、ゆっくり行く方が体力的にありがたいですね。


そう考えながら、エスカレーターに乗って下に下りようとした時でした。


「あれ?もしかして華ちゃん?」


………えっ?


どこか聞き覚えのある声が聞こえたので、思わずエスカレーターの手前で止まってしまいました。


「あ、やっぱり華ちゃんじゃん!」


おうふ、あぁ神様……まさか、まさかまさか。


ゆっくりと後ろを振り向く。


するとそこにはやっぱり───「み、湊ちゃん!」


「華ちゃんも駅の方に来てたんだね!」


私の憧れる人である湊ちゃんが、にこやかな笑顔を携えながら私の方に歩み寄ってくる。


あっ、だめです!直視したら破壊力が高すぎます!あといい香りします!


ほら、周りの人たちも皆胸抑えてますよ!


「は、はい。ちょうど友達と一緒に」


「へぇ!いいなぁ楽しそうで……」


ヴッ、その寂しそうな表情もポイント高い!?

ヤバいです。非常にヤバいです。


破壊力が高すぎて、鼻血が出そうです。あといい香りします!


なのにその本人はまるで自覚がないように、「ん?どしたの?」なんてニコニコしながら微笑みかけてきます……なんて罪作りな女の子なんでしょう!


是非結婚してくださいですますわ。


……おっと、危ないです。

陰キャが陽キャに染まるところでした。


「むー。華ちゃんその人だれー?」


とここで新たな刺客が、拗ねたように私に話し掛けます。


くっ、ちょっと不満そうな顔が絶妙にキュート!


……あぁ、ヤバいです。命の危機ですよ私。

こんな天使たちに囲まれたら、ただの人間である私は生きていけません。


こんな聖域(サンクチュアリ)が実在していいのでしょうか?


でも今はそれよりも、拗ねた凛ちゃんに湊さんを紹介しようとするも、鼻血が出そうなのをこらえることしかできません。


しかし湊ちゃんは私の様子を察してか、自分から自己紹介してくれました。


「あ、ごめんね?僕は─── 春峰(ハルミネ) (ミナト)。君が華ちゃんの友達であるように、僕も華ちゃんの友達なんだ!仲良くしてね?」


「………ふぇ!?あ、あの湊さんですかー?すごーい!私ファンですー!」


……いや、湊ちゃんのこと知ってたんですか。まぁ確かに、今の湊ちゃんは普段の湊ちゃんとはまた違う雰囲気を纏っていますけどね?


まぁそれでも、仲のいい人なら気づくでしょうね!ふふん!


「君は……遠野凛ちゃんだよね?」


「知ってるんですかー?」


「え、うん!これでも一年生の皆の顔と名前は全員覚えてるつもりだよ?」


え、何ですかそれ?


一年生全員で800人いるんですけど……覚えてるんですか?凄すぎません?


「あ、でも……僕がこうして駅に来てることは秘密にしてくれないかな?ほら、僕たち三人だけの秘密ってことで……ね?」


と、付けていた黒いマスクとキャスケットを外して、パチッとカッコよくウィンクする湊ちゃん……。


お、おうふ……ウィンクって、そ、それはまさか、超絶美少女にしか許容されていないという伝説の!?


でも湊ちゃんなら許される!いや、私が許す!

だってむしろ様になってるんだもん!


「ふ、ふぁい……」


あ、落ちましたねこれ。


まぁた湊ちゃんはそうやって、ノーマルの子をその道に落とすんですから……ところでさっきのウィンクもう1回私に向けてやってくれません?


と、私が鼻を抑えながら念じますが、願いは通じず───「あっ、もうそろそろ門限だから、僕先に帰るねー!二人ともまた明日ー!」───といって、私達に手を振って去っていく湊ちゃん。


いやぁ、去り際も様になってますね。


……あ、鼻血が治まってきました。


「よし、それじゃあ帰りましょうか!」


「………へっ!?そ、そうだねー」


あちゃー。


凛ちゃんはどこか心ここにあらずといった感じで虚空を見つめてます。

あれは重症ですね……..


けど、湊ちゃんなら仕方がない気がします。


「今日は楽しかったですよ」


「うん、私もー……噂の湊ちゃんにも会えたしー。何より、華ちゃんと一緒に、遊べて楽しかったよー?」


全く、凛ちゃんはどうしてこうも恥ずかしいセリフを吐けるんでしょうか?


「そうですか……なら、また一緒に行きましょう」


「もちろん!また一緒に行こー!」


「約束ですよ?」


「うん!」

皆さんの応援のおかげでかなり早いペースで更新出来ました!たくさんの感想を頂きありがとうございます!


本来は不定期のつもりでしたが、毎日更新のようになっているのは、皆さんの感想と応援のおかげです!本当にありがとうございます!!


イラスト貼っておきます!


コミュ障目隠れ巨乳の伏満華ちゃん

{IMG113004}


新たなる刺客!おっとり爆乳な遠野凛ちゃん

{IMG113006}

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