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28話 俺は星翔先輩に尋問する

月宮 つきみやじん主人公

黒鐘 詩音くろがねしおんクラスメイト

古枝 路未央ふるえだろみお吹奏楽の部員で捜査に協力している。

星翔流星ほしかげりゅうせい容疑者の一人。悪ガキ。

隅影 すみかげまこと 容疑者の一人。陰キャ男子


「俺が容疑者の1人か……」


意を決して俺は星翔先輩が容疑者の1人ということを伝えた。


反応は、悩むように腕を組み、星翔先輩は目を瞑る。


さーしっかり観察しろ、もし犯人だったら絶対犯人たる証拠を見せるはずだ。


「俺が夢パイセンの事をからかっていたからか?」


星翔先輩は確認するように、だが誰に向かって言ったのか分からないが言った。


そんなこと当たり前だろう。他になんの理由があるのだ。それとも、なにか疑われる心当たりが他にもあるのか?


「はい、星翔先輩が容疑者なのはその理由です」


「まぁそりぁそうか……疑うのも無理ねぇな、だけどよ、疑うのは勝手だが、もし俺が犯人じゃなかったらどうすんだ?」


どうするも何も、謝る以外になにかすることがあるだろうか。確かに星翔先輩が犯人じゃなかったら無駄な時間を取らせたことにはなるが、だからと言って特別何かをする必要は無いと思うが。


「え、えーっと、犯人じゃなかったら謝罪します!」


「それだけか?」


黒鐘は俺の思っていることを代弁するように言ったが……星翔先輩は何を望んでいるんだ?まさか金とかそういうので謝罪しろって言うんじゃないだろうな。


「…………謝れば何してもいいなら警察はいらねぇんだよ!」


星翔先輩は怒鳴るように、そして、楽しむような冗談混じりに言う。


何この人急に叫んで、怖い。


「さっきと聞きたいこと聞け」


と思ったら今度はそんなことを言ってくる。


よく分からない先輩だ、通りで嫌われる訳だ。世の中よくわからんやつは無視されるか避けられるか嫌われる。


さて、では先輩からのお許しも貰えたことですし、やってきますか。


「じゃあ……まず、先輩は事件当日の部活終わりはどうしましたか?」


「部活が終わった後は仲良いヤツらと帰ってぜ、だからそいつらに話聞けば俺が無実ってことはすぐ分かる」


と、星翔先輩は自信ありげに言う。


ふむ、友人と一緒に帰ったか……それが本当ならその時点で先輩に犯行は不可能となり、犯人では無くなる……か?


「その一緒に帰った人とは、よく一緒に部活をしている人達ですか?」


「そりぁそうだ、それ以外に誰がいんだよ」


星翔先輩は吹部中に存在する少人数の男子グループのリーダー的存在らしい。


その人達と帰ったのならば、もしかしたらそいつらもグルで嘘の証言をする可能性はある。


「そもそも先輩はどうして夢先輩の事をからかっていたんですか?」


おっと黒鐘、その質問するか。夢先輩をからかっていたそもそもの理由か。それはそれで重要だが、俺は星翔先輩を恐れて聞けずにいた。


「そんなの面白いからに決まってんだろ」


星翔先輩はケラケラ笑いながら話す。


「夢パイセン可愛いしからかった時の反応がマジで面白いんだよなー、怒ってるつもりなんだろうけどぜーんぜん怖くないし、だからこそ、俺が犯人な訳なぇんだよ」


星翔先輩が夢先輩をからかっていのは、嫌いとかウザイという理由ではなく、その逆、好きだからという理由だった。


よくある話と言えばそうかもしれないが、自分を見てもらうためにあえて嫌なことをする、言葉で伝えられない人はこういうやり方で好きな人の注意を引く。


だが、だからといって容疑が晴れたとはならない。


むしろからかっていたが、どれだけ続けても相手は嫌がるだけで関係は悪化するだけ、それに嫌気がさして誘拐をした可能性もある。


「聞きたいことはそんだけか?」


星翔先輩は自分に疑う余地は無いと確証したのか、ダルそうな口調で言った。


「そうですね……はい。わざわざありがとうございました、ですが、明日、星翔先輩の友人に少し話を聞きたいと思います」


「あぁ、別にいいぜ、それで俺がやってないことは確定するだろうからな」


まぁまだ容疑者は二人残っている。犯人かどうか決めるのはそっちの事情聴取もしてからだ。


俺達は席を立ち、音楽室から出ようとする。


すると、星翔先輩は思い出したように声をかける。


「あ、そういえば路未央、石垣パイセンが探してたぞ、教室にいるからいってこい」


そう言うと、路未央は「あ、はい」と、呼ばれたことに少し驚いているような声を出す。


「では、失礼しました」


俺は一応そう言ってから、音楽室から出た。



「石垣先輩って、容疑者の1人だよね、路未央、石垣先輩と話したことあるの?」


音楽室を出てからすぐに黒鐘は俺も聞きたかった質問を路未央にした。


路未央の反応的に美由希先輩と話したことがあるのかは微妙だが、呼ばれたことは無視できない。


一応美由希先輩は容疑者の1人、そんな人からの呼び出し、まさか、バレた?いや、それは無いか。


バレたならわざわざ路未央に言う必要は無い。呼ぶなら黒鐘辺りが普通だろう。


「いや、美由希先輩とは部活で少し話したことはあるけど、それだけで特別な関係があるわけじゃないよ、なんで呼ばれたのか自分でも分からないな」


「そうか、まぁ呼ばれたなら行ってこい、あと出来ればなぜ呼ばれたのか後で聞きたいんだが……」


容疑者の1人出しな。


「分かった、できるだけ内容は覚えておくよ」


そう言い残し、路未央は教室へと向かって行った。



さて、これで2人の事情聴取が終わった。


だが星翔先輩はまだ完全に白とは言えない。


「とりあえず明日星翔先輩の友達とやらに会いに行こう、黒鐘、顔分かるか?」


「まぁね、でもあの先輩達もあんま性格いい方じゃないからね」


なるほど、そっちも嫌いなタイプか。あーヤダヤダ。


「はぁ、まだまだ忙しいな……」


「そうだね、文化祭当日まで26日あると言ってもゆっくりなんてしてられないし、これからも頑張ろう!」


後26日もあるじゃんと思った俺は最低な野郎なのか?


まぁ確かに今も夢先輩はどこかに誘拐されている訳だし、いくら時間があっても余裕は無いか。


「んじゃ、そろそろ帰るか」


そう言って、俺は昇降口に向かおうと歩く。


俺の横に黒鐘が並んで歩く。そんな横を歩く黒鐘は、サラッと俺を誘う。


「よかったらこれからご飯食べに行かない?」


「黒鐘、さっきゆっくりしてられないと言っていたが、俺と飯を食う余裕はあるんだな」


なんか黒鐘、最初に比べて緊迫感無くなってないか、大切な先輩が誘拐されて、あんなにこの前は焦っていたのに、今だって先輩の安否は分からない。どうしてそんなに普通でいられる。


「あー確かにそうかもね、でもさ余裕がある理由がちゃんとあるんだよ」


ほう、理由があると。


「理由ってのは?」


「私の予知能力って『他人がいつ幸せになるか』じゃん?今仁を見ると、それが26日後なんだよね」


…………それは、つまりそういうことか。


「なるほど……26日後、ピッタリ文化祭最終日に当たるな、ん?つまり文化祭最終日に夢先輩を見つけるということか?」


夢先輩を見つけることができるという結果は大変結構なのだが、まさか見つけるのがタイムリミットギリギリの文化祭最終日か。


「そういうことになるね……本当はもっと早く見つけたいんだけど、仁を見るに26日後なのは確定だから」


「そうか、だから余裕あったんだな、まぁそれが分かっても今まで通り捜査するぞ」


「もちろん!だからこそ、たまには息抜きは必要でしょ?だからどう?この前のファミレスで」


だからこそか。まぁ黒鐘の言った通り最近はずっと忙しかった気はするから、たまにはいいか。


「分かった、んじゃ行くか、お前の奢りでな」


「うん!ありがとう……ってなんで私が奢るの!?」


「俺金ないから」


と言うか財布を持ってきていないから。


「ダサー、女の子に奢ってもらうとか彼女できないよー?」


「ふっ、別にいいさ、彼女なんていらないよ」


彼女を欲しいと思ったことは無いし、今絶賛作れない事情もあるし、いらねぇよ。上から目線かこれ。


まぁということで、俺はまた黒鐘とファミレスに行くことになった。





仁と黒鐘がファミレスに行き、路未央が美由希との話も終わった更に後。


午後19時過ぎの事。


ちょうど夢が誘拐、監禁されてから1週間が経過した。


夢は1()()()()()()目を覚ました。


────────あれ、私は何を……


目を開けているはずなのに、視界は真っ暗で、声を出そうとしているのに、声が出ない。体を動かそうと思っても、体は動かない。


夢はすぐに理解した。これは只事では無いと。そして、恐怖する。


ダメだ、何をしていたのか全く思い出せない、確か部活をしていた気はするけど、なんで私はこんな状況になっているのかが……


そう考えていた時、どこかの扉が開いた音がした。


その音を聞いて、初めて夢は自分は監禁されているのかもと、考え始めた。だがそれは、すぐに推測から確信に変わった。


「起きてます?」


自分を監禁した犯人だろうか……それとも助けに来てくれた人だろうか、いや、助けに来てくれた人が最初に聞くことが『起きてますか』は違うだろう。


ならば、今部屋に入ってきた人は犯人で、私はここに誘拐されたということだ。


ここがどこかも分からない、なぜ誘拐されたのかも分からない。犯人も分からない。分からない分からない。だが、どこかで聞いた時ある声。


「んーー!んんん!!んんん!」


夢は必死に声を出そうとする、だが、それはガムテープで口が塞がれているため言葉にはならない。ただ唸っているようにしか聞こえない。


体を無理矢理にでも動かそうと、思いっきり力を込めるが、少し動くだけで固定している物自体は外れる様子は無い。


「すごい、まさか本当に生きているなんて」


そんな夢を見ながら、犯人は意味深に驚き、歓喜する。


1つ補足しておくが、夢は監禁されてから、まだ"一度も水も食べ物も口にしていない"。


そんな犯人の言ったことに、夢は困惑しつつも、必死で叫ぶ。


「ん!!んーー!!」


お願い!助けて!どうしてこんなことするの!あなたの望みは何!?


だが、どれだけ必死に叫んでも、その想いは犯人には一切届かない。


「そんな必死になっても無駄だよ、君は今、監禁されているんだよ」


そんなこと分かっている!どうして監禁したのか聞きたい!


「早速君の友達が君のことを探しているよ、だけど、その友達はあるルールを破った」


夢の言葉が聞こえない犯人は、独り言のように話を続ける。


「だから、これはルールを破ったペナルティだ」


そう言いながら、犯人は、夢に向かって手を向ける。


手を向けた瞬間、夢の中にある感情が大きく強くなった。


その感情とは、『恐怖』。


元々恐怖という感情は存在していたが、さらに強くなって言った。


夢は一層強く唸る。だが、それでも、犯人はお構い無しに夢に向かってを手を向け、恐怖を与えた。

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