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17話 パスタをぶちまける迷惑客

月宮 仁 (つきみやじん)主人公

黒鐘詩音 (くろがねしおん)クラスメイト

高橋千奈 (たかはしちな)友達、仁と黒鐘に命を救われた

俺の腹の減りも限界突破し、逆に空腹感が無くなってきた頃。


それでも人間食わにゃ生きていけないという常識を思い出し、パスタを食べようとしたが、いざ食べようとしたその時────事件が起きた。



「ぶっ!ひゃあひゃぁひゃあ!ヤバいヤバい!おおおー、はははははは!」


俺達の座っている席に通路を挟んで反対側の斜め後ろの席から、バカのお手本みたいな笑い声が聞こえてきた。


なんだなんだ、後ろの席だいぶ騒がしいが、絶対迷惑客だろこれ。


チラッとその席を見ると、その席には、スマホを持った中肉中背のマッシュヘアーと、金髪に染めている細身の男がいわゆる迷惑動画、明らかにインターネットに投稿すれば、瞬く間に拡散され、炎上する動画を撮影していた。


「はい!この粉チーズをーーー、ばぁぁぁん!うぇぇぇい!粉チーズパスタの完成でーす!」


金髪の男はテーブルの端に置かれていた粉チーズを、全てパスタにぶっかけた。


「そぉぉしぃぃてぇぇ!このパスタをクットバァァァス!」


思いっきりパスタを叩き、パスタはあちらこちらに飛び散った。


…………今まで何度かあーゆー迷惑動画をニュースやらで見てきたが、あれはレベチ過ぎる……というかやってる事が幼稚過ぎる。


さすがに黒鐘や千奈だけでなく、隣の客や店の外を歩いていた人も、また、注意しようとしていた恐らく店長も困惑し、呆然としていた。


先程まで聞こえていた食器を洗う音や、喋り声や笑い声、全ての音が無くなった。だがそんなことは全く気にしてない様子で、迷惑を通り越して狂っている客はまた奇行をとった。


「うほほ!やべよやべよこれ絶対伸びるって!俺ら人気なるぞぉぉ!」


「マジか!後で編集でこの後しっかり食べましたって書いとけ!ふふぶっっ!」


ある客はスマホを手に取り、男らの動画を撮っており、ある客は誰かに電話をかけている。


さて、どうしたものか、まさかこんなことに巻き込まれるとは……本当に食欲が無くなった、これは俺だけでは無いだろう、黒鐘も千奈も食べる気無くなってるだろ。


周りが沈黙しているため、俺達は喋れずにいると、ついに店長が動いた。


「おい!貴様ら!何やっているんだ!」


40代くらいの、少しぽっちゃりとしているスキンヘッドの店長は、鬼の形相で男達に向かって言った。


いいぞ!その勢いでどうにかしてくれ!


「おーーっと!ここでハゲデブが参戦!さぁさぁどうするんだぁぁぁぁ!」


カメラを持ち、動画を撮影しているマッシュ男は、店長を煽るような言い方をしながら爆笑していた。てかいちいち叫ぶなうるせぇな、お前は産まれたての鳥のヒナか?


「なんすか?俺たちになんか用すか!?ええ?もしかしておこ?あらら!キレってるのかな!?」


そう煽り口調で言われた店長は、店の奥からナイフを持ってきて男らを滅多切りにしそうな勢いで口を開いた。


「お前ら覚悟しとけよ!こんなことして、ただで済むと思うな!もう警察呼んでんだぞ!」


ここら辺になって、やっと客達はザワザワと話を始めた。


「何あいつら、ヤバすぎない?」


「可哀想とも思えない、何か病気持っているでしょ……」


「うん、動画取ったよ、こーれはやばいゎ」


「あいつらまじ死ねよ、ソースかかったじゃん!あーお気に入りの服なのに!」


いつの間にか店の外の客は先程よりも増えていた。


「さすがにあれは、ヤバいくない……」


俺達の席では、やっと千奈が驚きと恐怖が混じった口調で喋った。てかさっきからヤバいしか言ってないな、実際やばいんだけどさ。


一方の黒鐘は、男2人を殺人鬼の様な目付きで睨んでいた。


黒鐘、まさかお前、あいつらに何か一言言ってやろうとなんて思ってないだろうな?そんなことしたら大変なことになるぞ……


流石の俺も、知り合いが傷つけられるのは見たくないし、一応黒鐘に忠告しておくか。


「黒鐘、間違ってもあいつらに向かって文句とか言うなよ……ここは我慢しとけ」


テーブルに身を乗り出し、黒鐘の近くで小声で言うと、黒鐘は未だ男達を睨みながら「分かってる……」とだけ言った。


本当に分かっているんだろうな?まじで頼むぞ。


"どうせあいつらの人生はそんなに長くないんだから"。


そう、俺の予知能力では、マッシュの奴の寿命はあと17年、パッと見男達の年齢は20代前半、若くして亡くなる。


────金髪の方に関しては、後"47日"……これほどまでに残りの寿命が短いのは久しぶりに見た。


ただあんなことをしたんだ、今までろくな人生を送ってなかったのだろう、悪に手を出している可能性もある、それが原因で亡くなるかも知れないし、何より、さっきからしている行動と見た目が合致していない。今後大きな事故を起こして亡くなるのだろう。


「はぁぁぁぁぁぁぁあ!?サツ呼んだってぇ?ざけんな!クソジジイ!!!」


店長に向かって金髪の男はそう叫ぶと、店長の胸ぐらを掴むみ、顔面を殴った。


「うっ!」


手加減無しの本気で殴られた店長は、ドン!と近くのテーブルに体をぶつけて通路に倒れた。


────それすら、マッシュは笑いながら撮影を続けていた。


だが、流石にここまでやると、客の困惑や驚きは悲鳴と恐怖に変わった。


誰かの客が、「きゃぁぁぁ」と叫んだ。


それが引き金になり、多くの客が席を立ち、店内から出ようとする。


完全にパニックになっちまった、なんて冷静にしている俺だって本当はパニクってるんだぞ?


「と、とりあえず俺達も一旦店から────」


と、俺が黒鐘と千奈に言おうとした時、さっき忠告しといたのに、黒鐘は男達の前へ出た。


「し、詩音ちゃんっ!」


千奈は黒鐘の名前を言ったが、黒鐘はそれを無視した。


あいつ!何やってんだよ!ほんとバカだな!店長殴られたの見ただろ!あいつらはただの迷惑客じゃない、"犯罪者"だ。そんな奴の前に行って、何をされるかは想像がつかない。


俺は黒鐘を止めようとしたが、黒鐘は前を向きながら、手で「待て」という形を作った。


「ねぇ、さっきからあなた達は何をしてるの?」


黒鐘は冷酷な口調で男達に向かって言った。


それに対し、金髪は、


「あ?なんだ餓鬼こら、見てわかんねぇか?」


金髪は黒鐘を全身を見てから目の前に行き、黒鐘のことをジロリと見下ろした。


黒鐘の身長は確か178センチだったはずだ、その黒鐘より頭1個分も身長がデカい、余裕で190センチありそうだ……


「動画の撮影してんだよ、餓鬼は失せろ」


明らかに、先程とは違う態度になっていた。むしろ今の方が落ち着いている……


だが、それが逆に気味が悪い。


なぜ急に態度を変えたんだ?やっぱり黒鐘の声には人の気持ちを冷静にさせる力があるのか?


そう俺が考えていると、さっき殴られた店長は頭を押さえ、苦しそうな表情をしながら黒鐘に向かっていった。良かった、生きてた。


「お、お嬢さん、ここは危ないから早く逃げなさい……」


だが、これもまた無視する黒鐘。


「私がこの世で1番嫌いなことは、"他人を不幸になる人"、あなた達のしたことは誰も幸せにならないし、誰の得にもならない」


男は黙って黒鐘の言うことを聞く。


「そんな人達は"生きてなくていい"と思ってる」


黒鐘は今まで見たことがないほど憤怒の感情を現しながら言い放った。


「だから私はあなた達が死んで欲しいと思っている」


黒鐘がそう言い切ると、今まで黙っていた金髪は、急に叫んだ。


「ああああああああぁぁぁ!うるせぇうるせぇうるせぇ!俺は餓鬼が嫌いなんだよ!てめぇさっきから上から目線でベラベラと、もういい、てめぇは死ね」


そう言って、男がポケットから取り出したのは、赤い色をした錠剤だった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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