13話 人間のクズ
月宮 仁 (つきみやじん)主人公
黒鐘詩音 (くろがねしおん)同クラ
千奈 (ちな)遥と親友、森澤に告白した
遥 (はる) 同クラ、千奈と親友
森澤 (もりさわ)同クラ
「んじゃ千奈、また明日……」
「うん、またね……」
夕日が沈む中、遥と私は、自宅への方向が違うため帰り道の途中で別れた。
森澤から振られた後、あれからそのことをずっと引きずっている。
遥との会話も、いつもに比べて全然続かないし、何も頭に入ってこない。
…………あれは私が悪いんだ、いきなり告白しても断られるに決まってるのに、なんで私は……あぁもう!また同じこと考えてる!さっさと忘れろ!
何度も何度も、森澤に断られたことを考えている自分が嫌になる。もう過去は変えられないんだから、後悔しても無駄なのに。
私は気を紛らわすために、早歩きで自宅へと向かった。
家に着いてから、ご飯を食べている時も、お風呂に入ってる時も、勉強をしている時も、そして今、寝ようとしている瞬間も、結局ずっと頭の中に残り続けている──あの時の告白。
ほんと、ムカつく、そもそも最初に告白しようなんて言ったのは────
ダメだ、遥は何も悪くない、悪いのは私、遥に八つ当たりするなんて最低だ。
もう寝よう、明日起きればきっと忘れる、もうどうでもよくなっているはず。
私は自分にそう言い聞かせて、無理矢理頭を真っ白にして眠りについた。
次の日
俺はいつもより少しだけ早く学校へと向かった。
理由はもちろん、千奈の安否確認の為だ。千奈が生きているのか心配で昨日はほとんど寝れなかった……
学校に着き、自分のクラスに入ると、教室はスカスカだった。
まだ登校完了時刻まで30分以上あるから当たり前だが。
一体こいつらは何時に来たのか、最前列には熱心にペンを走らせ、何かを描いている男子がいて、窓側にはスヤスヤと寝ている女子がいる。
あー、俺も寝てぇ、早く確認してこよう。
確か千奈ってC組だっけな……
俺は自分の机にリュックを置いて、C組へと向かった。
チラッと、C組を覗くと、そこに千奈の姿は無かった。
来るの早すぎたか、さすがに既に……なんてことは無いだろう……
どうやら無駄足だったようだ。せっかく早く来たが、千奈がいないなら仕方ない。俺も寝よう。
俺は教室に戻り、リュックを自分のロッカーに置き、机で寝た。
「お──、おーい、起きろー?」
ん、なんだ?もう朝か?もう少し寝かせてくれ。
「じ〜ん〜、いい加減起きろ!」
少し強めに俺の頭を叩き、黒鐘は俺のことを無理矢理起こした。
「んーー、なんだよ、お前はほんとに元気だな……」
あれ、いつの間にか30分も経ってる、あー、普通に爆睡してたな……おかけで眠気は消えたけど。
「って千奈は!?今日学校来てたか?」
今頃思い出した俺は、恐らくその事を知っているであろう黒鐘を見上げて聞いた。
「うん、さっきC組行ってきたけど、すっごい話しかけるなオーラ出しながら席に座ってた」
「そうか、とりあえず、よかった」
昨日のカウント的に死ぬことは無いはずだが、とりあえず生きていてよかった。
だが安心するのはまだ早い。問題なのは今日の16時56分だ。
それが昨日俺が一瞬だけ見えた、千奈の死ぬ時間だ。
その時間は特に千奈から目を離さない方がいいだろう。
俺と黒鐘はそれを改めて確認して、黒鐘は自分の席へと戻った。
…………にしても、今更だがすっかり黒鐘とは普通に話すようになってしまったな。
本当は黒鐘だって安全とは言えないんだ、早く俺の持っている力をどうにかしないとな。
「起立ー、さよなら〜」
垓斗が帰りの挨拶を言い、やっと今日の学校が終わった。
いつもなら、さて帰ろう、早く帰って、ゲームしよ、と思っているところだが、今日はそうはいかない。
今は、早く行こう、千奈のところへ、レッツゴー、だ。
帰りの会が終わると、すぐに俺の元へと黒鐘が来た。
「んじゃ、ひとまずC組行こっか」
俺達は早歩きでC組へと向かった。
だが。
「遅かったか……」
C組は俺達のクラスより早く、帰りの会が終わっていたため、既に教室では掃除をしており、千奈の姿は無かった。
「さて、どうしたものか……もう帰ったかもしれないが、校内探し回るか……」
俺がこれからどうするかを考えていると、黒鐘はあっさりとこの問題を解決する方法を言った。
「待ってて、私C組の友達に千奈ちゃんがどこに行ったか聞いてくる」
そう言って黒鐘は、掃除をしている女子達の元へと向かっていった。
マジすか、そんなことできるなんて、黒鐘やばぁ。
俺、中学の時でも他クラスに友達なんていなかったぞ、黒鐘、お前には何人友達がいるんだ。
少し経ち、黒鐘は小走りで戻ってきた。
「どうだった?」
「それがみんなわかんないって言ってた。帰りの会が終わったらすぐに教室出ていったらしくて……」
なるほど、結局することは変わらないらしい。
「なら、探すしかない」
俺と黒鐘は一旦別々に行動し、とにかく学校中を走り回った。
校内を探しても見つからなかった俺は、今はグラウンドや駐輪場なども探している。そんな中、ふと時間を確認すると、例の時間まで、後16分。
時間がない、早く見つけないとヤバい。
このまま見つけれないで時間が来れば、何が起こるかは想像できん。本当に死ぬかもしれないし、なんにも起こらないこもしれないが、とにかく死ぬ気で探そう。
ヘトヘトになっている俺は、次はプールの方を探すかなんて考えていたその時、、校門の近くを通った俺は、探していた人物を発見した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
見つけることが出来た安堵からか、疲れが更にどっと来た。
とりあえず黒鐘に連絡だ、俺はスマホを取り出し、勝手に追加された黒鐘のLINEにメッセージを送った。
『校門近くのベンチにいた、バレないように駐輪場の方から来てくれ』
俺はそうメッセージを送り、既読がついたか知らんがスマホをしまい、千奈から6m程の距離をとって、草むらにしゃがんで身を潜めた。
千奈はベンチに足を伸ばして座りながら、どんよりと曇った灰色の空を、まるで何も考えてないかのような目で、眺めていた。
一体何やってんだ、誰かを待っているのか?それとも……
すると、そこにある人物がやってきた。
「ごめん千奈、遅れた」
千奈の元へ、遥が片手を立てながらスタスタやってきた。
遥、昨日千奈が振られた瞬間、内心喜んでいたクソ女だ。言えるならもう遥と関わるのはやめろと千奈に言ってやりたい。
千奈の座っているベンチまで来た遥は、千奈の隣に座った。
俺は千奈と遥の会話に耳を傾けた。
「どうしたの、遥、わざわざこんなとこに呼び出して」
疑問形だが、口調はほぼボー読みだった。
「いやさー、千奈が大丈夫か心配でさ、昨日のこと、まだ引きづってるでしょ?」
そういえば今日は千奈、遥と一緒にご飯食べてなかったな。
いつもは俺が昼戻ってきて教室入ると、必ず遥の隣で千奈がいたのに、今日はいなかった。
「うん、そりゃ引きづってるよ、あんなことがあったんだから」
「ほんとごめんね、千奈……もしほんとにきつくなったら、いつでも私を頼ってね?」
…………は、何言ってんだアイツ。性格終わってんな。心の中ではそんなこと一切思ってないくせに、何良い奴アピールしてんだ?
遥の言葉に対して、千奈から返ってきた返事は予想外のものだった。
「遥、私、遥に何か気に触ることしたっけ」
もはや虚空を見つめている千奈は、唐突に遥に質問した。
ただ、千奈の質問に対して、遥の回答も予想外答えだった。
「うーん、強いて言うなら汰一(森澤)のことを好きになったことかな?」
……どうゆいうことだ、それは。千奈が森澤の事を好きになって、何故遥が怒る?
「そう、私を騙したんだ」
「…………千奈が汰一のことを好きになる前から、私は汰一のことは好きだった」
今思い出せば、遥と森澤が話していた姿は何度か見た。まさか遥も森澤のことが好きだったとは、モテモテだな。
てか遥は自分が森澤のことが好きなことは黙ってたのか。
「前に行った肝試しの後から、私は汰一と付き合ってる」
「遥が森澤と付き合ってたなんて、全然気づかなかったよ、そんなに私をはめたかったんだ?」
「まぁね、千奈のこと見下してやろうと思ったから、気づかれないようにしてたよ、そしたら千奈が汰一のこと好きになってさ、汰一も困ってたんだよー?」
おいおいおいおい、それは本当か?ならあの時、俺が森澤の相談に乗った時のあれは嘘だったのか?森澤も俺のこと騙してたのか?
昨日、森澤は俺に言った、恋愛なんて初めてだからと、だが、今の話を聞くに森澤は恋愛をしている、なぜ俺を騙した。
俺は嫌いだった森澤のことを更に、いや、超嫌いになった。
「だから汰一と協力して、千奈がもう一生汰一に近づかないようにするためにわざと私は千奈の応援をして、汰一は振るようにした」
聞くに耐えれんな。黒鐘は何やってんだ?早く来てくれ。
空はさらに雲を厚くし、雨が降り出しそうになってきた。
「んで千奈はいつ私が汰一と付き合ってるって気づいたの?」
「…………」
「無視、か、まぁいいや。千奈って意外と友達いないよね、だから私と仲良くしてたのか知らないけど、お前の事、無理矢理陽キャの振りして私に合わせてるみたいで“嫌いだった“」
遥とはなんの関わりもない俺ですら、心にきた。
俺が千奈なら、遥のことを1発殴ってただろう。
どうやら俺の思っていた以上に遥という人間はどうしようもない、“人間のクズ“だった。
遥はそんな暴言を残して、いつの間にか集まっていた女子生徒に手を振りながら走り去った。
遥の姿が見えなくなると、千奈はゆっくりと立ち上がり、ギャンブルで全財産を無くした人の様な歩き方で、昇降口へと歩き始めた。
例の時間まで、あと4分……バレないようについて行こう。
俺は草むら出て、千奈の後を追おうとした時、今の今までトボトボ歩いていた千奈がいきなり全速力で走り始めた。
はっ!?急に走るな!もう体力ねぇんだよ!
あっという間に千奈は校内へと入って行き、俺の視界からいなくなった。
ここで見失ったらマジで終わる。疲れてるが、また走るしかない!
ろくに運動をしてなかった俺のスタミナは、既に限界を迎えていた。だが、そんなことを言っている場合では無い、俺は全力で千奈を追いかけた。
だが、俺が校内に入った時には、既に千奈の姿は消えていた。
靴棚には、今から帰ろうとしている生徒や、偶然昇降口の前を通った生徒が、なぜか階段の方を見ながらガヤガヤと話していた
はぁはぁはぁはぁ、冷静に考えろ、残りの時間はせいぜい5分程度だ、ならもし本当に死ぬのなら、場所は学校だ。
そして、先程の会話。千奈にとっては絶望しか無かったはずだ。全てを投げ出したくなるほどの。
ならこれから千奈がいく場所は1つ。
“死ぬことが出来る場所だ“。
そんなことできる場所は、俺は1つしか思いつかない。
この学校は校舎が4階建てで、そこに行くには今から5階分の階段を上らなければならない。こんなヘトヘトな状態で、5階上るのか、はは、俺が死ぬかもな。
そんなことが言える体力があるなら十分だ、俺は靴も履き替えずに階段を駆け上って行った。
ここまで読んでいただきありがとうございました!次話も是非お願いします!
…………実はもう少し下にスクロールしてもらうと、星のマークば5つ並んでいるんですよ、そこで読んで頂いた作品を正直に、星1でもいいので評価して頂ければ自分超喜びます笑(小声)




