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11話 恋愛相談

月宮 仁 (つきみやじん)主人公

黒鐘詩音 (くろがねしおん)クラスメイト

森澤 (もりさわ) 同クラ。千奈に告白された

遥 (はる) 同クラ。千奈と親友

千奈 (ちな) 遥と親友。森澤のことが好き

昼休みの楽器倉庫にて。


男二人が、楽器倉庫とかいう薄暗くてホコリっぽく、人の寄り付かないところで、ガタガタの机に座って、俗に言う恋バナをしていた。


なんちゅう絵面だ。場所は最悪、雰囲気もダメ。そして男同士。本当に恋バナをしていると言えるのだろうか。


そんなことどうでもいい、そもそも俺は恋バナなんかには1ミリも興味は無いんだ。


じゃあなぜ俺は今そういう話をしようとしているのか、俺にも分からん。森澤が相談に乗ってくれないかと言ってきて、俺はなぜかイエスと言った。黒鐘のバカがうつったのかな。


森澤は椅子に座ると、千奈との関係やらを説明し始めた。


「まず俺と千奈さんの関係を説明すると、ほぼ、何も無い」


だろうな。お前が千奈と関わっているのは肝試しの時以外見たことないし、千奈の口調的にも関わりはほとんどないのだろう。


「何も無い、か。そりゃ困るよな」


「そうなんだよ、俺は千奈とはほとんど関わりがない、そんでいきなり付き合ってくださいと言われても、答えられないだろ」


「森澤自身はどうなんだ?千奈のこと、どう思ってるんだ?」


森澤自身の気持ちが分からなければ何も言えることは無い。と言っても、付き合ってもいいなら「なら付き合えば?」と言い、気が無いなら、「なら断れ」としか俺は言わんがな。


森澤は腕を組んで「うーん」と唸ってから答えた。


「そうだなー……千奈さんのことは、可愛い人だとは思っているよ、でも好きなのかと聞かれると、どうだろう、自分でも分かんねぇんだよな」


確かに千奈の容姿は可愛い。小柄で少し丸みを帯びた顔。綺麗な黒髪のポニーテールは、着ているスクールベストによく似合っている。男子からもモテそうな清楚な見た目をしている。そりゃ俺から見ても、あ、可愛いな、と思う。


だが好きかは分からないか、実際そういうものなのだろう。


いきなりほとんど関わっていない女子から告白されても、自分が相手の事をどう思っているか分からない。


「じゃあ付き合ってもいいかなとは思うのか?」


「そうだな、逆に付き合えない理由は無いし、別にいいのかもしれないけど、俺が千奈さんの事を知らなすぎるんだよな……」


なるほど、確かに森澤からすれば千奈がどういう人物なのかは分からない。


実際高校生カップルが別れる理由の多くは、『趣味が合わない』や、『価値観の違い』、『愛情の温度差の違い』などだと、前に黒鐘と話している時に聞いた。


なので相手の事をよく知らずにいきなり付き合っても、すぐに別れるだけだろう。そうなれば千奈は大きなショックを受けるし、友達の遥だって、罪悪感などを受けるかもしれないし森澤も少なくとも嫌な気持ちにはなるだろう。


つまり誰も得をしない。


なら付き合わない方がいいのが正解、なのだと俺は思う。────だが。


「そうだな……相手の事を知らないなら、付き合いづらいかもな、でも、千奈はそれを分かってる上でお前に告白してきたんじゃないか?」


千奈だって、森澤が自分の事について知らないことくらい分かっているだろう。それを承知で告白してきたとしたら、多少の考えの違いや、趣味の違いは千奈が我慢するのかもしれない。


ということを森澤に説明した。


「なるほど、確かにそうかもしれないな、なら俺との趣味が合わなくても、俺が千奈さんに合わせる必要は無いよな?」


まぁ……そうだな、でもそれなら、


「だったら別に付き合ってもいいけどな〜」


本当に付き合う必要があるのだろうか。


結構森澤には、千奈が好きという感情は無い。


千奈が「私が森澤君に合わせるから付き合って!」と言い、なら、と森澤が「付き合ってあげる」、みたいな乗りで付き合っても、結構長続きしない気がする。


まぁ実際付き合い始めたら森澤が千奈のことを好きになるかもしれないから、分かんないけどな。


そもそも高校生カップルの時点で長続きしないんだから気にしなくてもいいかもしれないけどな、なんかの作品のセリフを借りると、「恋愛なんて一時の気の迷い」なんだから。


「なら、答えは決まったな」


俺は丁度食べ終わった弁当をしまいながら言った。


「あぁ、月宮、相談に乗ってくれてありがとな、月宮がどういう奴なのかも分かってよかったぜ」


そうかい。だがもう一生関わることは無いだろう。


「んじゃそろそろ昼休み終わるし教室戻るか」


そう言うと、森澤は楽器倉庫の扉を開けた。


ん?待てよ、そういえば森澤、


「森澤は弁当食べなくてよかったのか?」


結局森澤はずっと恋愛相談してたから昼飯食ってないが。


「あぁ別にいいよ、なんか告白されてから食欲無かったし」


あぁなるほど、そりゃあんなことがあったんだから、飯なんて喉通らないよな。



教室に戻る前、俺は森澤に「俺が楽器倉庫で飯を食べていたことは誰にも言わないでくれ」と伝えといた。


森澤は、「分かった、なんか色々と事情があるんだろうし、恩だってあるから誰にも言わないよ」


と言ってくれたので誰かに言うことはないだろう。


さらに、念の為に教室に入る順番を少しずらした。森澤と一緒に教室に入ったら、遥や垓斗が不思議そうにするだろうし。


さてと、午後のダルい授業も受けますか……


俺は昼休みが終わるギリギリに自分の席に座り、他の奴らは未だに友達と会話している中、律儀に教科書やらノートを広げて寝たフリをした。



「と、言うように、縄文時代の人々は平均寿命が────」


今は5時間目、歴史の授業中だ。この時間を歴史の授業にしたバカは誰だ?誰でも寝るに決まってるだろ。


やけに眠気を誘う声の、おじさん教師の授業を聞いている生徒は、授業開始から30分が経過した今、パッと見10人ほどしか居ない。


ほとんどの生徒は、それが正解なのだろうか、寝ていた。


俺はと言うと、ギリ起きている。さっきから何回かガクッとなったが、寝れない理由がある。


このおじさん教師、たまーに面白いことを言うのだ。それを聞くと眠気が吹っ飛ぶんだが、さすがに限界だ。


「まぁそういうわけでね、一体縄文時代の人達いつどうやって子孫繁栄をする行為をしたという話なんだが、私の予想では────」


はよ退職しろ。んな事絶対話さなくていいしなんならセクハラやらで問題になるぞ。


俺はそんな教師の問題発言は聞き流して、何となく教室を見渡した。


俺が関わったことのある奴らはどうしているかと言うと、黒鐘と、一応学級委員長の垓斗は爆睡していた。


遥は起きているが、ずっと何かを考えている様な顔をしていた。ちなみに遥の席は俺の斜め前なのでギリギリ顔が見える。


森澤も起きているが、授業の内容なんて全く頭に入ってこず、ずっと悩んでいる様子だった。


まぁこれから告白の返事しに行くんだから、もはや授業なんてしてる場合じゃ無いわな。


告白、しっかりできるのだろうか、昼休みで告白にはOKと返事するって森澤は決めてたけど、どーにも何事もなく終わる気がしない……いやただの杞憂ならいいんだけど。



キーンコーンカーンコーンと授業の終了を合図するチャイムがなり、全員帰りの準備を始めた。


こういう帰りの準備、なぜか俺みたいな陰キャはすぐに準備が終わって、ただ黙って座っている時間があるんだが、一体何故なんだろうな。


単純に陽キャ共は友達と呑気に話しているからなのか。俺は早く帰りたいんだから、そんなのんびりしてんじゃねぇ。


なんてまた悲しいことを考えいると、ある男が俺の元へと来た。


「なあ、仁、またちょっと頼みがあるんだが、いいか?」


今から告白の返事をしに行くというビックイベントを控えている森澤が、俺の元へと来た。んで、頼みとは?


「告白の時、一緒についてきてくれないか?」


……いや、無理だが。


「え?なんで俺が一緒に行くんだ」


俺はダルそうな雰囲気を出しながら、森澤に言った。


ただ森澤は、逆に申し訳無さそうに頼んできた。


「頼む!1人じゃどうにも心細くてな、陰で見守っててくれればいいからさ」


森澤は手を合わせながら、俺に頼んできた。


心細いか、森澤にもそういうとこあんだな、まぁ俺が最初に相談に乗ったんだから、告白の件は最後まで見届けてやるか。


「……あぁ分かったよ、ついていくよ」


俺がそう言うと森澤は安心したように胸を下ろした。


「サンキューな、んじゃ、放課後プール裏まで来てくれ」


俺の通っている学校には、校舎とは別に、プールが中にある建物が建っている。プール裏は木や草などが多く生えており人気が少ないので、告白するには好都合な場所だろう。


俺は森澤に「分かった」とだけ言うと、森澤は自分の席へと戻って行った。


また面倒なことになったが、まぁ仕方ない。てか森澤、さりげなく俺の事名前で呼んでたな、まさか親しい関係とかになってないよな?


そうなるとますます面倒なことになりそうだ、今度からは誰に話しかけられても無視しよう。




「んじゃ、行ってくるよ……」


返事をする場所に指定されている、プール裏の近くに、俺と森澤はいた。


森澤は緊張している様子でプール裏へと入っていった。


既に遥と千奈はプール裏にいるはずだ、俺は二人の視線に入らない場所で、森澤のことを見守ることにした。


森澤、まぁぶっちゃけ俺からすればどうでもいいんだけどさ、一応言っておく、がんばれー。


そんなことを考えていると、俺の後ろから、足音が聞こえてきた。


は?、誰かこっちに来てる、ちょっとそれはマズイんじゃないか、あれ見られたらマズイだろ。


誰が来ているのか確認するため、後ろを振り返った瞬間、その人物は俺の真後ろまで来ていた。


「え、お前、なんでこんなとこにいんだよ」


俺の目の間には、見飽きるほど見た人物、黒鐘が何かを企んでいる顔で立っていた。


「ふふふ、それは君が珍しく私以外と話しているところを見て、怪しいと思ってつけてきたからだよ」


くっ、あの時森澤と話していたの、見られていたか。


「それで?一体こんなところで何してるの?」


あぁ言っていいのかな、でも、黒鐘にならいいか、確か千奈とも遥とも友達だったし。


俺は昼休みの出来事を超手短に説明した。


なぜならもう森澤が千奈に返事をするからだ。


「なるほど、そんなことが合ったんだ、てか今丁度返事するじゃん!」


黒鐘は建物の陰から、顔を少しだけ出して森澤たちの様子を伺った。


ギリギリ森澤達の声が聞こえる、森澤、がんばれよ。

ここまで読んでいただきありがとうございました!次話も是非お願いします!


…………実はもう少し下にスクロールしてもらうと、星のマークば5つ並んでいるんですよ、そこで読んで頂いた作品を正直に、星1でもいいので評価して頂ければ自分超喜びます笑(小声)

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