10話 盗み聞き
月宮 仁 (つきみやじん)主人公
黒鐘詩音 (くろがねしおん)クラスメイト
遥 千奈と仲がいい。仁と同クラ
千奈遥と仲がいい
森澤 (もりさわ)クラスメイト
ピピピピピピと、聞きたくない目覚まし時計の音を聞いて俺は目を覚ました。
今日は何曜日か、まず目を覚ましてから冷静に考えてみた。(現実逃避)
昨日は一日中なーんもしないで終わったんだっけ、てことは昨日は日曜日?なら今日は。
1週間の中で1番憂鬱な日、月曜日か?は?ダル。
クソだるい中ベットから起き上がり、1階に下りて、顔を洗ってからリビングに入った。
「仁、おはよう」
リビングにいる母は既に仕事へ行く準備を終え、今まさに仕事へ行くところだった。
俺の母のしている仕事は朝早くから始まる、その代わり終わるのが早い。ちなみに父は去年から単身赴任中であり、来年帰ってくることになっている。
「それじゃ私はもう仕事行くからあと頼むわね」
「はいよ」
適当な返事をしながら、俺は母を見送った。
時刻は7時、家を出るまではまだ時間あるな。
俺はなんとなく朝のテレビ番組を見ながらゆっくりと朝食を食べていた。
テレビのニュースでは、丁度一昨日会った白石さんごヒロインを演じている、『月の下で恋をした』という名のドラマについての話題を話していた。
少しだけドラマの映像が流れた。そこに映っていた白石さんは、やはり可愛かった。
彼女は、本当に人間なのだろうか、もしかしたら宇宙人が未来技術で人間のフリをしているのかも知れないな。なんて疑うほど、白石さんは可愛いかった。
今考えるとよく一昨日の俺は白石さんを目の前にして普通に会話できたな。
そんなことを考えながら、俺は朝の時間を過ごした。
「おはよー仁」
教室に入って自分の席に座ると、黒鐘が俺の席までやってきた。
「おう、おはよう」
リュックから教科書などを取り出しながら、俺は挨拶を返した。
「結構土曜日からなにかした?」
それは予知能力のことについて何かしたのかということだろう。
「いいや、まだ何もしてないけど、今週の土曜日に龍己の家に行くつもりだ」
龍己のお母さんには既に連絡済みである。
俺が久しぶりに連絡すると、ぜひ来て欲しいと言っていた。
「なるほどねー、とりあえず龍己さんのことを調べるってわけね」
「まぁそういう感じだな」
本当はそれしかできることがないんだけどな……
「まぁ色々大変かもしれないけど頑張ってね、私もできるだけ手伝うからさ」
……なんで手伝うのか聞きたいところだが、また理由は無いと言うと予想できるので聞かないことにした。
「それはいいが、程々にな、お前には万が一のことがあれば、俺は立ち直れなくなるからな」
ただ本当のことを言っただけだったが、黒鐘かすればドキッと来るセリフだったららしい。
「あ、う、うん、ありがと……」
黒鐘は少し動揺しながら自分の足元を見ながらほっぺをかいた。
「じゃ、じゃあそろそろチャイム鳴るから、席戻るね」
「おう」
俺が返事をすると、黒鐘は席へと戻って行った。その途中、結局クラスの女子と話していたが。
昼休み。俺はいつもの場所、楽器倉庫で昼飯を食べていた。
相変わらず薄暗くてホコリっぽい場所だが、今まで1度もこの時間に人が来たことは無いので、ひとり飯をするのには最高の場所だ。
うん、美味いな、1人でスマホ弄りながら食う飯は美味いぜ。
…………なんだこのぼっちレベル99みたいな言い方は。自分で言って悲しくなってきた。
ま、誰か死ぬよりかは、俺が1人で飯食うことになる方がが何倍もマシたがらな。
なんてことを考えていると────人の声がした。
「……な……から」
は、人の声?誰かこっちに向かってきている……?
だんだん声が大きくなってきている、楽器倉庫に向かって来ているのか、んだよ、こんな時間に誰か何しに来たんだよ……
さすがにここで俺が飯を食べているのを見られたら、絶対面倒なことになるので、とりあえず俺は弁当を持って倉庫の奥に隠れた。
「ね!?好きなんでしょ?なら気持ち伝えなきゃ!」
入り口のすぐ近くから女子の声がする、しかもどっかで聞いた時ある声だな……てかなんだ?恋の相談ってやつか?はぁ、それは別にいいんだけどさ、なんでここでするかな?教室でやればいいだろ。
……と言ってる俺もここ勝手に使ってから本当はなんも言えないんだけどさ……
「い、いやーでもさー私、全然関わりないからいきなり言っても困らせちゃうんじゃ……」
「ううん!そんなことないよ!愛さえあれば!関わりがなくても伝わるよ!」
何たる暴論だ。愛さえあれば関わりがなくても伝わる?なわけあるかーい。そうだったら誰も恋愛に苦労しないわ。
てか入り口の外で話してるなら弁当食べてもバレないかな、まだ微妙に残ってるだが……
「うー!わかった!明日言ってみる!」
「よく言った!さすが千奈!応援してるよ!」
どうやら決心がついたらしい。てか千奈?その人って確か、この前肝試しにいた人か?てことはもう1人は千奈と仲がいい、遥か?そう思うと遥の声に聞こえるな。
廊下を歩いていく足音が聞こえた。どうやら2人は去っていったようだ。
やれやれ、こんなこともあるんだな。まぁでも、滅多に起こることでは無いだろう。
なーんて浅はかな考えをしながら、俺は残っていた弁当をかきこみ、教室へと戻った。
次の日の昼休み。まさかまたここに誰かが来るなんてことは無いだろうと思っていた俺を呪いたい。
昨日と全く同じ、俺が飯を食べていると、また誰かが来た。
おいおい、まさかだけど、ここで告白とかするんじゃないだろうな?こーんな環境最悪な場所で?またまたご冗談を。
「おい、遥、こんなとこ来て、何する気だ?」
扉の向こうからは男子の声がした。
これは森澤の声か。肝試しの時、千奈が森澤の事好きって言ってたもんなー。なんで告白することになったのかは知らんが。
「んーなんか千奈ちゃんがあんたに言いたいことがあるんだってー」
ニヤニヤとした表情で、遥は千奈のことを前に押し出しながら言った。
「千奈?あぁ、この前一緒に肝試しを回った人か、えっと、千奈さん?俺に言いたいことって?」
森澤の問いかけに対して、千奈は頬を赤く染めながら、モジモジと自分の前で手を動かしながら言った。
「あ、あの、森澤君、私、森澤君のことが、す、好きです、好きなんです、よかったら付き合ってくれませんか!?」
……いや俺気まずー。昨日と同じように隠れているけど、盗み聞きしてるみたいだし、俺はどんな気持ちでここにいればいいんだ、応援でもすればいいのかな。
千奈の突然の、そして必死の告白に対して、森澤の反応は。
「え、そんなこといきなり言われても、困ったな、俺こういうの初めてだから……」
少し顔を赤らめながら、森澤は気まずい空気をどうにかしようと口を開いた。
「えーっと、少し、時間をくれないか?答えはしっかりと考えたいから……」
森澤がそういうと、告白をした千奈は、なんとも言えない表情をして、「分かりました」と言った。
それを近くで見ていた遥は。
「もう!森澤さー、千奈ちゃんが勇気出して告ったのに、すぐに答えてあげなよー」
「そんなこと言われても、いきなり告白されたら誰だってすぐには答えられないだろ」
森澤の答えに、千奈は少し俯いて言った。
「そうだよね、いきなり対して関わりのない人が告白してきても困るだけだよね……」
千奈は、恥ずかしさと後悔で、今までにないほど消極的になっていた。
そもそも、別のクラスの千奈が森澤のことを好きになった理由は、毎日友達の遥とお昼に一緒に食べるため、遥のいるクラスに来ていた。
その時に、偶然見かけた森澤のことを弁当を食べながら見ていたら、いつの間にか好きになっていた、これだけだ。
「じゃあどうすんの?答えはいつ決めるの?」
遥の少し気だるそうな問いに対し、森澤は数秒悩んでから答えた。
「今日の放課後までには、決めるよ」
今日の放課後、玄関で答えを言うと、森澤は千奈に伝えた。
「分かった、じゃあ、待ってます……」
そう言って、二人は教室へと戻って行った。
行ったかな。
二人だけが戻ったとは知らない仁は物陰から出て、弁当を食べ始めた。
はぁ、やっと飯食える、忘れよう。さっき聞いた会話は全部。
俺はそう心で決め、全てを忘れようとスマホを取り出したその時。
「中に、誰かいるのか?」
────倉庫の外から、森澤の声がした。
は、まだいたのかよ、てっきり全員帰ったのかと思った……やべー、音でバレたか、どうすっかな……
楽器倉庫の入口扉は、普通の教室の様な扉では無く、まさに体育館の倉庫の様に、扉を横にスライドして開ける様になっている。
ここで俺は今更気付いた、黒鐘の奴、俺がここで飯を食べている時誰もここには来させないとか言ってくせに、結局人来てんじゃねぇか!
あーもう!どうすんだよこの状況!
「おい、誰かいるのか?」
作戦、沈黙。空気になれ、ここには誰もいないと思わせろ。
と、俺が心の中で考えていると、普通に扉を開けられた。
扉を開けた瞬間、森澤はまさか本当に人がいるとは思わなかったのだろう、「おぉ!」と声をあげた。
「お前は、月宮?なんでこんなとこにいんだよ、いやそれより、まさか月宮、さっきの会話聞いてたのか?」
…………黒鐘一生恨むぞ。
俺はまずどうしてここにいるのかを、もちろん予知能力の事は全て伏せて嘘を混ぜながら説明した。
「なるほど、人と関わるのが苦手で1人で飯を食べたいからここにいると……」
どうやらなぜここにいるのかは納得してもらったらしい。
だが問題は。
「んで?さっき会話は聞いたと?」
俺はノロノロと弁当を口に運びながら、森澤の質問を聞いた。
「いやまぁ、聞いたけど……」
はぁ、森澤、俺はお前とは関わりたくない、関われないんだ。もう質問なんてしないでさっさと教室戻ってくれ。
そんな俺の切実な願いはもちろん届くことなく、森澤は話を続けた。
「そうか、聞いてたか……」
森澤は頭を掻きながら困った様な表情と、溜息をした。
「なんか、すまん」
無意識に謝ってしまった。
「いや、聞かれてたことは俺は別いいんだ、遥や千奈さんが知ったら怒りそうだけど……」
そうか、まぁ森澤はどっちかと言うと巻き込まれたみたいな感じだし、キレるのは遥や千奈の方だよな……
「問題なのは、千奈さんの告白について、どう答えるかなんだよ」
問題は知らんけどはよ帰れ。何勝手に話進めようとしてるんだよ。
「あぁ、さっき告られたもんな……まぁそれは自分で決めればいいんじゃないか」
俺は話を展開させないように答えたが。
「そうなんだけどさ、月宮はどう答える?ああいうの慣れてるだろ?」
どうしてそう思った。慣れてるわけないだろ。
「いや全然慣れてなんかないからわかんないが……」
「あ、そうなのか?いつも黒鐘と話しているから、そういうのには慣れているのかと思ってた」
あー、確かに黒鐘とはよく話してるから、傍から見れば"そういう関係"に見えるのか。
だが俺は黒鐘とは恋人でもないし、告白なんてされたことは無い。恋愛についてなにか言えることはない。
「月宮、いきなりで申し訳ないが、俺の相談に乗ってくれないか?」
「相談って、さっきの告白の答えについてのか?」
「あぁ、頼む」
森澤は片手だけ手を立てて、俺に相談に乗ってくれと頼んできた。
乗ってやる義理は1ミリも無いんだけど、むしろ乗らない方がいいんだけど……
「分かったよ、昼休みが終わるまでは付き合ってやるよ」
なぜか乗ってしまった俺はバカだ。
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