8話 女子高生と2人で、ファミレスに行く
月宮 仁 (つきみやじん)主人公
黒鐘詩音 (くろがねしおん)クラスメイト
「それじゃ、碧ちゃんまたねー」
そう言いながら、妙なほど大人な雰囲気を醸し出している白石に向かって、黒鐘は手を振った。
空に答えるように、白石さんは小さく手を振った。名前言わない方がいいんじゃないのか……
空が橙色に染まった18時、俺の力についての情報は全て言い終わり、家へ帰宅することになった。
まぁ本来はなら16時の時点で説明は終わってたし、コースの時間が来るのを待っていれば良かったのに、黒鐘の奴が「せっかくカラオケ来たなら歌おうよ!」とか言ったせいで、結構終わったのが今になったんだがな。
カラオケの方はほとんど黒鐘は歌っていた俺と白石さんは1曲2曲しか歌っていない。まぁ俺はそれでいいけどさ。
そんなことより白石さんの歌は、まさに天使の声と言っても過言では無かったね。上手いというより、綺麗という感想だった。もちろん上手いけど。
「んーー、今日は色々知れてよかったねー」
黒鐘は体を伸ばしながら言った。あんだけ歌ってたくせに、全く声枯れてないが、どうなってんだ。
「そうだな、俺の力についても知れたし、これから俺のすべきこともわかった」
結論から言うと、白石さんの言った『予知能力の時間が変わる』というのが、他の人に現れる条件を考えると、龍己はその条件に合わないことについては、"分からない"という結論になった。
龍己の力は条件に合わないが、俺は中学の時、龍己以外の人とはほとんど関わっていないなど様々な理由から見てもやはり龍己からその力を貰ったことが有力なのだ。
なら俺のすべきことはひとつ。
「龍己について調べるしかないな」
俺は龍己の事は色んなことを知っているが、俺にすら隠していたことがあるかもしれない。それについて調べる。これが今の俺ができることだろう。
「はぁー、なーんか色々なこと知れたのはよかったけどさ、知れたところでって感じなとこもあるよね」
「まぁそうだな……力については知れたけど、俺にできることは何も無いと言ってもいい」
国が予知能力について何か企んでいることは分かったが、高校生の俺に何ができる?国に電話でもしてみろ、最悪俺の力の存在がバレて死ぬことになるかもしれんし、地道に謎を解いていくしかない。
「……はぁ、疲れたしもう硬い話をするのはやめようぜ、とりあえず俺も帰るは、腹も減ったし」
なんだかんだずーーーっと無意識ながら緊張はしてたし、疲れが溜まっているのだろう、眠いし腹減ったし早く帰れりたい。
「ねぇ、よかったこれから一緒にファミレスとか行ってご飯食べない?」
黒鐘は腕を後ろに回し、首を傾げながら言った。
これから一緒にご飯食べないか?そんなの行くわけな────いやでも、今回白石さんの話を聞けたのは黒鐘のおかげだ。つまり黒鐘には1つ借りがあるということだ。
なら、ここは黒鐘の頼みに答えるのが道理だろう……仕方ない、今日だけは行ってやるか。
「わかった、行こう」
俺がそう言うと、黒鐘は驚いた表情をした。
「え、以外だね、絶対断ると思ったよ」
「ふっ、お前には借りがあるからな、今日だけだぞ」
「借り?借りなんてあったけ……」
いや無自覚かい。お前のおかけで白石さんと話せたんだぞー、今日のことすら当然の事をしたまでと思っているのかな黒鐘は。
「んで?ファミレスと言っても、どこ行くんだ?」
「この近くだとガストとか?」
ガストか、しばらく行ってなかったな。
俺たちはここから歩いて5分ほどの所にあるガストへ向かった。
「いらっしゃいませ〜、2名様ですか?」
恐らく女子大生のアルバイト店員だろうか、慣れた口調で入店してきた俺と黒鐘に言った。
「はい」
「ではあちらの席へどうぞ〜」
店員に言われた2人用の席に俺と黒鐘は座った。
「仁は何食べる?」
「うーん、俺はパスタで」
「うわ、女子っぽい」
女子っぽくて悪いか?パスタは好きなんだよ、どんな味でもな。
「そういうお前はどうするだ?」
黒鐘は「うーん」少し悩んでからメニューを決めた。
「私もパスタにしよっかな」
「なんだ、一緒の注文するのか」
「まぁね、さ、早く注文しよ」
そう言うと黒鐘は呼び出しボタンを押した。
「お待たせ致しました〜、和風パスタでごさいまーす」
先程の店員がそう言うと、俺の前には美味そうなパスタが置かれた。
「ごゆっくりお寛ぎくださいませー」
そう言って店員は去っていった。
「んじゃ!いただきまーす!」
黒鐘はどこか上品そうにパスタを食べ始めた。
さて、俺も食べるか、マジで腹減ったし。
パスタは、安定の美味さだった。
「それにしても今日の話的に、君、結構危ない立場だよね?」
……まぁそうだな、俺と同じ力を持っていた人間は全員亡くなっている、つまり俺も最悪殺されるってことだ。
「そうだな、とりあえず誰にも俺の力のことは言わないようにしよう、まさか黒鐘、俺の力のこと誰かに言ってないよな?」
「碧ちゃん以外には言ってないよ」
なら大丈夫だろう。と言ってもできるだけうっかり言わないことには気をつけないとな。
「まぁもし君が殺されそうになったら私に任せてよ」
何をどう任せるんだ。
「君のことは絶対殺させないから」
「ふっ、その告白みたいな言葉、白石さんから聞きたかったよ」
「こ、告白?そんな風に聞こえたの?」
黒鐘は恥ずかしかったのか、顔を隠すように俯いた。
「ふっ、お前が恥ずかしがるなんて珍しいな」
「もう!笑わないでよ、恋愛とかには慣れてないんだから……」
恋愛に慣れてない、つまり今まで恋愛とは遠い関係だったと?
「なら大丈夫だ、俺も今まで恋愛なんてしたこと無いし、する気も無いからな」
俺はパスタを食べた。傍から見れば俺たち、カップルに見えてるのかな。
「まぁその力がある限り出来なそうだけど……もしその力が無くなったら恋愛する?」
「どうだろうな、この力が無かった時から恋愛とかには興味無かったし、しないかもな」
「そっか……」
黒鐘は微笑みながらも、少し残念そうな顔をした。
「……黒鐘は、好きな人とか、いないのか」
ふと俺は聞いてみた。黒鐘の好きな人、まぁ答えは予想がついているがな。多分内緒とか言うのだろう。
「うーん、私かー」
少し悩んでから、黒鐘は答えた。
「いる、かな?」
なんで疑問形なんだ。てか、いるのかよ。俺じゃないよな?流れ的に実は君だよーとかやめてくれよ?
「いるのか、なんか意外だな。お前って誰にでも優しいから、そういう人はいないのかと思ってたよ」
「いやいや、私だって好きな人くらいいるよ、教えないけど」
まぁだよな。でも好きな人いるとなると、白石さんの貸しを返すのは厳しそうかな……
その後もたわいもない会話をしながら、俺たちは夕食を食べた。
19時前、会計を割り勘出払った後、俺たちは店内から出た。
「いやー美味しかったね、久しぶりに食べれてよかったよ」
そう言いながら黒鐘はお腹をさすった。
なんだかんだ外食したの結構久しぶりだったし、来れてよかったのかもな。さてと、飯も食べたしそろそろ帰るか。
「んじゃ、俺は帰るよ」
「うん、分かった。今日はありがとね、また明日」
「おう、またな」
そう言って、俺は自宅へと向かった。
仁の自室にて。
仁はスマホに保存されている龍己の写真を眺めていた。
改めて、俺は考えていた、龍己は、俺に力のことを隠していた素振りを見せていたかを。
が、考えてみてもそんな素振りは無かったと思う。ならやっぱり、俺の力は龍己から貰った訳では無いのか、だがそうなるとやっぱりおかしいんだよな。
俺は誰からこの力を貰ったんだ……
もしも本当に偶然、力を持っている人の体液をたまたま摂取したとなると、もう誰から貰ったのかは分からない。
そうなると、俺に出来ることは何も無いぞ。
はぁ、考えても分からないし、とりあえず近いうちに龍己のお母さんに龍己のこと聞きに行くか……
これからのことを考えながら、俺はベットに潜り込んだ。
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