メイリン、対話する
私は現在、領内にある集落に来ていた。
「メイリン様、この様な所にわざわざ来ていただかなくても読んでいただければこちらから来ましたのに……」
「いえいえ、領民がどんな生活をしているかを知るのも公爵としての役目ですから」
私と話しているのは集落を収めているリョウガという男性だ。
年齢は60代だけどそうは見えない若々しさを保っている。
「最近、暮らしはどうなんですか? 何か困った事があれば言ってくださいね」
「ありがとうございます。特に困った事はありませんがやはり年には勝てなくなってきてまして体力的に農作業がキツくなってきております」
「若者達はどうしてるんですか?」
「農業を毛嫌いして街に出ていってしまいます……」
農業は国の糧なのに若者はわかっていないのが多いんだなぁ。
我が領地は自然豊かで幼い頃の私は野山を駆け回っていた。
そういえばリョウガが私に色々教えてくれたんだよなぁ……。
「メイリン様、どうかされましたか?」
「えっ、いや昔を思い出していたのよ」
「あぁ〜、あの頃はメイリン様はかなりのお転婆でしたなぁ」
「お父様もお母様も相手をしてくれなくてリョウガが相手してくれていたのよね」
「そうでしたなぁ、メイリン様は我々領民にも身分関係なく接してくれていましたなぁ」
「そうね、身分とかわかっていなかったから。でも、今でも変わらないわよ。私着飾るよりも畑を耕したりする方が好きよ」
「メイリン様自らですか?」
「そうよ、暫くは社交界には顔は出さないつもりだし領地の開拓に力を入れるつもりだし、ていうか自分で作った野菜を料理して食べるのが夢だから」
「いやぁ、変わりませんなぁメイリン様は。でも安心しました。メイリン様はきっと良い領主になりますし公爵家も繁栄しますでしょう」
「買いかぶり過ぎよ、まだ結果を出してないんだから」