メイリン、新聞を読む
キバルトが逮捕されて1週間後が経過した。
「お嬢様、新聞に例の事件が載っていますよ」
「もう調べがついたのね、どれどれ……」
記事の見出しは『贋作売りの悪徳商人、逮捕!』となっている。
「素直に取調べを受けているみたいねぇ」
「そりゃあお嬢様の迫力に圧されたら」
「私、そんなに怖い顔してたかしら?」
「怖いというか、微笑んではいましたが目は笑ってはおりませんでした」
メイドや執事の答えを聞いて、ちょっと気をつけようと思う。
「あの贋作の絵はキバルト本人が書いていたみたいね。画家を目指していたけどなかなか結果が出ず貴族からは門前払い、生活の為に模写を始めたら売れてそこで味を占めたらしいわね」
「勿体無いですね、才能はある筈なのに……」
あれだけの模写が出来るのならば絵の才能はある筈だ。
だけど地位や身分で評価してしまうのが貴族の悪習だ、そのせいで才能ある人物が不当な扱いを受けてしまうのが現状だ。
だからと言って悪の道に進むのは良くない事だ、厚生を願っている。
それから更に1週間後、家の整理が漸く終わった。
「だいぶスッキリしたわね」
屋敷内を見てウンウンと頷く。
勿論、売れる物は売って売れない物は処分した。
これで新生トースイット家が始められる。