3.瞳に映るは、特別な世界。
【速報】作者、寝てない【定期】
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「それで、生徒会長。アルスさんに何の用でしょうか……?」
「あぁ、そんなに身構えないでくれ。ささ、そこに掛けてくれ」
他の生徒会役員は出払っているのか、部屋には誰もいなかった。
会長――クライスさんは、微笑みを浮かべたままボクたちにそう促す。いったい何だろうか、と思いながらも指定された場所に腰かけた。
すると彼は、手慣れた様子で飲み物を出してくれる。
「……さて。それでは早速、本題に入るとしようか」
そして、自分の分も用意すると対面に座ってそう言った。
クライスさんはそこでようやく、真剣な表情になる。思わず息を呑むその鋭さに、ボクとセシルは身を固くしてしまった。
そんな空気の中で、会長が指摘したのはある一点についてだ。
「アルスくん。キミはアビス家の子息が魔法を行使しようとした時、いったいどこに視線を向けていたのかな」
「え……?」
それは、思いもしない内容。
ついボクは気の抜けた返事をしてしまった。
するとクライスさんは、一つ息をついてこう続けたのだ。
「相手が魔法を使おうとしている時、たいていの人間は使い手の動きに注視するものだ。どの属性でも構わないが、相手が魔法を使うと察した場合に見るべきは挙動なんだよ」――と。
彼の話を要約すると、こうだ。
本来ならば魔法を行使する相手の動きを見て、回避に専念するべき状況。その中でどうして、ボクが周囲に気を配っていたのか。
それは普通であれば、まずあり得ない反応に違いない――と。
「え、でも……」
クライスさんの指摘は、きっと的を射ているのだろう。
セシルも頷き、ボクを見ていたのだ。だけど、
「二人には、見えないんですか……?」
「見えないとは、なんのことかな」
ボクには疑問しかなかった。
何故なら、二人の語ることそのものが『ボクの普通』と異なっていたから。
「もしかして、魔力の粒子が見えないんですか……?」
そう、ボクと二人の決定的な違いはそこだった。
ボクの目にはたしかに、魔法を構成する粒子が見えている。しかし、セシルとクライスさん――いいや。ボク以外の人間にはその粒子が視認できないのだ、と。
彼らの感覚と常識。
それらは、ボクの持つものとは真逆だった。
「……そう、か。なるほど」
「クライス会長、これって……?」
困惑するボクと、状況が読めないのだろうセシル。
対して会長は顎に手を当てて、なにかを考え込んでいる様子だった。しかし数秒の間を置いた後、真っすぐにこちらを見て語るのだ。
「アルスくん。きっと、キミの瞳に映っている世界は素晴らしい」
忌避するわけでもなく。
ただただ、肯定するようにして笑うのだった。
「もしかしたらキミは、神から大きな使命を授かっているのかもしれないね」――と。
冗談めかした言い方で。
しかし、不思議と現実味を感じる声色だった。
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