1.アルスの過去と重なる光景。
ここから第1章!
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「近寄んじゃねぇよ、役立たずの穀潰し!」
「そんな……!」
この時代に来る前のこと。
ボクは魔法を使えないことを理由に、村の人々から穀潰しと呼ばれていた。しかしそれだけではなく、常に距離を取られていたのだ。
何かしらの暴力を受けたわけではない。
むしろ逆だ。
無視をされて、腫物のように扱われて。
友達らしい友達もいなかった。だから――。
『私と、友達になってください!』
目が覚めて、初めて会った彼女の言葉が泣きたいほどに嬉しかった。
◆
魔法学園での勉強は、ボクにとって刺激的なものだった。
そもそも魔道具の数々が生まれた経緯や、その歴史という授業が興味深い。はるか昔、魔法の才がない少年の研究を基にして発展した魔道具は、いまや生活に欠かせないものとなっている。自分と似たような境遇の人物が、そのように後世に成果を残したのは嬉しい話だった。
「あとは、魔道具構造学を履修したいな」
この学園では、全体授業のほかに自主選択科目制度がある。
ボクは年齢上転入扱いなので、これから選択する、ということだった。
「そうなると…………ん?」
だから履修登録解説書を見つつ、今後のことを考える。
――と、その時なにやら声が聞こえた。
「ここは、空き教室かな? いったい、なにが――」
「お前みたいな穀潰し、理事長のコネがないと入学なんてできないんだよ!」
「…………え?」
それは、まるで自分に突き付けられているようで。
思わず息を呑んでしまう言葉だった。
だけど、それを突き付けられているのはボクではない。
数人の学生に囲まれているのは、見覚えのある少女だった。
「セシル……?」
そこにいて、悲しげな表情を浮かべるのはセシルだ。
彼女は特に抵抗することもなく、言い返すこともなく、ただ他の学生からの罵詈雑言を浴びせられていた。これは、どう見ても……イジメだ。
そう思った瞬間、ボクの身体は勝手に動いていた。
「おい、何とか言えよ――――あん?」
「やめなよ、そんなこと!」
「……誰だよ、お前」
そして、一番偉そうな学生の腕を掴む。
するとその男子は、訝しみながらそう訊いてきた。だから、
「ボクは、セシルの――」
勇気を振り絞り。
過去の記憶がフラッシュバックするのに耐えながら、言い返した。
「彼女の、友達だ……!!」――と。
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