1.【悪魔】と呼ばれた青年。
試行錯誤(*‘ω‘ *)
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「うおおおおおおおおおおおおおおお!? すごい、なんだこれ!!」
「え、なにって冷蔵魔法庫ですけど……」
「冷蔵魔法庫……!?」
ボクと彼女――セシルが研究室を出ると、そこはリビング。
一人暮らしというには、少しばかり広いように思われる場所だった。しかし、こちらの興味を引いたのは部屋の片隅にあった箱である。
当然ながら、ボクのいた時代にはなかった代物だ。
「冷蔵魔法、ってことは物を冷やすんだよね?」
「そうですね。食品とか、飲み物とか……」
「お、おおー……!」
こちらが訊ねると、セシルは中から冷たい品をいくつも取り出してみせる。
手渡されて、思わず感嘆の声が漏れてしまった。そうなると、次に気になってしまうのは――。
「――ねぇ、これってどういう魔法理論なのかな!?」
冷蔵魔法庫が、いったいどのような理論のもとに成り立っているのか。
それを知りたかった。可能ならば、その魔法理論について語り明かしたいものである。――という研究者の性が出てしまったが、返ってきたのは残念なものだった。
「すみません。私は魔道具専門ではないので、原理までは……」
「あ、そうなの?」
彼女曰く現代における魔法とは、素養のない人も、不便なく行使できるように開発されているのだという。例えば、ボクの時代では火属性を使える人は氷属性を使えない。
でも、ここでは違うのだ。
誰もが平等に、分け隔てなく魔法を体感できる。それは、とても――。
「凄い……! 凄いことだよ、それは!!」
画期的だった……!
こんな世の中ならきっと、魔法の才があるかないかで差別は受けない。悲しむ人はおらず、また穀潰しだと迫害される者も生まれないはずだ。
だからこそ、ボクの抱いた感動はひとしおだった。
「あの、そんなに凄いのですか……?」
「ん? 凄いよ、だって――」
不思議そうにするセシルに、ボクは理由を答える。
何故ならボクは、封印される前の時代において……。
「――ボクは、どんな属性の魔法も使えないからね!」
迫害される側の人間、だったのだから。
◆
――自分は迫害される側の人間だった。
アルスの言葉を聞いて、セシルは首を傾げてしまう。
嘘をついているのだろうか。しかし魔道家具の数々を興味津々に見比べ、感動して目を輝かせている彼の姿を見ると、それが嘘でないことが分かった。
でも、それだと違和感がある。
「だったら、あの文献に書いてあったのは……?」
セシルは自分の読み解いた文章の内容を思い返し、頭を悩ませた。
そこに書いてあったものと、目の前の少年はまったく一致しないのだから。
「…………封印されし者、すべての魔法理論を破壊する」
一節を口にして、彼女はこう口にした。
「従って我らは、この者を【悪魔】と称する」――と。
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