02
第二話です!
よろしくお願いします!
「ほら、坊や。ママですよ~」
目を開けると、隣にいる母の姿が見えた。
「あうあう、あぅぅ」
「可愛いねぇ、いい子いい子」
母はそう言って横になったまま俺の頭を撫でる
少しすると、病室に父親らしき人が入ってきた。
「お待たせ、立ち会えなくてごめんね」
「あなた、来てくれたのね。見て、これが私達の息子よ」
父は母のベッドの隣に座り、俺の頬に手を当てる。
「可愛いねぇ、嬉しいねぇ。泣いてしまいそうだよ」
そう言っている父の目には涙が浮かんでいた。
「何言ってるのよ、可愛いに決まっているでしょ」
母は父の背中を叩いているが、母も目には涙が少し浮かんでいた。
自分に子どもが生まれるなんてことは彼女が人生で一度もできたことのない俺には縁のない出来事だったからいまいち気持ちがわからないが、二人の顔を見るとどれだけ嬉しいのかがわかる。
っとその前に。何故この二人の話している言葉が理解できるんだ?
仮定その一、俺の前世と同じ世界に転生した。だから、言葉を理解できている。
仮定その二、俺が転生したのは異世界だが、天才だから言葉が理解できている。
この二つがありえそうだな。
天才だったらそりゃあ嬉しいし、まぁ、前世と同じ世界は嫌だな。
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一ヶ月の月日がたった。
俺は一か月の間にこの世界の事を理解できたと思う。
まず、俺の再び生まれ落ちたこの世界、前世とよく似た世界だが、どうやらその世界の延長線上にあるような世界らしい。
地図を見た限りは前世と全く変わらなかったから地理的には同じ世界なんだと思う。
あと、俺と家族について。俺の名前は持田吹、最近ハイハイができるようになった。
そして、食卓でパソコンを使い、仕事をしているのが父親、持田謙太。スポーツ雑誌の記者をやっているらしい。黒い髪を伸ばしているが、目を出しているからかそんなに悪い印象はない。
今、台所で料理をしているのは、母親の持田瑠花、髪を茶色っぽく染めて、後ろで一つにまとめている。
そして、今住んでいる場所は吉祥寺らしい。前世だと吉祥寺なんて家を建てるのもマンションに住むこともかなり難しい高級住宅街だったはずだけど。
まぁそれでも俺は吉祥寺になんて行ったこともない上に、家の値段も知らないから今住んでいる所がどれくらいすごいのかわからないがな。
もう一つ、これが元いた世界との決定的な違いだが、この世界には異能力が存在するらしい。
「本質」と呼ばれているらしいのだが俺はまだその能力を見たことがないからまだ信じていない。
1歳になると能力があるかどうかの検査をするらしい。
だが「本質」は遺伝したものが大半と言われているから家系に今まで一人もいない俺が「本質」を持っているかどうかの望みは薄い。
まぁ俺はまだ生まれて一ヶ月だから能力があるかないかわからないが、能力があったらいいな、とは思う。
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その後、1歳になって少し経った頃。
「本質」があるかどうかの検査をするために、病院へ来た。
「吹くん、持田吹くん。3番の診察室へどうぞ」
お、俺の番が来た。
「吹、行こうか」
そう言って父がベビーカーを押した。
読んで頂きありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!
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