第7話
ユウキは、韓国内に封じ込められたモノミーのプログラム消去へと取りかかる。しかし、モノミーは自己増殖機能が備わっており、プログラムの完全消去は出来なかった。一応、韓国内での封じ込めには成功していたので、韓国以外の国でのモノミーの被害は避けられるようになった。
そして世界は、一時的に平穏を取り戻した。ただ、モノミーは、韓国内のネットワークには存在し続けており、韓国自体の経済危機を発端とした国の混乱の状況が収束していない状況では、いつネットワークの閉鎖網を破られるかはわからないというリスクはあった。また、各国ともモノミーの脅威が去っていない以上、以前のような活発な証券や商品などの取引を行うわけにはいかなかった。モノミーの被害の少なかった、米国や日本も、結局、市場取引を再開するわけにはいかず、取引自体は縮小していった。それは人々が、今まで利便性を追求しすぎていたことに気づく人々が増えてきたためだった。ただ、ユウキはモノミーへの研究欲が消えていなかった。というより、ユウキが生み出してしまったモノミーを自分自身の手で何とか消してしまいたいと考えていた。それには、消去のためのモノミーの研究が必要であった。そこで既に渡航が禁止されていた韓国へ渡ろうと画策したのだった。表の韓国ルートは、かなり厳重な監視下にあったが、北朝鮮へ渡る裏ルートを逆にたどることで、韓国内への侵入を図ることはできた。ユウキは、モノミーを捕獲しようとモノミーへのアクセスおよびダウンロードを試みる。しかし、モノミーを韓国内ネットワークに封じ込めながら、モノミーをダウンロードすることは出来なかった。モノミーは、経済性の低い取引には見向きもしなかったので、おびき出すこと自体できなかったのだ。