57/244
第57話
ユウキは、バーチャル世界での様子を確認した。近くには、エクシアの姿が確認できるだけで、他のアバターの存在は確認できなかった。ただ、しばらくすると、ユウキたちの目の前の景色がぼやけてきて、何か人間の形をした映像が現れてきた。
次第に、その形がはっきりしてくると、軍服を着た男が現れた。
「あれ、ここはどこだ。」
男は不思議そうに当たりを見回していた。
「ここは、仮想空間の世界です。ひょっとして、李さんですか。」
「ええそうですが。あなたは。」
「私はエクシアです。」
「え、あなたがエクシアさん。じゃあ、ここは電脳世界ということですか。」
「はい。無事にコールドスリープに入られたようですね。」
「ああ、そうですね。私はコールドスリープの実験に参加していたのでしたね。しかし、こんなに意識のはっきりした電脳世界が用意されているなんて思っていませんでした。」
「私も、ここまで精巧な世界観が設定されているとは思いませんでした。結構、この世界は広いようですね。」




