第5話
ユウキは、各国の首脳陣へと打診するが、種々の思惑が重なりなかなかうまくいかない。そうしているうちに、モノミーによる市場介入が原因で財政破綻してしまう国が出てくる。イギリス、フランスといった先進国ですら、順次、破綻していくような状況だった。日本は、国債発行高は多かったが、企業、家計ともに資産形成がなされていたので、日本国自体の資産負債バランスは何とか取れており、かろうじて破綻は逃れていた。ただ、国債市場での売買ができない分、新規発行で購うしかなく、新規発行分がモノミーのターゲットとなっており、モノミーの思惑通りの市場介入ができるようになるのは時間の問題だった。国債発行の1/5がモノミーの手中になった段階で、日本政府はいったん国債発行をやめようとした。しかし、長期間、発行しない状況が続いてしまうと、社会保障費が膨らみつつある状況で、国家運営自体が回らなくなる可能性がある。しかたなく、新規発行を銀行団向けに行おうとするが、モノミーは、それを察知し売り圧力をかけた。結局のところ、銀行団は国債による多大な含み損失を出す結果となり、日本の大手金融機関も、破綻寸前の状況へと陥ってしまった。