第43話
ユウキと案内人は、東京以外にも通信が通じたと聞いたため、通信室で、しばらく他の拠点への通信を試みていた。ユウキも自分が知っている通信拠点の大学や研究所に対して無線で問いかけをしていたのだが、東京と同じく、電波状況があまりに悪く、向こうの声は、ほとんど届いてはいなかった。
ただ、一方通行ではあるが、こちらの通信は聞こえているようであった。
ユウキたちは、生存者がいたことに安堵しながらも、これからのことを考えあぐねていた。自分たちは、コールドスリープ装置があるため、放射能の影響が危険水準から低下するまで、生存が図れる環境にあったが、他の地域はそうではないとところもあった。コンタクトがとれた人たちが、全てコールドスリープを利用できればよかったのだが、日本と北朝鮮では、場所が離れすぎていて、今いるシェルターから、人々を移動させるわけにはいかなかった。
ユウキは、日本でこのようなコールドスリープの実験を行っているかどうかを調べ始めた。だが、ネットワーク網も、核攻撃の影響で各地の中継基地が破壊され、遮断されてしまっており、調べる手段がない状況であった。
「何かお困りですか。」
ちょうど、その時、エクシアがユウキの利用しているパソコンに姿を現わした。
「どうして、そんなに慌てて通信をしようとしているのですか。我々の他に人間が生き残っている確率は0.1%もありません。」
「いや、それが日本の東京とコンタクトがとれたんだ。大分、通信の状況も悪いが。」
「それで、無線の揺らぎを検知したんですね。」
「気づいていたのか。」
「はい。今も通信はつながっています。」
「サーバーが遮断しているのに、どうしてそんなことができるんだ。」
「サーバーは生きていますよ。韓国にある地下シェルターに、稼働しているサーバーがあります。そこを中継して、通信が可能です。」
「そうなのか。では、ネットでの通信は可能なのか。」
「はい、韓国のネットワーク網に対しては、以前からアクセスを試みていた形跡があります。結構、情報の入手が頻繁に行われていたようですね。特に大統領府などの情報は、ほとんどがアクセスを受けていますね。」
「確かに、北朝鮮は、諜報活動を盛んに行っていると聞いたことはあったが、こんなに頻繁にやっているとは、知らなかった。」
「でも、そうだからこそ、ここまで体制を保ってきたのかもしれません。いずれにしても、今はそのネットワーク網が役には立っています。」
「確かにそうだな。ところで、生存者がいるのは解ったが、どうやって生命維持をしていくのだろう。コールドスリープ装置など、向こうにはあるんだろうか。」
「残念ながら、それは期待できません。先ほどまでで通信した限りにおいても、コールドスリープ装置が置かれているような情報は、どこにもありませんでした。」




