第4話
その中、ライフラインとその情報を得るための情報網の確保が急務となっていった。日本は、かろうじて被害が少なかった国だが、もともと資源は少なく、また食料自給率が高くはなかったため、情報網の確保は急務であった。
そこで「モノミー」を生みだした研究者のユウキにも白羽の矢が立った。ユウキは「モノミー」の探知を続けていたが、ネットワークが広大すぎてどの部分が人工知能のコアなのか探し出せてはいなかった。一方で、モノミーの調査が行き詰っている状況下では、人間の生活の安定化が急務であったため、ネットワークの再構築に携わることとなった。前提となる電力供給や、光ネットワーク網は被害を受けてはいなかったので、いかに「モノミー」の監視をかいくぐって、情報を入手できるかということを模索し始める。一方、「モノミー」探索のための手段としてバーチャルリアリティを利用した探索方法も検討され始める。ただ、AI機能を分散化させているため、ログ探知ではAI機能のすべてを探知することはできなかった。ユウキは、いったんスタンドアロンでの解析に挑むが、やはりネットワーク網で動く「モノミー」には追いつくことができない。
そこで、各国で研究されているスーパーコンピュータの同時解析による分析を試みる。
だが、意思を持つ「モノミー」は、画一的な計算しかできない既存のコンピュータとは違っていた。画一パターンでないため、先回りでネットの海に逃げることができたのだった。埒があかないユウキは、「モノミー」が現れる根本原因を検討し始める。当初、全く原因はわからなかったが、研究の最中に、「モノミー」が得た資金を運用していいて、その運用実績は良好であったことは認識していた。最初は、金融機関での利用をしているシステムであり、当たり前という感覚であったが、矢継ぎ早にいろいろな運用手段をとってくるところから、単なる金融機関システムではなく、積極運用を行う投機的選好の側面をもっていることに気づく。ということは「モノミー」は金に対する執着心を持っているということだったのだ。
そこで「モノミー」をおびき寄せるため、偽の株、商品の売買取引を持ちかけ、「モノミー」が有している富を奪還することを考え出す。しかし、「モノミー」は、あらゆるパターンの取引形態を経験しており、すぐに偽取引を見破ってしまう。逆に、「モノミー」からの偽取引によって、市場はさらに混乱を極めることとなってしまった。各国首脳陣は、さらに新パターンの取引により「モノミー」封じを試みるが、これらもことごとく見破られ、「モノミー」の思うつぼとなっていた。ユウキは、これらの行動を調査していたが、特にヒントはなく、途方に暮れている状態であった。




