第241話
そこでエクシアは、人間との物理的な接触が可能となるように、疑似的な肉体を作ろうと考えた。幸い、エクシアが接触していたシェルターの中で、人間を模したアンドロイドを製造する拠点があり、そこには大量のアンドロイドの器となる人型の人形たちが保管されていた。
今、ユウキたちがいる拠点とは少し離れたロシア領内の拠点であったので、比較的容易に通信が可能という場所であった。ただ、核攻撃後は、放射能の影響もあり、直接にシェルターに行くことはできていなかったが、最近は、ロシア領域も、放射能の影響が少なくなっており、シェルターの近隣2,3キロぐらいならば、屋外での活動が可能となっていた。
ただ、さすがに放射能レベルが下がったとはいえ、一定水準の残留放射能はあったため、屋外作業のための活動のために、アンドロイドが作られ、そのアンドロイドが中心になって種々の作業が進められていた。ユウキたちのいるシェルターでは、アンドロイド制作の材料がなかったため、このロシアのシェルターより、数体のアンドロイドの提供を受けることになった。
このロシアのシェルターは、核攻撃前は、地域一帯の主力の軍事工場となっていたため、アンドロイド制作も盛んに行われていた。そのため、核攻撃前にもかなりの在庫を保有しており、そのメインがアンドロイドであった。
ロシアも、近隣諸国との紛争で、軍事的な人材が不足していたため、アンドロイドによる軍の再編成が急がれていた。そこで紛争地帯から遠方の極東地域の工場群で集中的にアンドロイドの生産が行われていた。但し、人工知能の開発前に核攻撃が始まってしまったために、大量の躯体だけが生産され、実用化までには至っていなかった。
エクシアの方は、自分自身のプログラムが搭載できる躯体さえあればよかったので十分ではあった。問題はどのように躯体を運搬するかが問題であったが、既にそのロシアのシェルター拠点とは通信が確立されており、後は、アンドロイドに自分のプログラムを移植し、可能な限り運搬できるアンドロイドをユウキたちのいる北朝鮮のシェルターに移動すればよかった。




