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第202話
「いや、特に急ぎというわけではないのですが、先ほど、通信記録で、ユウキさんとあなたが話しているというのを見たので、何かあったのかと思いまして。」
「特段に何もなかったですよ。李さんの方では、どうですか。」
「生存拠点との通信は、特に滞りなく行えています。現時点で生き残っている拠点に対しては、ほぼ網羅的に接触出来ているかと思います。」
「そうですね。ただ、私も正式に調べたことがないので、一度確認してもよいかもしれませんね。」
「私もそう思います。確かに、通信業務を開始した当初には、地図である程度区域を分けていたのですが、その後の混乱で漏れている地域もあるように思います。」
「では、一度ユウキと相談して、調査を開始しましょう。できるだけ早い方がいいですね。」
「それは、何故ですか。」
「放射能の影響が少ない区域も出てきたようですので、ユウキが日本に帰国することを考えているようです。」
「帰国ですか。確かにユウキさんも故郷の様子は気になるでしょう。ましてや、通信ができていない地域であればなおさらでしょうね。」




