第178話
まず、移動する船であるが、大連などの大きな港は、主要都市近隣ということで、核攻撃の被害を被っていた。だが、その近隣の港では、核攻撃の被害や、その後の放射能汚染レベルも低いところがあり、そこでは船も存在しているようだった。また、遼寧省では、核戦争前に秘密裏に石油精製所が建築稼働しており、そこは核攻撃の被害は受けていない状況であった。
その一帯は、秘密裏の造船を中心とした工業地帯もあり、残されていた建材もあったため、新造船を作ることもできていた。そして、日本や沖縄、台湾との船による移動も可能となっていた。途中の海上ルートも、核攻撃からはかなり離れていたこともあり、逆にほとんど汚染されていない状況であった。さらに、中国からの海上移動から到着する港としては、島根近辺の漁港が核攻撃を間逃れていた。そして、島根からの移動手段として車両の確保、東京までの放射能汚染の少ない地域のルート選択も、日本海側を中心に、岐阜を通り抜け、山岳地帯から東京へと移動することも可能なようであった。
ただ、岐阜から先に関しては、首都圏までの間、核攻撃の被害がかなりひどい地域を通る必要が出てくると予想されていた。この間は、まだ各シェルターも、シェルター同士の往来は基本的にできておらず、まだ放射能汚染の水準の自然な下落を待つしかなかった。その放射能汚染の人体許容値までの経過期間はコンピュータの計算によると、もう1年程度は必要という計算結果であった。




