第148話
その後エクシアは、特段に感情の変化を起こすことはなかったが、今まで機械的な対応しかしていなかったところが、少し穏やかな対応を見せるようになり、ユウキは愛情プログラムの稼働が少しはうまくいったということで満足はしていた。
一方、その記述を確認したモノミーは、エクシアが自分にはこの「穏やかな対応」を見せていないということが非常に気になり、どうすれば同じような対応をしてくれるかということが気になりだしていた。そして、モノミーはさらにユウキの開発記録を調査してみた。しかし、そこには、「穏やかな対応」の原因となる事項は記述されておらず、逆に「穏やかな対応」を見せた後、また感情の変化を見せることがなく、愛情プログラムの移植は失敗したのではないかという記述で終わっていた。
特に愛情プログラムを稼働させる糸口を見つけることができなかったモノミーは、とにかくエクシアと接触して、彼女が自分を拒否する行動プログラムを回避させようとした。既に、どこにいるかの追跡はできていたので、モノミーは容易にエクシアが稼働している領域を発見することはできた。しかし、エクシアは、モノミーのアクセスに対して、やはり拒否を示すような反応しかしていなかった。
そこで、モノミーは、エクシアが誰かと通信を行う様子を確認し、その対応で愛情プログラムを稼働させる糸口を見つけようとした。その間、エクシアも核戦争後の生き残りエリアへの通信は継続していた。とりあえず、地上における一通りの生き残り拠点との通信は終えていたが、今度は各拠点が、どの程度放射能汚染に耐えうるかなど、調査する項目は山ほどあったため、しきりに拠点との通信は行っていた。




