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勇者の息子は地球出身  作者: 潮柳
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第13話 冒険者として最初の朝

ストックが無くなったので調べながら書いてるので時間がかかります……。

 ……とんでもない夢を見た気がする。ぐったりしながら目を開けると目の前にロボがいた。ベッドに前脚を掛けて俺を覗き込んでいたよだ。

「おはよう、ロボ。ナイトは?」

「わぅ。あう、おん」

 頭を撫でて訊くとミニキッチンがある扉の前に行って尻尾を振る。ああ、シャワーかな。そう思っていると扉が開いた。首にタオルを掛けているからやはりシャワーを浴びていたようだ。

「おはようございます。よく眠れましたか?」

「おはよう。よく寝た気はするけど、変な夢見た」

「変な夢?」

「なんか……怪獣大戦争をBGMに金髪翠眼のお兄さん?お姉さん?と燦々と陽が差す庭園で動物に囲まれてお茶してた」

 金髪の人はめっっっちゃ顔が良かった。ただ顔が良すぎて男性か女性かわからなかった。あと顔が良すぎて顔が良い以外の情報何も憶えてない。アンギャーて感じのBGMが気になりすぎて声も憶えていない。

「天啓持ちが見る夢は予知夢になりやすいと聞きますが、状況が謎すぎますね」

「うん」

 目の前に広がる光景とBGMの差が激しすぎて意味不明だった。そしてその状況なのに俺わりと平然とお茶飲んでた。何? 予知夢だとしたら俺将来的にあの状況に慣れることになるの? やばくね?

「あまり気にしていてもどうにもなりませんし、朝食を頂きましょう。ダイナーのキッチンをお借りできるように昨日ナヒカ様に頼んでおきましたので」

「はーい」

 何はなくともまずは腹ごしらえか。顔を洗って着替えを済まして、一応今日は剣帯も巻いておく。昨日みたいなことになるとまた剥き身の剣を持って走り回ることになるし。世界樹の種子は顔を洗おうとするとバングルになり、顔を拭き終わると仮面に戻った。万能の鎧本当に万能が過ぎる。あとは鞄か。昨日父さんが追加でくれた荷物の中に手袋もあったな。これはポケットに入れておこう。

 ダイナーへ降りると、ナヒカさんはいなかったけれど、昨日見た気がする冒険者が何人かいた。みんなナイトのことも見てはいるけれど、どちらかというとロボに視線が集まっている気がする。ふわふわの吸引力すごくない?

 ナイトは気にすることなくカウンターの中にいた男性に声をかける。

「おはようございます。キッチンをお借りしても?」

「ああ。ナヒカから聞いてる。俺はビスタ。好きに使ってくれたらいいが、使い方がわからなかったら訊いてくれ」

「ありがとうございます、ビスタ様。私はナイトと申します。主人のユウ、そして同じ随獣のロボです」

 ナイトに紹介されたのでビスタさんと握手し、ロボを抱き上げる。

「おう。噂は聞いてるぜ。よろしくな」

「よろしく」

「おん!」

 ロボを床に下ろしカウンターに座って料理ができるのを待つ。ロボも伏せていい子に待っている。

 ダイナーの中が見える位置に座ったのでちょうどいいから冒険者を観察しよう。仮面だから視線はバレないはず。

 やっぱり鎧とかガッチリした装備の人が多いな。年齢が高めの人だけでなく14、5歳に見える子も簡素だが鎧は着ているので基本装備なのだろう、肌が見えている子はほとんどいない。昨日の鑑定結果を思い出す限り毒とか麻痺とかで攻撃してくる敵がいるんだろうしな、擦り傷一つが命取りか。

 しかし、建物は西洋っぽいが、人は白人に黒人、東洋人らしき人たちとなんでもありだな。それなのに黒髪は一人もいないから不思議だ。ブラウンや赤毛が多いようだがちょくちょく金髪や緑や青やピンクやいる。カラフル。まあ獣人やエルフやドワーフがいるならなんでもありなんだろうな。

 結構何人かでまとまっているからあの人たちはパーティを組んでいるのだろうか。レオもパーティを組んでいると言っていたし、そっちの方がメジャーなのかな?

 またウィルにちゃんと訊いておこう。推測ばかりではどうにもならない。

「お待たせしました。どうぞ。ロボも、はい」

「ありがとう」

 皿を持ってカウンターから出てきたナイトが隣に座る。椅子の間に入ってきたロボの前に皿を置いてやり、手を合わせる。いただきます。

 ベーコンエッグサンドにサラダ、コンソメスープ、牛乳。うん。美味しい。

「マスタードはあるのにマヨネーズがないのは納得がいかないのですが」

「……無かったのか……」

 どういう基準なんだろうね。じゃあこのサラダにかかってるのは即席マヨネーズかな。マヨネーズってこんな短時間で手作りできるのか。さっぱりしてて美味しいです。ロボはベーコンエッグと牛乳をもらっているようだ。ベーコンエッグにサラダも混ぜてあるっぽいな。

「旦那、このマヨネーズってやつのレシピは貰っていいのか?」

「ええ、そういうお約束でしたので」

「ありがとよ」

 なるほど、調味料のレシピと交換でキッチン貸してもらう約束したんだな。隣でサンドイッチを食べるナイトを見れば肩を竦められた。しかし、空中で食べ物が消えていくのは何度見ても不思議だ。しかも噛んだみたいに形が変わるところはわかるのに、そこからスッと消える。口に含んだと認定されると見えなくなるのか? 口無いのに。

「どうかしましたか?」

「いや。改めて見ていると不思議だなと思っただけだ」

 なんで今まで普通だと思って過ごしていたんだろう。慣れってすごい。

 朝食を終えて代金を払おうとしたら作ったのはナイトだからと拒否されかけたので、せめて材料費だけでもと粘ったら鉄貨5枚ということになった。銀貨1枚が銅貨10枚、銅貨1枚が鉄貨10枚なようで、銅貨9枚鉄貨5枚をお釣りとしてもらう。順調に硬貨の種類が増えていく。金貨、銀貨、銅貨、鉄貨とあるのか。……父さんに硬貨の種類と貨幣価値訊いておけばよかった。原子力空母で盛り上がってる場合じゃなかった。

「このあとはどうしますか?」

「そうだな、とりあえずギルドを覗いてみよう」

 昨日の子供がどうなったのかも訊きたいし。用意していた手袋を履いて剣帯に剣を通す。しかし、この剣シンプルだけど改めて長いな。鞘からは抜けるからいいけども。



 皿を返してギルドに繋がる扉を抜けるともう結構な数の冒険者が集まっていた。一瞬視線がこちらを向くが、これはもうしばらくは気にしないようにするしかないんだろうな。目立ちたくはないが、やらかしているので目立っても仕方ない。

「おはようございます」

「! おはよう。貴方は」

「はい、昨日お会いしました。ウーと申します」

 声をかけられて振り返れば昨日子供を預けたプラチナブロンドの職員が。ウーさんか。

「私はユウだ。ちょうど良かった。昨日の子供がどうなったのか訊きたかった」

「はい。あのあとすぐに親御さんが見つかりまして。ユウさんに大変感謝していらっしゃいましたよ」

 握手して訊くとすぐに教えてくれた。親御さん見つかったのか。よかった。

「そうか、よかった。教えてくれてありがとう」

 直接挨拶ができればよかったんだけど、それどころじゃなかったからな。

「今日はどうされましたか? 依頼を受けられますか?」

「それが、依頼の受け方を訊いていなくて。ウィルはいるか?」

「ウィルですか? では呼んできますので、掲示板を見ながら少々お待ちください」

「頼む」

 掲示板?と思ったけど、ホールを見回すと壁に大きな掲示板が掛かっていた。冒険者たちはそこに集まっているようだ。近づくとサッと避けられる。モーゼの十戒かな?? ふっとナイトが吹き出したのははっきりわかってるからな。半分ナイトのせいなのに!

 傷ついていてもどうにもならないので気にせずいく。

 どうやらこの掲示板に依頼が掲示されているらしい。横の方に人相書きがあるから何かと思ったら指名手配だった。指名手配犯の捕縛とかもするのか、冒険者。生死不問……、マジか。俺は魔物退治だけにしておこう。

 魔物退治でシルバーランクとなると……ロックバード、サラマンダー、ハーピー? ロックバードもハーピーも知らないんですが。サラマンダーは確か火を吹くトカゲだっけ? 魔法使う魔物も出てくるって言ってたからこういうののことかな? 

 ナイトが指差す紙を見ると、女帝の森の調査というのがあった。……その女帝って俺のこの服の素材に使われてる女帝の織り糸の女帝? 調査だけでオリハルコンランクが必要なの? っていうか、思い出したけど父さん女帝に吹っ飛ばされたとか言ってなかった? もしかして全部同じ女帝か? なんで吹っ飛ばされた相手の素材で服作ってるの。お友達なの?

「おはよう、ユウ。待たせたな」

「ウィル。おはよう」

「旦那もロボもおはよう」

「おはようございます」

「わおぅ」

 父さんについて謎が深まるばかりだが、ウィルが来てくれたので思考を戻す。

「昨日だけじゃ全部説明できてなかったからな。ついでに頼みたいこともできたから、ちょっと上に来てくれるか」

「わかった」

 頼みたいことってなんだろう?

 ギルドの二階に上がり個室に入るとウーさんもいた。何やらまた書類が用意されている。

「じゃあ座ってくれ。んで、ウー」

 はいはい。一旦剣は壁に掛けさせてもらおう。長すぎてとても座れない。

「はい。本来は昨日お渡ししておくべきものでしたが、少し時間がかかってしまいまして。申し訳ありません」

 ん? なんだと思ったらウーさんが銀色のバングルを差し出してきた。レオが外壁で出していたものに似ている……ということは冒険者の登録証か。左手に嵌めると一瞬世界樹の種子が騒ついた気がする。まさか……ヤキモチ……?

「特例措置を取ったうえで実力以下のランクに置いたからな。本当は登録証は名前とか職種とか彫るもんなんだが、ユウのは仮だ。ギルドのエンブレムが彫ってあるから登録証としては機能するから心配はいらん。昇格試験が終わったら正規のランクの登録証を用意するから少しの間それですごしてくれ」

「わかった」

 なんか、過大評価されてそうでめちゃくちゃ胃が痛いんだけど。これで試験受けた結果俺の正規ランクカッパーとかだったらどうしよう。

「依頼についてなんだが、早速だが指名依頼を受けてもらいたい」

「指名依頼?」

「そ。通常は依頼ってのは掲示板に張り出されたものを自分で選んで受けるもんなんだが、ギルドから冒険者を指名して依頼を出すことがあるんだ。それが指名依頼」

 ほん。

「どんな依頼だ?」

「昨日私が言ってたやつだ。レオに裏切られたってやつ」

「ああ、あれか」

 ウッドランクの実地演習だったっけか。

「急で悪いんだが、明日から二泊三日で頼みたい」

 本当に急だな。そりゃャンセルされたら頭抱えるか。にしても。

「私でいいのか? ナイトがいるとは言え、私も新人だぞ。しかもレオのようにパーティを組んでいない」

「目的地の平原はそこまで強い魔物は出ないから大丈夫だろう。ギルドからも人手を出すから人数も問題ない。ユウには非常戦力として付いてきてほしい。で、旦那には別口で受けてもらいたい依頼がある」

 紙を差し出されたナイトが戸惑いながら受け取る。

「私に指名依頼ですか? 東の森の調査?」

「おう」

「あの……受けること自体は構わないのですが、私、魔物ですよ?」

 ですよね。戸惑いもわかる。一応この世界でめちゃめちゃ警戒されてる魔物だもんね。

「今ここのギルドに旦那を警戒する職員はいないよ。ギルマスのお墨付きだ。東の森にはバジリスクがいてな。あれの相手は骨が折れる。勿論ユウに何かあればそちらを優先してもらっていい」

 バジリスク?

「ああ、あれがいるんですか。確かに、あれの相手はヒトには辛いですね」

 そうなの?

「では、お受けいたします」

「おう、助かる」

 バジリスクがなんなのかはわからないけれどナイトは依頼を受けることにしたらしい。ならよくわかんないけど俺も受けよう。

「なら私も受けよう」

「ありがとうございます」

 ウーさんから渡された依頼書に名前を書く。ナイトも同じように依頼書に名前を書いているようだ。

「ロボはどうする?」

「わぅ?」

 声をかけると椅子の横でウトウトしていたウトウトしていたロボが顔をあげる。ごめんね、暇だったね。

「バジリスク相手ではロボは危ないですね。ユウに付いていかせましょう」

「わん!」

「わかった」

 バジリスクが何かは知らないけどとにかく危険な相手なんだろうなっていうのはわかった。それにしても、初依頼受けちゃったよ。次はどうしたらいいんだろうな?

 さてどうしたもんかと思っていると、ウィルが頭を掻く。

「どうするか、今から旦那の顔合わせしようと思っていたんだが、ロボが完全に飽きてるな」

 飽きてますねぇ。起きたはいいけど膝の上に登ってきちゃったし。難しい話ばっかりつまらないよね。

「顔合わせなら私だけで十分でしょう。ユウ、ロボを散歩に連れて行ってあげてはいかがです?」

「そうだな。ロボ、街を見に行こうか」

 !!って感じでロボの尻尾が振られ始める。遊んでもらえる気配を察知したのかな?

「いいのか?」

「東の森の調査の件での顔合わせでしたらユウがいなくとも問題ないでしょう」

「そうだな。私はついでに泊まりの食料を用意しておこう」

 二泊三日俺とロボの分と何日になるかわからないナイトの分だ。父さんにいくらか貰っているとはいえ、きっと足りないだろう。剣を剣帯に通し直し膝を叩くとロボが横に付いた。訓練とかしてないんだけど、ロボはこういうのどこで覚えたんだろう。


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