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勇者の息子は地球出身  作者: 潮柳
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第12話 勇者の強さ

 勇者特権というのが何かと思って、なんとなくつついてみるとぽこんと展開した。まさかのタッチパネル方式!


名前:伊佐美 リアム

年齢:42

種族:人間

職業:勇者 冒険者

適性:魔導士 治癒術士 神官 賢者

スキル:天啓 直感 超直感 魔素感知 魔力探知 気配探知 超回復 高速思考 並列思考

耐性:毒無効 弱体無効 麻痺無効 狂乱無効 物理無効 魔法無効

特殊:勇者特権

 物理無効貫通 魔法無効貫通 防御無効 回避無効 超速回復 対幻想種戦闘時身体・魔法能力強化

 創造神の加護 精霊王の加護 冥霊王の加護


 これゲームだったら父さんが主人公でもラスボスでもクソゲーだぞ。なんだ無効貫通って。なんのための無効だ。貫通するな。

「それ押せたのか……」

 そして父さんですら知らなかった鑑定鏡の新しい機能を発見してしまった! ごめん現代日本っ子で! とりあえず触ってみちゃうんです。

「どうして神官や賢者が私を加護付きと言うのかずっと謎だったんだが、あいつらにはこれが見えてたんだな」

 父さんですら知らなかったことを同時に知ってしまった。

「神官と賢者?」

「私の友人で、勇者御一行の一員だ。二人とも鑑定スキルを持っているんだ」

 ほん。

「選定の剣が神造兵装だから、剣には加護が付いているだろうと思っていたが、私自身に加護が付いていたのか。精霊王と冥霊王まで。暇なのか?」

 暇を理由に加護とか付くの?

 父さんのステータスに引いていたらナイトがロボを連れて戻ってきた。ほこほこふわふわのロボが飛びついてくるので受け止めると指が見えなくなるほど埋まっていく。ふわっふわだねぇ。満足そうに尻尾振っているし、シャワーは気に入ったようだ。どうやって乾かしたのかは知らないが。

「お待たせしました……それは?」

「鑑定鏡だ。雄大のステータスを見ていた」

 父さんがそう言うので覗き込んだナイトが「は?」と振り向く。

「あ、それは父さんのステータスだよ」

「あ、確かに名前が違いますね。驚かせないでください」

 勇者特権とか出てるもんね。俺のステータス見てるとか言うと驚くよね。

「雄大は全耐性と、天啓と直感を持っていたぞ。世界樹の種子もあるし、余程のことでないと大怪我はしないだろう」

「全耐性ですか。一つ耐性があるだけでも珍しいのに……やはり旦那様の遺伝子は強いですね」

 マジか。父さんがまあいい方的な感じだから、耐性ってみんな持ってるものかと。

「ナイトのも見たい」

「私ですか? 構いませんが、あまり面白くはないと思いますよ」

 そう言いながらもナイトが父さんと場所を変わり鏡に触れる。


名前:ナイト

年齢:ーー

種族:首無し騎士(妖精)

職業:死王

適性:ーー

スキル:天啓 魔力探知 気配探知

耐性:ーー

契約:随獣契約


 おお……ほぼ何もない。

「ね? 言ったでしょう?」

「他の魔物ならともかく、首無し騎士だからな。年齢は生きていないから数えられないし、職業は……首無し騎士ということだろうな。耐性は攻撃が効かないんだから意味がない」

 そうなの?

「光魔法や神聖魔法で対応ができるって言ってたよ?」

 ウィルが。

「対応ならな。目眩しや気配遮断して逃げる時間を稼げるというだけだ。攻撃というのは」

 そう言いながら突然父さんがナイトを斬った。縦真っ二つに。

「こういうことだ」

 いつの間に剣を抜いてたのとか、なんで斬ったのとか色々思う前に、ナイトが平然と声を出す。

「唐突すぎます。ユウが驚いているでしょう」

「あ、すまん」

「平気なの!?」

「はい。私たち首無し騎士は実体がありませんので」

 実体がないってどういうこと? 普通に触れるよね?

「魔力で体のようなものを形作っているだけですので、実体とは言わないのです。ですので、斬撃も魔法攻撃も効きません。なので、ロボ。私はいじめられていませんから旦那様を噛まなくていいですよ。ありがとうございます貴方は優しい子ですね」

 ハッ!? そういえばいつの間にかロボが膝からいなくなって、全力で父さんの足に噛み付いていた。ゔゔゔーっとめちゃめちゃお怒りだ。父さんさっきもロボに噛まれても平気そうにしてたけど、物理無効が働いてるからか。

 無効貫通の父さんの攻撃が効かないってことはナイトには本当に何も効かないのか。

 ロボを父さんから引き離してナイトが抱き上げると、無事を確認するようにふんふんと必死に匂いを嗅いでいた。父さんが動物に嫌われるのはああいうことを平気でするからだろうな。大丈夫だとわかっていたとしてもびっくりするのでやめてほしい。外でああいうことやってないよね? 勇者イコールヤバい人って認識されてないよね?

 ところで、縦に斬られた瞬間ナイトの体が崩れたように見えたんだけど、あれは形が揺らいだだけだとして。

「服が平気なのは?」

「それは……何故でしょうね?」

「そう言われると何故だろうな」

 みんな知らないんかい。

 ロボがクゥンクゥンと甘えるように鼻を鳴らすので、ナイトがベットに座ってロボの全身を撫でて慰める。すごく心配したよね。俺も10歳くらいだったら大泣きしながら父さんを殴ってると思う。

「とりあえず二度とやらないでね」

「うむ。素直にすまなかったと思っている」

 反省はするんだけどな。次回に活かさないタイプだからな、父さん。

 しかし、思ったより父さんのステータスがシンプルなせいで反則級ということ以外よくわからない。反則ということだけはわかるんだけど。

「お父さんって結局どのくらい強いの?」

「うーん。少なくとも戦うと決めたら負けたことはないが……」

 そりゃあこのステータスしてたら負けないでしょうよ。ロボを撫でながらナイトがそうですね、と声を漏らす。

「ごく一般的な冒険者や騎士を竹槍とします」

 竹槍とします??? なんだ? 父さんはサブマシンガンとか言うなよ?

「旦那様はF−22を多数搭載した、ジェットスキーの速度で航行可能なカール・ヴィンソンです」

 竹槍に対して戦闘機搭載した原子力空母!!! 戦力過多にも程があるでしょ!

「時速100キロで航行する原子力空母はおかしいだろう! カール・ヴィンソンの速力は30ノットくらいじゃん!」

「頑張れば50ノットくらい出るかもしれないでしょう」

「原子力空母だけは頑張らせるな!! 機関室が煙噴くわ! 諸刃の剣にも程があるでしょ!」

「諸刃の剣なところも合わせて旦那様です」

「お父さんのバーカ!」

「突然の罵倒」

 びくっと反応した父さんを無視して暴論を吐くナイトに噛みつく。

「大体、竹槍に対してF−22の時点でおかしいのに、なんで空母まで付いてくるの」

「戦闘機は魔法や攻撃の一つひとつと考えると、本体が必要になるじゃないですか」

「魔法ひとつが戦闘機並なの? 他の人は竹槍なのに?」

「言っておきますがユウも単体ですがF−15レベルですよ」

 俺も戦闘機!!!

「二人とも、一応防音の結界を張っているがあまりそういうことを大きな声で話すんじゃない。どこで聞かれているかわからないからな」

 元凶に注意された! 誰のせいで大きな声上げることになってると思ってんだ!

「……お父さんが戦闘機積んだ空母だとして、勇者パーティのメンバーってどうなるの?」

「そうだな、その系統で喩えるなら、戦士は軽戦車の速度で走る超重戦車。賢者は魚雷を大量搭載し高速航行する潜水艦、神官は迎撃ミサイルを搭載したイージス艦だな」

 大型の兵器ばっかりか。相手竹槍だぞ。そりゃ化け物扱いされるわ。というかなんで賢者が魚雷積んでて神官が迎撃ミサイル搭載してるんだよ。普通後方支援じゃないの?

「お父さんを倒せる人っているの?」

「……長距離弾道ミサイルでも撃てれば?」

「発射されたと同時に撃破態勢に入る迎撃ミサイルを搭載しているので無理かと」

 んもぅ。化け物め。父さんも迎撃ミサイル搭載してるのか。イージス神官だけでいいじゃないか。それはそれとして。

「勇者が地球の兵器に喩えられるの面白いね」

「そちらの方がわかりやすいかと」

 確かにわかりやすくはあった。その分突っ込みどころも多かったけど。

「この街なら、ギルドマスターや名は知らんがトラの獣人も戦闘機以上の能力だと思うぞ。あとは、今日はいないようだが、お父さんの友人のシオンという獅子の獣人はジェットスキーのスピードを出す重巡洋艦だな」

 わっほい。ヴァネッサさんも化け物クラスかぁ。トラの獣人って誰だろう。ウィルかな? 父さんの友人がいるとなるとバレないように気をつけないとな。



「さて、私の話ばかりになってしまったが、雄大のスキルについて説明しておこう」

 お?

「天啓というのは言葉のとおりの意味だな。直感と少し似ているが、ふと予感がするようなものだと思えばいい。直感は時々でどういった行動が正解かを理解するものだな。直感系の派生スキルは基本的に戦闘時にしか発動しないから特に気にしなくていい。雄大の保持しているスキルは全て自動発動型だ。迷ったら心の思うとおりに動きなさい。おそらく間違いはない」

 はぁい。よくわからないけど、今日のことも本能のままに動いて正解だったみたいだし。

「いざとなったらナイトやお父さんに頼ることを戸惑うんじゃないぞ。雄大の性能だと自力でどうにかしようと思うと被害を広げる可能性があるからな」

 さりげなくディスられた。反論の余地はないので黙っておくけども。

「困ったことがあればなんでも相談しなさい。シオンには雄大のことを……召喚されたことなんかは伏せて話しておくから、身近なことは彼に訊けばどうにかなるだろう」

 バラしていくスタイル。なら心配しなくていいか。

「ロボも眠そうだし、そろそろお暇しよう。何か確認しておきたいことはあるか?」

 父さんが言うので見てみると、ロボはナイトに撫でられながら目を閉じていた。近くであれだけ大騒ぎしていたのに寝れるのか。たくさん歩いてめちゃめちゃ怒って疲れたのかな? あ、でも耳が動いてる。煩くしてごめんね。

「お醤油とお味噌を作りたいのですが、大丈夫でしょうか」

 小さく挙手したナイトが訊くと父さんは腕を組んだ。

「醤油と味噌か。いいと思うぞ。私は科学・化学の類はわからんが、この世界にあるものだけで作り出せるなら問題ない」

 この世界以外のものを持ち込むのはあんまり良くないのかな。指定外来種みたいなものかな?

「承知しました。では時間ができましたら私は一度地球に戻りますね」

「うん。わかった」

 わぁい。和食が食べられるぞ。

「では、おやすみ、良い夢を」

「おやすみなさい」

「おやすみなさい」

 俺の頭をくしゃくしゃと撫でてから、鑑定鏡を空中に仕舞い込んで父さんは来た時と同じように魔法陣を描いて消えていった。

「……寝よっか」

「はい。この世界でも、そろそろ寝てもおかしくない時間でしょう」

 そう言われて窓を見ると外はもう真っ暗だった。結構いい時間かもしれない。明日から冒険者としての生活が始まるわけだし、きっちり寝よう。ロボはこのままナイトの布団で寝るだろうから、絨毯はいいかな。父さんがパジャマ代わりにしてるTシャツを持ってきてくれてたからもう一度シャワーを浴びて着替えようかな。

 シャワーから戻るとナイトはもうロボを抱えて眠っていた。こんなに普通にしているのに、生きてないって不思議。まあいいや。寝よう。


この世界で勇者を倒せる人はいません。

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