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勇者の息子は地球出身  作者: 潮柳
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第0話 衝撃の事実

好きなキャラクターを好き放題動かすには一から創作するしかないと気づいてしまったので書き始めました。

念のためR15設定にさせていただいてます。

「雄大? どうしてここに?」


 どうしてと言われましても。学校からの下校途中、信号待ちをしていて気づいたら信号どころか道路も無いような森の中にいただけです。どうしてここになんて俺が訊きたい。いくら地方に住んでいると言っても、一歩歩けば森の中なんて事態に陥る程の田舎ではない。というかそもそもが信号待ちしていたのだから森の中であるはずがない。

 どうしてなんて言うくらいだからここは本来なら気軽に来れる場所ではないんだろう。ならばこそ。

「お父さんこそ何してるの」

 ファンタジーな鎧を着て目の前に現れた父さんは何をしているのか。

 正直な話、父であってほしくない。いくらファンタジーな服が似合いそうな外見をしていたとしても実父がいい歳してゲームのキャラクターみたいな格好をしている事実に向き合いたくない。だが現実は無情にも第一声から間違いなく父であると伝えてくる。そんな親切設計求めてない。そこ親切にするくらいならもっと優しさを分配すべきところがあると思う。

「お父さんは見廻りだ。急に魔素が乱れたから何事かと思ってな」

 マソ?

 聞き慣れない単語が気になるが、父さんは顎に手を当てて何やら考え込んでいる。顔を上げた父さんが口を開いた。

「雄大、ナイトを呼べるか?」

「たぶん。ナイト、今いい?」

 声をかけると俺の影が歪に膨らむ。三倍くらいに膨らんだ影からズルッとナイトが姿を現した。相変わらず不思議な特技だ。

「ユウ、旦那様も。どうしてこちらに?」

 夕飯の準備をしていたのか、カッターシャツの上に着ていたエプロンを脱ぎながらナイトがわずかに首を傾げた。俺も事情がわからないのでとりあえず父さんを指差す。人を指差すんじゃありません、と俺を叱りながらナイトは父さんに体を向ける。

「私にもよくわからない。地球で何か異変はあったか?」

「いいえ。呼ばれるまでユウが消えたことにすら気づきませんでしたから」

 ナイトの返答にだよなぁと返して父さんは大きなため息を吐く。

「となると、どこぞの阿呆が召喚でもしたか」

「おそらくはそうでしょうね。旦那様の魔力干渉のほうが強かったために術式から外れてここに落ちたのでしょうか」

「それか術が不完全だったかだな。雄大以外にも呼ばれた者がいると考えるのが妥当か……面倒なことをしてくれおって」

 なんかおかしい単語がいくつかあったぞ? 地球で? 魔力干渉? 召喚?

「旦那様でも追えませんか?」

「世界全体の魔素が減少している。下手に追うとバランスが崩れかねない。私の友人たちが調べてくれているはずだ」

 ねぇねぇ、何を言っているかさっぱりなんですが。俺にもわかるように説明いただけません?

「はず、ですか?」

「ああ。特に連絡は取っていないがおそらくやっているだろう」

 適当すぎない? それやってなかったらどうするの? 胸を張って宣言してるのおかしいでしょ。いくら友人でも連絡は取るものなんじゃないの? ナイトもさすがに言葉が無いようだ。

「……では、その件は一旦置いておきましょう。ユウを地球に連れて帰ることはできますか?」

「不可能ではないが、今はこちらにいてほしい」

 ──はい。地球でないの確定しました。ここどこ。

「何故です?」

「雄大は魔素変換率が異常に高い。魔素が乱れている今、雄大を帰すのはこの世界にとって痛手だ」

 マソ変換率ってなんだろう。

「勿論、雄大が望むならなんとかして帰還させるが。私にも一応はこの世界を守りたい気持ちはある。立場的にもな」

 そう言って父さんが俺を見る。どうする?と訊かれるが、どうする以前にどういうことなの?

「何がどうなってるの?」

 全然話が見えない。父さんとナイトはわかってるみたいだけど俺にはさっぱりだから! 心の中で抗議のステップを踏みならしながら訊くと父さんはうーんと頭を掻いた。

「すまない、全く説明していなかったな。そうだな……とりあえず確定していることだけ話そう」

 お願いします。

「お前はこの世界に召喚されたのだが」

「待って」

 何その前提条件。この世界に召喚って。十分に説明の必要な事態を一言で済まさないで。

「すまない。何故喚ばれたのかはお父さんにもわからないんだ。ただ雄大がここにいる以上は喚ばれたのは事実だ。理解してくれ」

 事実だとしてもおかしいじゃん。理解はしても絶対納得はしないからね。

「とにかくお前は喚ばれて、術が甘かったか魔力が足りなかったか知らんがここに落ちた」

 召喚される途中で落ちるとかあるのか。

「なんで落ちたってわかるの?」

「本来召喚された者は召喚陣の中に現れるんだが、ここには陣が無いからな」

 へー。召喚陣とか何それ格好良い。まぁ俺がいるのは森の中なんですけどね!

「根本的なこと訊いていい?」

「うん?」

「なんでお父さんいるの?」

 ここ異世界的な場所なんだよね?

 今更とは思うんだけどね? おかしいよね? 召喚されたやなんやかんや言ってる段階で十分おかしいんだけどさ? 小説とか漫画とかの異世界物で、召喚された世界に父がいるとか聞いたこと無いよ。途中で落ちて森の中っていうのも聞いかこと無い気がするけども。父さんがいたせいで俺の混乱は深まっているんですが?

「お父さんは元々この世界の勇者だからな」


 ………………はぁ?




 その日、抑止の王たちは世界の異変を感知し空を見上げた。しかし面倒臭そうだったので誰も何もしなかった。



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