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初めての冒険


「おい、それでどうだった?」


ライリーらとリアムが、合流したのは

火熊亭という村の村長の息子さんがやっている宿だった。

村を出る前に、ここに一旦泊まりなさいと言われていた。というのもここでなら、一週間だけは宿代をタダにしてくれるらしい。とても、ありがたい。

村長は、私からの祝いだよっと言ってくれた。

まぁ、その間に身の振り方を考えろよ!というメッセージなのだろう。


食事は、もうライリーたちは食べていたため

リアムは一人で食べ、濡れたタオルで身体を拭き、

自分の部屋に戻った。そこでは、ライリーとイーサンは座って待っていた。


「まだはっきりとは分からないんだけどもしかしたら、大魔法師さんの弟子さんに会えるかもしれない。もし、会えたらそこで修行するからちょっとの間は帰れないかもしれないね。」


「おっし、よかったじゃねぇか。でも、ということはここでバラバラになるってことか?」


「はっはっはっ、なら最後に一回みんなでクエストをやってみるのはどうだい?リアムも、急ぐ訳じゃないんだろう?」


「おー、いいじゃねぇか。やろうぜ!」


「いいね。それなら、エイダンとかベルセフも呼んだ方がいいんじゃない?」


「なんでだ?」


「前衛3人だけよりは、後衛にも二人ぐらいいた方がパーティーとしてはいいと思うんだけど。」


「はっはっはっ、どちらも弓士だったかな?

いいんじゃないか。その5人で一度パーティーを組んで明日やってみようか。」


「じゃあそうしようぜ!俺から話はつけとくわ。明日な。じゃあおやすみ。」


そうして各自、自分の部屋に戻っていきまだ早い時間だったが、ぐっすりと眠りについた。

馬車ではよく眠れなかったし、それ以前に一日中馬車に乗っているだけで疲れた。それに町はまだ慣れないからだろう。それなのに、興奮したりと色々あったため一瞬で夢を見ることもなく深い眠りに落ちていった。



翌日、

「おっしゃぁ、早く行こうぜ。」


宿を出て、メク草原に辿り着いた。


メク草原は、初心者がよく訪れる場所で

スライムやキャタピーというでっかい芋虫などが生息している。


はっきり言って、稼ぐのには向いてないのだが

初心者の腕試し的には充分いい場所であろう。


編成としては、ライリーとイーサンが前で戦い

後ろからエイダンとベルセフが弓矢で援護するという形で自分はライリーとイーサンが、倒し損ねた魔物などを片っ端から倒していく。


初心者用の場所というだけあって、サクサク倒していける。ライリーあたりはちょっと物足りなさそうだが、これはこれで爽快感があっていい。


メク草原をどんどん、奥に進んでいくと少し生態系が変わり、木などが生えだす。そして魔物もゴブリンなどが出てくる。


ゴブリンは、単体ではとても弱いが群れになり囲まれると俺達でも死ぬ可能性がある。


そのため、慎重に目を光らせる。

ライリーはどんどん前に進んでいくタイプなので

パーティー自体も同じように前に進んでいく。そのため囲まれる危険性を考えないとまずいことになりかねない。


「ライリー、ちょっと止まってくれないか?

左の木のあたりに3匹ゴブリンがいる。やるか?」

「よし、やったるで!」

「気をつけろよ。もしかしたら、そっちに巣があるかもしれないだから。」

「おぉ、その時はすぐ引き返せばいいんだろう。任せとけ。」


「いや、ちょっと待って!突っ込む前にエイダン、弓で狙ってくれないか?」

「それで、ゴブリンがどっちにいくか見てみよう!」


「はっはっはっ、なるほど。ゴブリンが逃げれば巣が近くにあるということ。それで、ゴブリンが向かってきたら巣が近くにないということがわかるんだね。」

「うん。そうだよ、イーサン。倒すのはそれからでも遅くない。」


「分かりました。狙ってみますね。」


「グギャア?ギャァ!!!」


「おっ、こっちに向かってきたぞ!やっていいな?リアム。」

「いいよ、ライリー!」

「おっりゃぁ」


ライリーとイーサンは剣と槍でゴブリンを突き刺しにし、それをリックとベルセフが援護する。

自分は、とどめを一匹ずつ刺していく。


「よし、終わったぜ!イェーイ」

みんなでハイタッチしていく。


その後もゴブリンをどんどん倒していった。


「よっし、日も傾いてきたし帰るか!」


ゴブリンをたくさん倒し、いざ帰ろうとしたとき

「ライリーちょっと、なんか変じゃない?」

「はっはっはっ、なんか囲まれてるねぇ。」


気が着くと5人ほどの人に囲まれていた。


「おい、なんか用か?」



「おいおい、こりゃあいいぜ。こりゃあ、多分今日入ったばかりの新人くん達じゃねぇの?」

「ついてますな、お頭」

「こういうのがいいんだよな。お前たちには、死んでもらう。」


5人が話しながら、近づいてくる。手には剣が握られ、その切っ先は自分たちの方向を向いていた。


「何でだ?俺たちは別に何もいいもん持ってないぞ。」


「それでいいのさ。別に装備とかが欲しいわけじゃない。俺たちが欲しいのは、お前たちの命なんだから。」


「もしかして…」


「おぉ、気づいたやつもいるか?強くなるのにはなぁ、絶対的にブレスレットの力がいるんだよ。それでなぁ、ブレスレットのレベルを上げるには魔物を倒す必要があるんだが魔物を倒すのはなぁ、大変なんだよ。ゴブリンなんかかったも、ほとんど経験値なんて手に入らないからなぁ。」


「でも、人を殺したら経験値がたくさん手に入るということか?」


「その通りだよ。君〜!人を殺すだけで、どんどん経験値が入る。こりゃあ、やるしかないでしょ。ひゃっはっはっ。」


「でも、犯罪をしたら冒険者ギルドから追い出されるはずだろ?」


「まぁ、俺たちはもう冒険者じゃないからな〜。傭兵として生きりゃ問題ないのさ。犯罪者でも雇おうとする貴族は山ほどあるからなぁ〜。

話は終わりかな?じゃあ、いっちょ死んでもらいますかね。」


「お前達、いけ〜!!!」


「「「「ヒャッハー」」」」


4人が遅いかかってくる。はっきり言って、強さが違いすぎる。ライリーは、受け止めようとしているけどすぐに倒されてしまうだろう。


「ライリーとイーサンは、かわすことに専念して!」

「了解!」

「おう。」

できたら、弓士の二人には援護して貰いたいが足がすくんで動けていない。恐怖で、足に力が入らないのだろう。これじゃあ、戦いにならない。


「エイダン、ベルセフ後ろに逃げろ!確か迂回して、森に入ったとしても町に戻れるはずだ、いけっ!」


「うぅん。」


足をもつらせながら、二人は森の中に必死に走って逃げていく。


「追わせはしないよ。」

と、賊の一人が追おうとしたところをリアムは食い止める。


「なら、お前から死ねぇ〜」


キーン。やはり、強い。

剣の動きからしても手慣れているのがわかる。


転がりながら、剣を避けていく。


どうしたらいい?どうやったら逃げれる?


考えを巡らしながら

少しずつ、少しずつだがライリーやイーサンが戦っているところに近づいていく。


よし、とりあえず後ろの二人は逃げれたな。


さぁ、ここをどう切り抜けるかだが…


切り札はある。しかし、どうやってこれを使うか?

今、ライリーとイーサンは二人を相手にしている。そして、自分は一人を。

戦闘が苦手な自分が戦えているのはひたすら避けることに専念しているからだろう。

まともに受けていたら、自分の方が体力がないに決まっているのだから負けてしまう。

でも、このままだとジリ貧だ。

そのためには切り札を使うしかない。


「リアム!?大丈夫か?」

「あぁ。とにかく今は耐えて!」


ライリーが背中越しに話しかけてくる。

ライリーは肩をどうやら、やられたようで傷が血が流れている。イーサンも、どうにか無事なようだ。


「ちょこまかと、動きやがって死ね〜。」


賊は剣で、殺そうとするがそれを避ける。転がりながら、どうにか自分の敵が他の4人と同じ方向にいくように調整する。


切り札を切るなら、タイミングを見計らう。

よし、今。


「ライリー!イーサン!下がって!!!」


ライリーとイーサンが後ろに下がった瞬間、

「おっりゃぁー。」リアムは、敵に丸い玉を投げつける。その瞬間、玉から炎が吹き出しおそいかかってきた賊たちを一気に包み込む。

暗くなった周りを炎がチカチカと光り輝く。


「うぎゃぁ、痛ってぇーー」

「熱っついー」


「よし、逃げるぞ〜。」

「いっけー!」


一目散に、町に向かって逃げ出す。


「おい、待てぇ、逃げるな!」

炎から抜け出したリーダーらしき奴が追いかけてくる。


走る。

走る。

走る。

心臓が止まりそうになる程、苦しくて

頭もガンガン痛くなってくる。

足を止めたくなるほどしんどい。

だが、それで捕まったら最後だ。

懸命に走る。それしかやれることはなかった。


ようやく町の光が見え出した。それは、リアム達の心に安心を与えてくれた。

そして、町に辿り着き門の中に逃げ込んだ。


門を守っている門兵に話をライリーがつけ、ようやく宿に戻った。


しかし、すぐには安心できなかった。なぜならまだエイダンとベルセフは帰っていなかったからだ。

ずっとそわそわしながら、

「エイダン達は大丈夫かなぁ?」

「あぁ、お前が逃してくれたんだろ?なら、大丈夫さ!」

「きっと、森の中で少し迷ってしまったのさはっはっはっ。」

という話をした。


きっと、弱気になっているのを励ましてくれたのだろう。二人も不安なはずなのに。


それでも待っていると二人はボロボロの様子で帰って来た。もう、その頃には完全に月が昇っていた。


二人が帰ってきたのを見た瞬間、リアムは気が抜けたせいかばたんと倒れてしまった。



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