サンマルティーン家のルカ
さて、いよいよ今日は最強決定戦の日だ。
町はより一層盛り上がりを見せている。
今日は、賭けも行われはっきり言ってこの国一番を決める戦いだとも言える。
みんなの関心は一気に最強決定戦に向いていた。
先生と共に、いつもの来賓席に行くとそこには
マルティーン公爵のダザイさんとその娘さんの喧嘩を売ってきたお嬢様が立ってこちらを向いていた。
彼女は、下に俯き手をぎゅっと握りしめている。
ポニーテールにした髪も、落ち込んだようにしなっとへたっているように感じる。
「おはようございます。フェルナ様。今日の調子はいかがですか?いよいよ、決定戦ですよ。私も今日の戦いは昨日から楽しみにしてたんです。今回は誰が優勝するんでしょうか。」
「うむ。何の問題もないぞ。いつも通りの試合ができそうじゃ。まぁ、普通に考えて傭兵のゲルフの奴じゃろうな。対人であいつに勝てる奴はそうそうおるまい。」
「やはり、フェルナ様も思いますか?去年の試合は驚異的でしたものね。一瞬であの最強と言われていた騎士団長を倒したのは驚きました。」
「そうじゃな。まぁ、あいつは一瞬で倒すのが得意じゃからな。逆に時間をかけて倒すのが得意なのが騎士団長のライザじゃからな。あいつの、静から動への一瞬の切り替えに対応できなかったんじゃろう。分かっていてもなかなか対応できるものじゃないのにそれを知らなかったんじゃ。逆に、ゲルフはライザの戦い方をよく知っている。そこの差が出たのじゃろう。」
「なるほど、そう言うことだったのですね。ためになります。先生。」
「して、何ようじゃ?私達を待っていたように見えたが?」
「いえ、実は私の娘がですね、決闘のことでリアム君に謝りたいと言っていましてね。ちょっとだけ時間を貰えないかな?リアム君?」
「は、はい。分かりました。」
「本当はもっと早く来たかったみたいなんだけどね。昨日と一昨日は反省してもらっていたから家で留守番をさせていたんだ。」
俯いていた顔を上げ彼女は、こちらを見て意を決っしたように声を上げた。
「急に決闘なんて挑んで悪かったわね。それに頼りない奴とか言って悪かったわ。 っ………ごめんなさい。」
「うん。大丈夫だよ。もう気にしてないから。」
かなり馬鹿にした態度を取られたし、その場はイライラしていたが3日経った今なら冷静に考えられる。
相手が謝ってきたなら、許せる。
「それで、その。 決闘の後、あなたとの約束を守れなかったわね。だから、聞いてあげるわ。そ、そのエッ………チなことはで、で、できないわよ。」
それは、決闘の結果自分が勝てば何でもするって言ってたことの答えを聞いているのだろうか?
「そうだな。じゃあ、友達になってくれる?」
「は?」
「だから、僕の友達になってくれない?先生の元に来てから友達がいないんだよ。誰もいないからね。だから友達になってよ。」
「は、はぁ?と、と、友達って。何で私があんたなんかと友達にならなきゃならないのよ?」
「えっ、だって。決闘で負けたら絶対に約束を守らないといけないんだろ?お嬢様が教えてくれたんだよ。」
「なっ!そうね。約束は守るわ。と、と、友達になってやってもいいわよ。それで、友達って何をしたらいいのかしら?」
「じゃあ、まず名前を教えてくれない?知らないままこんなことになってしまったからね。」
「なんじゃ、リアム?名前も知らんかったのか?普通、決闘するなら名前も知っとかなきゃならんだろう。逃げられたらどうするつもりじゃ?」
「いやぁ。紋章は分かっていたし、先生の所に魔法を習いに来ているんだろ?だから、会えるかなと思ってたんだ。」
「ルカよ。私はサンマルティーン家のルカよ。」
「僕の名前はリアムだ。じゃあ、これからルカ
よろしく。」と握手をしようと手を伸ばす。
ルカは、顔を赤くしてそーと手を出しリアムの手を握った。
「よ、よろしく…。リアム。」
「はっはっ。ごめんね。リアム君。うちの娘は男の子に慣れてなくてね。今まで話すことも接することもしてこなかったみたいだからね。これから慣れていくと思うからよろしくね。」
ダザイさんが、朗らかに笑いながら頭を少し下げる。
「パっ、パパ〜!」
ルカは、明らかに力を入れてダザイさんの背中を叩く。あれは、痛いんじゃないかな?
顔は、湯気が出そうなぐらい真っ赤だ。
「あっ、それと平民を馬鹿にするのは辞めて欲しいかな。」
「なっ!まだ、あるの?」
「何でも聞くって言ってたじゃん。嘘をついてたの?」
「そ、そんなことはないわ。」
「じゃあ、馬鹿にしないって約束できる?」
「何で、馬鹿にしちゃ駄目なの?私達より魔法も使えないし、弱いわ。もちろん、あんた…リアムは別よ。」
「うーん。まず、僕は平民が特段劣ってるってことはないと思うしまず貴族は平民を支配しているとは思っていない。」
貴族、それも一番上位に立つ公爵のサンマルティーン家の当主であるダザイさんに聞かれても大丈夫かと思わなくはないが、ダザイさんなら大丈夫だろう。
フェルナ先生が認めてる方なのだから。
それに、気に食わなくても子供の戯言と言って聞き流してくれるだろう。
「たしかに、貴族は土地を収めていると言っても過言じゃないし平民の上に貴族が立っていると言ったら誰だってうなずくだろう。でも、言い方を変えれば貴族は平民からお金をもらって、税金をもらって生きているわけだ。」
「でも、街を守ってるわよ。別に貴族が何もしてないわけじゃないわ。現に、お父様はこのタンジールを守るために魔物の討伐に繰り出したりすることもあるし、スタンビートが起こったときには率先して指揮をとってきたわよ。だから、ちゃんと貴族としての務めを果たしているし平民のおかげとは言えないでしょう!貴族のおかげで平民達は生きてるのよ。」
そう、ダザイさんはこの第二の都市ともいわれるタンジールを収めているのだ。だから、この最強決定戦にも出席してるしこの大会はこの町の重要な財政源にもなるのだろう。異常な数の人がこの大会を見るためだけにこの町に集まっているのだから、当然金も落としていく。店やレストラン、この町自体に。
「そうだね。でも、平民が全員この町からいなかったらこの町は一瞬で瓦解してしまうだろう?」
「うっ、でもいなくなんてならないわよ。」
「それは、分からないよ。何が起こるかわからない。今、天災がこの町に降りかかったらみんな逃げるんじゃない?そうなると貴族は生活していけなくなる。そうだろう?」
「う、うーん。」
「まぁ、今は分からなくてもいいよ。僕だってはっきり分かってる訳じゃないし。でも、平民っていうだけで馬鹿にされるのは嫌だな。平民って一括りで言うんじゃなくて、その人をしっかり見て判断して欲しいかな?」
「分かったわよ。守るわ。」
「うん、ありがとう。」
なんか、ルカとは何か友達としていけそうだ。
ちゃんと聞いてくれるし、少なくとも理由を聞いて
納得できたら話は聞いてくれる。
騒がしくなってきた。どうやら、会場が開いたようだ。来賓席は、朝から空いているが普通の観客席は
9時開場だ。
つまり、9時になったと言うことだろう。
観客の高揚が伝わってくる。
みんな興奮しているのだ。普段絶対に見られない超越した戦いが見れると。
俺も楽しみだ。
来賓席にも、国の幹部の人など有名な人がどんどん入ってくる。
そこに冒険者達が集団で入ってきた。雰囲気が普通の人とは全く違う。なんとも言えない空気をそれぞれ一人ずつ放っていて強者だと言うのを表している。
そう、今回の決定戦に出場する選手達だ。
また、遅くなってしまいました。すいません。本を読むなら簡単に読めるのになぜいざ自分で書こうと思ったらこんなにも時間がかかるのか?と首を傾げているところです。今日もようじつの二年生編が発売されているということで読めていなかった11.5巻を2時間ほどで読んだんですけどめっちゃ面白かったですね。自分もあれぐらいいい文章を書けるようにしたいものです。
さて、報告があります。
私用なことなのですが、2月3月はかなり忙しくて書いている時間があまり取れそうにありません。
申し訳ない。
そこで週一の更新にしようかなと思っています。
そのかわりいつもの2倍!!!弱の文章量にしようと思っています。
更新頻度は減りますがどうぞこれからもよろしくお願いします。