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12/21

道のり

今年最後の投稿となります。



ジャイアントホークは、飛行が異常に安定している。

それにも、理由がある筈だ。

あれだけの巨体を維持するのには魔法を使ってはいるものの体が良くなければ飛べない。


そこに飛ぶための秘訣があるはずなのだがら、魔法で精密に魔力で作っていく。作らずに飛ばしたら、飛びもせず真っ直ぐ飛んで行くだけだったが、精密に作ればとても綺麗に飛ぶ。


かなりの大きさなので、一つ作るだけでかなりの時間がかかっていたが一週間も経てば三つほど作れるようになっていた。背中は綺麗な流線形を描いており、そこを再現するのが難しかったが、美しく出来たので満足だ。


さらに、風隼というこの世界で一番速いと言われる鳥の魔力も作れるように頑張った。まだ一つやっと形にできるかどうかだが、やはり速いというのはそれだけで攻撃力にすぐ繋がるので必死で覚えた。

ワイバーンも、一度作ってみたのだがあれは体型が悪すぎる。無理やり魔法を使って飛んでるだけで、普通に体型で飛ぼうとしてない。つまり、作っても効率が悪いだけなので練習するのを断念した。


というわけで、今日からは先生と一緒にタンジールを目指して出発する。タンジールには、馬車で行くのだろうと思っていたのだが行くぞといって先生が山を降りて向かって行ったのは森の中だった。


「えっ、森の中を行くんですか?」


「そうじゃ、Cランクの魔物は出るから気をつけな。」


「えーーーーーーー!」


「何を驚いとるんじゃ。当然だろう。魔法は使えてこそ意味があるんじゃ。それを養うには、実践しかあるまい。」


どんどん先生が進んで行くので、ついていくしかない。するとすぐに

「キシャァ。キシャァ。」

という声と共に魔物に囲まれた。


それは、鳥のように翼を持っており尾っぽはかなり長い。鶏のような顔をしていて鍵爪のような足で引っ掻こうとしてくる。


その魔物の名前は、クリュシオスだ。

それが次々と現れあっという間に囲まれてしまった。


(作者のイメージでは、恐竜のディノニクスがこれに当てはまります。興味があれば調べて見て下さい。)


たしかに、世界魔物記にも群れで行動すると書かれてたな。そして、備考の欄には囲まれるときついので囲まれる前に魔法を打つなり剣で戦うなりして初手をこちらから打つのが良いと書かれていた気がする。


えっ、出来ない。もっと速く打つべきやったのか。


「よし、リアム。任せたぞ。」


先生は、何もする気はないらしい。


とりあえず、アイスウルフを生み出し突撃させる。

しかし、すぐに自慢の鍵爪で破壊されてダメージが与えられていない。


どうしたものか。


すぐに、ファイアウルフに切り替える。

ファイアウルフ自体は見たことはないのだが、

アイスウルフの炎版だと言われたのでイメージで作り上げる。

炎は、無属性の鳥系の魔物には良く効くと書かれていたはずだ。


というわけで、5匹のクリュシオスに囲まれていたのだが、自分に近づけさせないように10匹ずファイアウルフ出して牽制しながら次々と攻撃させる。


そうすることで圧倒的な質量によって一方的に勝つことでできた。相手が鍵爪で攻撃してきてもそこが燃えだし、体力を削ることが出来たのだ。

と言っても威力が出ないので時間はかかった。


「上手く魔法を使えておるの。よし、じゃあ解体するか。」


意外と緊張した。なんだかんだいって、初めて魔法で魔物を倒したのだ。上手くいってほっとする。


クリュシオスは、羽、鍵爪が装備の素材となるため回収して、肉は今日の食料としてためる。


そうこうして、どんどんクリュシオスを倒しながら森を抜けていく。他にもスライムやらゴブリンやらといった動物もいたがクリュシオスより弱いのでどんどん倒していけた。


夕方になったので、寝るための準備をする。

近くに町もなく、森しかないのでその中で野宿だ。


周りにある、落ちている木を集めてきてファイアボールで火をつけて焚き火をする。


その間に、水浴びに行っていた先生はクリュシオスの肉を取り出して切り分け出す。


魔物と動物との違いは、魔力が身体に浸透しているかしていないかだ。そして、この魔力こそが魔物をそのまま食べることを困難にしている。


昔は、そのまま食べてよく亡くなる人が多かったので、魔物は食べられないものとされているが最近は食べれることがわかり、食料事情も大変変わってきた。


では、どうすれば食べれるかと言うと聖水をかけるという手間を入れることだ。この聖水は、もともと怪我などを治すのを早めてくれたり死霊系の魔物に取り憑かれたりしたときに治すのに用いられている。


しかし、これを死んだ魔物にかけるとどうなるか?

魔物の中にあった魔力がすーっと流れ出て食べられるようになるのだ。


先生から渡された、クリュシオスの肉に満遍なく聖水をかけていき魔力を落として串に刺していく。

それに薬味をかけていく。


これを火にかざすと、クリュシオスの串焼きが完成だ。クリュシオスからはときどき脂が滴り落ち、じゅうっと音がして炎が舞い上がる。食べてみると香ばしくて超上手い。味は鶏肉のようで、歯応えもあり口の中に溢れる肉汁がすごい。


「あぁ、上手い。」


「いいじゃろう、いいじゃろう。クリュシオスは、かなり魔物の中でも上手いからな。このルートで来て正解じゃな。」


食事も終わり、片付けたところで


「よし、リアム。胡座を組んでみろ。」


「こうですか?」


「あぁ、そうじゃ。そして、自分の魔力を前に出してごらん。」


俺は、ウォーターボールを前に浮かべる。


「じゃあ、それを極限まで薄く平らに横に伸ばしてみろ。」


ウォーターボールのボールの上と下とを両方から押しつぶすように力を加えていく。

そして、円盤状にしていく。


「もっと、薄くもっと薄く。色が一切見えなくなるまで薄くしてみろ。」


これは、なかなか難しいことで薄く伸ばそうとすればするほど消えてしまいそうになる。


「そうじゃ、そうじゃ。もっとじゃ、もっと。

真ん中を開けてもいいからどんどん広げていけ。」


自分の魔法がどんどん森の中を抜けていく。

そして、あるところまで来るとぷつっと途切れてしまった。操作しきれなくなったのだ。


「初めてでここまでできるのはやるなぁ。さすがじゃ。」


「先生の教え方が上手いおかげです。」


「お世辞も言えるか。これが、探索魔法と言われるもののうちの基礎じゃ。何体もの動物を感じられたじゃろう。」


お世辞じゃないんだけどな、と思いつつ魔法を使った時の感覚を意識していく。

木で遮られても、それをすり抜けて通していく魔法ため魔力がぶつかったのが魔物だったのか木だったのかが調べないとわからないからだ。


「たしかにボアやゴブリン達がいましたね。」


「これが、簡易探索魔法じゃ。リアムは今半径50メートル以内しか分かっていないがこの幅を広べていくことでどれくらい魔物がこれから遭遇するか避ける必要があるかというのを調べていけるのじゃ。」


「これが探索魔法なんですね。」


「と言っても鳥類などの空を飛ぶ生物や土の中にいる生物、小さな動物達はこの方法では調べられないから、魔力を面にしてそれを広げていくというやり方が探索魔法と言えるだろう。」


「これを飛ばしながら、夜は交代で3時間おきに見張ろう。冒険者になるならこれも必要になってくる知識じゃぞ。」


「分かりました。じゃあ、3時間後に起こしますね。」


「うむ、じゃあおやすみ。」


と言って簡易テントの中に入っていく。


自分はまだ、水浴びをしていなかったので

暗い中水浴びをし、近づいてきたボア達を蹴散らしながら元の場所に戻ってきた。


3時間後が来て、交代する。

そのまま、テントの中で寝るのだが探索魔法はずっと飛ばしながら寝た。すると、1時間30分後ぐらいに

自分達に近づいてくる魔物達の気配がした。


すっと、起きてテントを出ると魔法を自在に操っている先生の姿が見えた。先生の魔法は、動物の姿はしていなかったがぐるぐる回りながら魔物にぶつかっていく炎で光るボール達はそれだけで綺麗だった。


「ん?起きてきたのか?まだ、時間にはなっておらんぞ。」

「いや、簡易探索魔法に引っかかったので起きてしまいました。」

「うむ。起きていたのか?初めてで寝られないのか?」

「いや、ぐっすり寝てましたよ。」

「じゃあ、なぜ探索魔法なんか打ったんじゃ?」

「いや、寝てても気になるじゃないですか?」

「リアム、まさか寝ながら魔法を打っておったのか?」

「そうですけど………」

「リアム、すごいな。それはわれでも出来んぞ。どうやってやっておるのじゃ?」

「いや、意識しなくてもずっと魔法をこねくり回してたらいつの間にか出来ましたけど。」

「はっはっ。すごいな。それは才能じゃぞ。よかったな。」


これは誰にもできるものじゃないと言われて嬉しかった。最初に魔法を使い出してからずっとやっていたので普通なのかと思ったがそうじゃなかったのか。


やったね。


その後、魔物達が襲ってくることはなく朝が更けた。




12月下旬から始まった今作品ですが、来年も頑張って書いていきたいのでよろしくお願いします。

三が日は書けるかどうかわからないですが、その後はまた書いていけると思います。

12月1日から始めていた冒険者とダンジョンマスターの二刀流は、かなり後になると思いますがまた再開しますのでその時はよろしくお願いします。

詳しくは活動報告をご覧ください。

では、よいお年を。


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