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第一話 盲目少女と私の憂鬱
※初投稿作品のため、拙い文章になっておりますが、ご了承ください。
「ねぇ、やっぱりあの子…」
「えぇ、目が見えないらしいわよ。可哀想よねぇ」
私は知っている。
「可哀想」っていう言葉は、その人を見下している様な、『情けをかけなければ』という下世話な物だってことを。
ここは「月火丿下病院」の待合室。近所の噂好きおばさんコンビが隅っこでヒソヒソと話している。
私には、誰のことを話しているのかすぐにわかった。
待合室の近くにあるキッズスペースで本を読んでいる、神戸そらちゃん。彼女は、数ヵ月前に事故で視力を失った。
そして、二、三週間ほど前だろうか。突然、毎日のように本を読むようになったのだ(厳密?に言えば「読む」というよりは「開いている」ということになる)。
「まだ本が読めると思ってるのかしらねぇ」
「やっぱり可哀想よねェ」
…わざとなのか、先程までより声のボリュームが大きくなっている。
少女は、聞こえていないとでも言わんばかりに目をつむっている。
私は、この彼女の言動から、自身の空想世界の友達と本を読んでいるつもりではないのか、と考えるようになった。