ボードゲーム
ゲームに必要な物を作る。
作ると言っても、その工程は至って簡単だ。
手順
①コルクを手頃な厚みにスライスする。出来るだけ、厚みは揃えるようにする。
②スライスしたコルクの、どちらかの面にだけ、船長室から借りたインクを塗って黒くする。
③インクを塗ったコルクを乾かす。乾いたら完成。
以上だ。本当に簡単だ。
インクを塗ったコルクを、貰った古新聞に並べ、風通りのいい所に置いて、後は乾くのを待った。
頃くの間、俺等は茶やジュースを飲みながら談笑でもして、間を繋いだ。
幸い、船長のインクは乾きが早いタイプだったので、時間はそんなにもかからなかった。
暫くして、
「よし、乾いたな!」
古新聞に並べてある、インクを塗ったコルクの端の部分を、指で軽く触った。指にインクは付かなかった。
他のも同様に確かめてみた。他のも同じく、十分に乾いているようだ。
「よーし完成だ!」
俺はチェスの盤と、インクを塗ったコルク…もとい、駒を2つの空き缶に分けて入れて、ローラとレオの前に置いた。
「待たせたな、出来たぜ!」
「やっと出来た⁉」
「あぁ、ボードゲームだ!」
「ボードゲームね…で、コレどうやって遊ぶの?」
俺が遊び方をやりながら説明した。
「大体ルールはわかったけど、面白いのかな…」
「分かんね!」
2人の、このゲームに対しての第一印象は、あまり良くない様子だ。
「まぁ兎に角、やってみてくれ、どうせ暇なんだしな⁉」
「…そうだね、せっかくお兄ちゃん達が作ってくれたんだし、やってみよっかレオくん⁉」
「だな!」
そんな感じで、やり始めた2人。
最初はルールの理解不足だったのもあって、モタツイていたりもした。
しかし、2人共物覚えがよく、すぐにルールに慣れて来た。
そして、
「いただき!」
「あっ!角取られた!」
「よーし、もう置ける所ないな!これで終わりだ!枚数は…」
「あ~負けた!」
「ヤリー!」
「う~、レオくんもう一回!」
「おうよ!」
ゲームに白熱するレオとローラ。
そんな2人を見て、
「あの子達、随分と夢中になってますね!」
「ここまで夢中になるなんて、作ったかいがあったぜ!」
「そうですね、よっぽど気に入ったみたいですね、このゲーム…えっと…」
「リバーシ!」
「あっ、そうそう、リバーシ!」
「あぁ、すっかりハマってるみたいだな!」
そう俺等が、コルクを加工して作ったボードゲーム。
それはリバーシだ!世間的には、オセロと言ったほうが一般的だな。オセロの名は、とあるメーカーにて商標登録されている為、リバーシの名で扱われているケースも多い。
最も、この世界でなら特許だの、著作権だのは通用しないと思うが、何となくでリバーシとして扱うこととする。
ルールは簡単。プレイヤーが互いに盤面に裏表で白と黒色の駒を打っていき、相手の駒を自分の駒で挟むことで、ひっくり返して自分の駒と換えていき、最終的に盤上の駒が多い方の勝ちというものだ。
シンプルだが奥が深く、打ち方は膨大なパターンが存在し、一手のミスでゲームの流れが一気に逆転しかねない。元の世界では、世界中で行われているボードゲームだ。
因みにルーツは、牛乳瓶のフタで作られた遊びが元と言われているらしい。
が、他にもルーツと呼ばれるゲームがあったりと、正確には解っていないとか…
まあそれは兎も角、気に入ってくれたようで何よりだ。
そう思っていると、
「タイガーさん、駒は沢山余ってますし、私達もやりませんか⁉」
「ん⁉そうだな…」
予備として多めに作ったので、駒がかなり余っている。余った駒で俺とリリーナも一局やることとした。
盤はレオ達が使ってるので、適当な紙にマス目を書いてやることとした。
で、俺とリリーナの対局はというと…
「ココだ!」
「…」
俺の一手後の盤面を見て、思考するリリーナ。
「どうだ⁉今度こそ俺の…」
「ハイ、ココです!」
そう言って、静かに駒を打つリリーナ。
「⁉あー‼」
紙の盤面上の駒は、ほぼ全て白(正確にはコルクの色だが、便宜上白と呼んでいる)一色になった。
「タイガーさんの番ですよ!って、あぁ、もう打てる所が何処にもありませんね⁉私の勝ちですね。これで私の3連勝ですねタイガーさん!」
「……」
そう俺は、トランプだけだなくリバーシも弱かったのだ。それから何局も対戦したが、連戦連敗だった。
一応ココでは俺が、このゲームの考案者なのに…
地味に心に傷を負ったのだった…
リバーシ(オセロ)は、考案者とされる人の話がちぐはぐで、正確な起源は曖昧らしいです。