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ローラ

 オウムに豆を与えている少女は、俺達の存在に気付くと、コリートに近付いた。


 「パパ、この人達誰⁉」

 「パ、パパ⁉」


 驚く俺達。


 「ああ、この娘は俺の娘のローラだ!ほら、挨拶しな!」

 「あたしローラ、よろしく!」


 その少女は、コリートの娘さんだった。

 名前はローラ。肩まで伸びたサラサラの金髪に、ツーピースの服を着た、スカートがよく似合う女の子だった。

 コリートの年齢的に子供がいてもおかしくはない。

 が、こんなにも小さくてかわいい子とは、少し意外だった。


 「船長さん、お子さんいらしたんですね!」

 「まぁな、嫁に似て美人だろ⁉」

 「あぁ、かわいい娘だな!…(こっちは、嫁さんの顔知らねーけどな…)」

 

 すると突然、

 

 「ビジンダロ!ビジンダロ!」 

 「!うおっビックリした!」


 ローラが餌を与えていたオウムが喋りだした。


 「ハハハ、コイツはオウムのパロ。俺の相棒よ!」


 オウムの名前はパロと言うらしい。船名に反して、オウムの方は普通だな…ひな鳥の頃からコリートが育て、幾度もの航海にも共にして来たらしい。

 この世界でも、オウムはオウムと呼ぶようだ。トキ(バーショ)や、パンダ(ニショクグマ)とかとは、違うのか…


 「かれこれ付き合いは、20年はゆうに超えるな!」

 「20年ですか⁉長生きですね!」


 驚くリリーナ。反して俺はさほど驚かない。元々知っていた事だが、オウムは結構長寿らしい。種類にもよるけど、大型の個体は50年前後生きるのはザラで、中には100年以上生きた記録もあるとか。

 尚、オウムとは関係ないけど、魚の鯉も長寿らしい。平均寿命は約70年で、それ故に一生の趣味と言われているとか。因みに、なんと200年以上生きたという、ギネス記録があるとというから驚きだ…


 と、寿命の話はこのくらいにしてといて、話を戻そう。

 それから俺達は、彼女に簡単に自己紹介をした。

 自己紹介を済ませたてから、


 「で、頼みってのは、この娘に関係するのか?」

 「あぁ、そうだ!」


 するとコリートは、オウムのパロを肩に乗せた。

 海の男、船の船長の肩に乗ったオウム。少々ベタな気もするが、似合っていて、絵になった。

 コリートはパロの乗った肩の反対の方の手でパロの頭をなでながら話しだした。


 「実はだな、目的地に着くまでの間、この娘の遊び相手になってもらいたいんだ!」

 「遊び相手!」

 「そうだ!」


 何でも普段は航海中は、奥さんに任せていたんだけど、今回の航海に勝手に付いてきてしまったのだとか。

 正確に言うと、積荷に紛れてこっそり乗っていたとか…(完全に密航じゃないか…)


 「気づいた時には、既に出港した後でな、何でも俺の仕事ぶりを見たかったらしいんだ…」

 「だってあたし、パパが港に停泊している時の姿は、ふだんから見てるけど、航海中の姿は見たことないんだもん!航海中の姿も見たかったんだもん!」

 「おぉ、そうかそうか!見たかっのか!それじゃあ、しかたねーな!」


 ニヤけた顔になったコリート。

 見かけによらずかなりの親バカらしいな…


 「でも、奥さんが心配しているんじゃないですか?」

 「大丈夫だ。丁度、嫁のいる島に行く知り合いの船と行き違ってな。事情を説明しといてくれと頼んどいた。」

 「それならいいですけど…」

 「それは兎も角、話を戻そう!」


 コリートの話を聞いた。

 聞けば勝手に付いてきたのはいいが、子供1人なので退屈しているらしい。コリート始め乗組員(クルー)達は、それぞれの仕事があって相手出来ないらしい。

 なので、俺等に彼女の遊び相手になってほしいとのことだ。丁度、歳の近いレオもいることだし。

 因みに、ローラは現在7歳とのこと。

 

 「なんだそんなことか!それくらいならお安い御用だ!」

 「ええ、タダで乗せて貰っていることですしね!ほらレオ君、ローラちゃんと…」


 レオに話しかけるリリーナ。が、レオはコリートの肩のパロをジーと見ている。


 「リリーナ、あの鳥…」

 「レオ君、オウムは食べれないよ!」


 レオに釘さすリリーナ。下手すりゃ最悪な事態になりかねなかったので、少しヒヤリとした気分だ。


 「レオ君、ローラちゃんと遊ぼう!」


 レオを促すリリーナ。

 が、レオの方はというと、


 「え~、めんどくせ~!」


 と、なんとも気のない返事をした。

 するとリリーナは、


 「レオ君、私とタイガーさんが、何日も何日も、ジョウさんのお店で働く事になったのは誰のせいだったかな⁉…」

 「‼」


 と、顔は笑顔だが、ものすごい圧をかけるリリーナ。

 彼女意外にも、結構根に持つタイプなのか…


 「もう1度言うね?誰の…」

 「おお‼なんだかきゅ、急に遊びたくなったぞ!さあ行こうぜローラ!」

 「うん!」


 そう言うと、レオとローラは、一緒に部屋を出ていった。


 「よかった!それじゃあ私達は、危ないことがないように、見守りをしましょうタイガーさん!」

 「あっ、あぁ…」


 そう言って俺とリリーナは2人の後を追う。

 リリーナって、結婚したら案外、鬼嫁になるのかも…

 このメンツで、これから先の旅も大丈夫なのか…

 行く先々の事が不安になる俺だった…


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