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ホットケーキ

 まさか、食事に来た店で自ら料理をする事になるとは… しかも、営業時間中に…マリーはどうせ暇だからと言っていた。経営状態芳しく無いというのに呑気な人だ。


 俺はマリーに厨房と道具に材料を借りて作る準備を進めた。

 因みに、パンケーキとホットケーキには明確な差がある。転生する以前に気になって調べたのを覚えている。諸説あるがパンケーキは、フライパン等で作るケーキの総称の事であり、スイーツの様に甘い物もあれば、甘さを抑え食事として食べられる物もある。クレープもパンケーキの1種らしい。一方ホットケーキは、甘いお菓子的な物であり尚かつ、パンケーキの1種に位置付けられている。某お菓子メーカーでは甘い物をホットケーキ、甘くない物をパンケーキと分類しているらしいが、ぶっちゃけどうでもいい。

 いやそもそも、誰に対して説明しているんだ俺は?

 

 そんな理由で、食後なのでデザート目的で作るのはホットケーキにした。


 「どうですタイガーさん?作れそうですか?」


 リリーナが厨房を覗いて来た。


 「ああ、必要な物は大体揃っている。ホットケーキミックスとかがあればいいんだか、ホットケーキが無いんだから当然あるわけ無い。まあ無くとも作れるから、問題は無い。」

 「ホットケーキミックス?」

 「簡単に言えばホットケーキもとい、パンケーキを作る専用の小麦粉といったところかな。牛乳を混ぜるだけで簡単に生地が出来るんだ。」

 「へー、そんな便利な物があるんですか?」

 「ああ、実際に使って作ったことある。それ以外の料理にも使えっけどな。」

 「あれ、でもタイガーさん、記憶無いんじゃ…」

 「あっいや…朧気だかそういう記憶はあるんだよ…」


 うっかり記憶喪失ということを忘れていた。ボロを出すところだった…

 気を取り直して調理を始めた。

 

 ホットケーキの材料は

 ・小麦粉

 ・卵

 ・牛乳

 ・砂糖

 ・重曹(ベーキングパウダーの代用)


 大体こんなとこだな。バニラエッセンスがあればいいんだか、少なくともこの店には無い。後、材料の量は忘れたので作りながら微調整していこう。

 ①小麦粉に卵と牛乳を入れて混ぜ途中で砂糖と重曹を加え更に混ぜる。多少、ダマが出来てもよし。

 ②次に熱したフライパンにバターを引いて、混ぜ合わせた生地を適量流し込む。

 ③火加減を調節して、そのまま焼いていると、生地の上に沢山の泡が出てくる。フライ返しで焼き面を見ていい焼き色になっていたらひっくり返す。

 ④もうしばし焼き、竹串か爪楊枝を刺して火が通っているか見て、通ったら完成。


 久々の料理だった上、微調整しながらなので時間がかかった。生地がもんじゃ焼きみたいにシャバシャバになったりして逆に固くなりすぎたりと、悪戦苦闘しながらも、完成した。本当、料理なんていつ以来だろうか…


 「出来たぞ!ナイフとフォークでステーキみたいに切りながら食べるんだ。冷めないうちに召し上がれ。」

 「これがホットケーキですか!いい匂い。」

 「確かに匂いで腹も空いてくるよ。」

 「匂いの感想はいいから速く食べな。」

 「それじゃあ遠慮なく…」

 「「いただきます!」」


 2人は手を合わせて食べ始めた。


 リリーナとマリーは初めてのホットケーキを口な運んだ。その途端、黙り込んでしまった。


 「何だよ?口に合わなかったか?あいにく料理は苦手って訳じゃないが、得意でも無いから…」

 「美味しい…」

 「へっ?」

 「すっごく美味しいですタイガーさん!こんな美味しい物の初めてのですよ!」

 「本当だよこりゃイケるね!」


 2人共テンションが上がった様に興奮し夢中でホットケーキを次々にホットケーキを食べている。


 「そんなに美味かったか?」


 俺もホットケーキやパンケーキは好きな物の分類に入るがここまで興奮したりはしない。


 「あ~幸せ…」


 リリーナは薄っすら涙目だ。


 「ちょいとアンタ、これのレシピ教えとくれよ。店のメニューに加えたいんだよ。」

 「あぁ、いいけど。」


 俺はマリーにホットケーキもとい、パンケーキのレシピを教えた。


 「大体こんな感じだ。さっきも言ったが、虚覚えな所があるし、ここに無い材料は代用品を使ったしな。まーその辺は自分で工夫してくれよ。アンタプロの料理人なんだから、俺より上手いだろうから、色々アレンジを加えて店に出せる位の品に仕上げてくれ。」

 「あー任しとくれよ。」

 「まー取り合えず、甘い物をホットケーキ、甘くない物をパンケーキと呼ぶって事で良いかな?」

 「あたしゃ、どっちでも構わないよ。」


 俺はリリーナのいる客席に元に戻った。

 彼女は、お茶を飲みながら話が終わるのを待っていた。


 「お待たせ。」

 「話終わりましたか?」

 「ああ、新メニュー作るって意気込んでるよ。」

 「確かにマリーさん、張り切ってましたね。あんなにイキイキしているの見るの久しぶりですよ。」

 「まー、少しでもこの店の客足しが戻ることを祈るよ。」

 

 俺達は張り切るマリーに帰ることを伝え、店を出た。

 後で知ったが、今日飲み食いした分の代金は、ホットケーキのレシピの礼にと負けてくれたらしい。気前のいい、ありがたい話だ。それはともかく、店を出るとすっかり夜になっていた。


 「すっかり暗くなったな。」

 「そうですね。ところでタイガーさん、今日は行く宛あるんですか?」

 「うっ、考えて無かった…」

 「それじゃあ、今日も家に来ますか?」

 「いいのか?」

 「ええ、勿論。」 

 「恩に切るよ。」


 本当に、なんて良い娘なんだ。俺は柄にもなく神に感謝した。

 

 ホットケーキのレシピは、ネットで調べたものをいくつか組み合わせたで、正しい作り方と違うかも知れませんのでご了承下さい。

 又、ホットケーキとパンケーキの違いも、本編通りの諸説あります

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