夜空(リリーナSIDE)
34話夜空のリリーナ視点バージョンです。どうしても書いてみたくなったので、書いてみました。
なので、本編は進みませんが…
ニコに諭されリリーナはタイガーと話をする為、図書館を出た。タイガーの帰路は知っており、自分の帰路と途中まで一緒なので、迷う事はない。
リリーナはタイガーを追い掛け、夜道を小走りに走った。
そして、直ぐにタイガーに追い付いた。
「タイガーさーん!」
「リリーナ!」
リリーナがタイガーの後ろ姿に呼びかけた、タイガーもそれに反応し答えた。
「(ハーハー、走ったから少し疲れちゃった…)」
リリーナは息切れしている。直ぐに息を整えてた。
「どうしたんだ?そんなに慌てて?」
「えっと…その…」
リリーナは大事な事を忘れていた。
「(いっけない。ど、どうしよう?なんて言って切り出そうかな…)」
殆どその場の勢いで来たので、彼女はタイガーになんて言って切り出せばいいか、全く考えていなかった。
「いえ、私も家に帰るんです。なので途中まで一緒にと思って…」
「何だそんな事かよ。いいぜ。」
「(ち、違うー!そうじゃなくて…)」
リリーナは自分の意気地のなさを悔やんだ。
その後2人は一緒に帰った。途中、悪路で転びそうになったリリーナをタイガーが助けた。その時、2人は自然と手を繋いでいた。
「(私、タイガーさんと手を繋いでる!)」
男と手を繋ぐなんて経験の無いリリーナは胸が熱くなるのを感じていた。
その後も夜空を見て、2人が初めて出会った日のことを思い出し、語り合った。
話しがタイガーが旅に出る事に持っていき、
「(今がベストなタイミングね。言わなきゃ。言わないと後で後悔するはよリリーナ。応援してくれた皆の気持ちを無駄にしないためにも…)」
親友達の姿を脳裏に浮かべながら、そう自分に言い聞かせ、意を決してリリーナは、切り出した。
「タイガーさん…駄目なら駄目と、はっきり言ってくれて構いません。」
「リリーナ…?」
「私も同行させて貰えないでしょうか⁉」
「…!!えっ…」
予想外の展開に固まったタイガーを余所に、
「(いっ、言っちゃった!遂に言っちゃった。)」
言いたい事を言えて、まだ返事を聞いてもいないのに、リリーナは安心した様な気になった。とわいえ、胸に手をやると心臓はマラソンでもした後かのように激しく鼓動していた。
タイガーが本気かどうか確かめて来た。
それに対しリリーナは一言一言を真剣に受け答えした。内容に嘘偽りは無い。タイガーと共に旅に出たいし、今の仕事の期間ももうすぐ終わり、次の働き口も決まっていないという事も事実だった。最も仕事の方は、タイガーが旅に出る事を知って以来、探す気になれなかったというのが、正しいのだが…
そして今、リリーナはタイガーの返事を待っている。元々急な申し出だ。断られても仕方ない。けど、言わなかったら後々後悔する。そういった思考を頭の中で繰り返している。
それに対するタイガーの返事は…
「分かったよリリーナ。こんな俺と一緒で良ければ、共に行こうぜ。」
オーケーだった。それを聞き夜道なのにリリーナは、一瞬自分の周りが明るくなったかのように感じた。
「!…ハッ、ハイ、タイガーさん!」
リリーナは遂大声で返事してしまった。
タイガーはその事には触れず、
「それじゃあ、よろしくなリリーナ!」
「こちらこそ、よろしくお願いします、タイガーさん!」
再び手を繋いだ。が、リリーナは手を繋いでる事よりも、
「(ダメもとだったのに…タイガーさん…オッケーしてくれた…あぁ、ケティ・ニコ皆、やったよ。ありがとう…がんばったな私…)」
と、自分を後押ししてくれた皆への感謝と、告白する事が出来たか自分への労いの気持ちで一杯だった。
そして2人は、夜道を歩き続けた。月を見上げてリリーナは、
「(あの月、なんだか私達の旅立ちを祝福してくれているみたい…なんてね。何を考えてるんだろ、私ったら…)」
リリーナは、顔を少し赤らめた。
2人は月を見上げて、互いに似たような事を思っていた。しかし、今の2人がその事を知る由もなかった。