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ことの顛末

 終盤部に書き足し(21年1月31日)

 ホリィのパン屋に並ぶ列に因縁をつけ、暴れだす3人組のチンピラ達。

 ホリィ自身にも手を出そうとしたが、それをニコが、あっさりと返り討ちにしてしまった。

 チンピラの内の1人が逃げるもケティに捕まる。そして、近くにいた黒幕…と言えるかは兎も角、例のパン屋の店長のアクドを俺が飛びかかって捕まえた。


 その後、分かったことの顛末はこうだ。

  

 ケティからの連絡を受け、ケティの同僚達がやって来て、チンピラ達とアクドは連行されて行った。その際に知ったのだが、ケティは自警隊に所属している。自警隊とは、この世界における警察の様な組織らしい。ケティは丁度近くをパトロールしている時に騒ぎを聞き付け、駆けつけたのだと言う。

 そして4人は、自警隊の本部で取り調べを受けた。犯行動機はホリィの店に客を取られたことへの腹いせにと、店を潰してやろうというものだった。そこでアクドは、チンピラ達を雇ったのだ。何でもチンピラ達のボスとアクドは元々知り合いらしく、訳を話し、依頼してチンピラ達に暴れさせたのだ。最初は上手く行っていたのだが、大きな誤算が生じた。他でもない、ニコの存在だった。


 そう、ニコは普段は気の弱い少女だが、見かけによらずカリボーの達人なのだそうだ。カリボーとは、今、俺がいる国の武術の1つで、結構長い歴史があるらしい。で、ニコは父親がカリボーの師範で、彼女も幼い頃から鍛えられたらしい。その結果、何と15の頃に、師である父親を超えてしまったという。恐るべしニコ…


 「と、いう訳でだ。ニコのおかげで助かったって訳だ。」

 「本当、助かったわ、ありがとうニコ。」


 俺とホリィがニコを褒め称えた。


 「そ、そんな事無いよ…」

 「いや本当の事だぜ。俺なんて情けなくも、何も出来ずにいたってのによ…」

 「………」


 ニコは恥ずかしそうにして縮こまっている。とてもチンピラ達を1人でなぎ倒したとは思えない姿だ。こっちも世界でも、最近は女が強いんだな、と感じた。


 事件から数日経ち、ここはマリーの店だ。今日は定休日で、マリーも留守なので客席を借りて、皆で雑談している。ケティ・ミミ・リリーナもいる。


 「それにしても、あのアクドって店長、まさかこんな乱暴な手段を取るなんて…」

 「人は見た目じゃないって言うけど、あの男は悪人ヅラの見た目通りだったわね。」

 「本当、同じパン屋なのに、ホリィとは大違いよね。」

 「気をつけなさいよホリィ。取り敢えず、アイツ等は全員、今は檻の中で、店自体も営業停止処分になったけど、またあんな質の悪い奴らが来ないとも限らないんだし。」

 「そうねケティ。自警隊の方でも警戒しといてね。」

 

 ミミが心配顔で言う。

 

 「ええ、分かってるわよ、ミミ。上にも、この辺りの巡回や、質の悪い奴等への警戒を強化するよう提案しとくから。」

 「お願いね、ケティ。」


 そう、今ケティも言ったがアクドの店は、店長が事件を起し捕まった事もあって、営業停止となった。そして自警隊の立ち入り検査が入った。その際、店で使っている小麦粉だが、他国から輸入した安い粗悪品の小麦粉を結構な量、混ぜていたらしい。俗に言う、産地偽装というやつだ。だからアクドの店の商品は安いけど味が今一つなのだ。

 実はこれは、俺が敵情視察した際、店の裏側を偵察した時に、気付いたことだ。この町は小麦粉が名産で、基本的に他所の小麦粉を使う事はこの町では殆ど無いらしい。現にアクドの店も、店頭の張り紙で町の小麦粉100%使用と銘打っていた。なのにアクドの店の小麦粉は、他所(よそ)の国のマークの入った箱に入っていて、それもひと目を避けるように管理されているのを俺は目撃したのだ。アクドの店に立ち入り検査が入ると知った俺は、ケティにその事をリークしたのだ。結果がこれだ。

 更に、こんな事実も判明した。

 また、例のイベントの大当たりの商品だが、本当は1つも入っておらず、全部予め隠し持っていた物を、さも当たったかのように演技していたのだ。そう、当たった客は皆、店の関係者が演じたサクラだったのだ。

 尚、これは後に判明したことだが、その当たり商品自体も、偽物イミテーションだったらしい。何処までセコい手を使う。そう、店長アクドは悪人ヅラの顔どおり、とんだ悪党だったという訳だ。


 「ねーニコ、アンタも自警隊に入んない?その腕っぷし、アンタに適任だと思うわよ。図書館よりもさー!」

 「ケティ…だから私は…今の職場が気に入ってるから…」

 「連れない事言わないでさ、何ならあたしが推薦したげるわよ⁉」


 ニコが困り顔だ。ニコは町外れの図書館で、司書をしているらしい。


 「ちょっとケティ!ニコが困ってるでしょ。無理に勧誘しないの!」

 「むー、向いてると思うんだけどなー!」


 ケティをミミが窘めた。ケティは不満顔だ。ミミは何かとケティを窘めた事が多い。因みに、ミミは役場の所員だ。


 「ふふっ、ケティもミミも相変わらずなんだから。」


 リリーナはそんな友人達の様子を見て、満足げにしていた。

「ねーニコ、…以降が、書き足した分です。、

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