ジパーネ国 入国
俺等は、ジパーネ国にたどり着いた。国は周囲を3メートル位の高さの壁で囲まれており、国に入るには東西南北にある、入口の門を通る必要がある。
今俺等がいるのはその門の一つ。
国の入口付近には、
【ようこそジパーネ国へ!!】
【これよりジパーネ国!!】
等と書かれた立て札があった。
なんだかチョットしたテーマパークぽいな…目の前の入口も昔、家族で行ったどこぞの忍者村に似ている気がするし…
「どうしたタイガー!?早く入ろうぜ!」
「ん、ああ…」
レオに急かされ俺等は、入口の門に向かった。
門の側には長い棒を持った門番が立っている。が、暇なのか、片方は気だるそうにタバコ吸っており、もう片方にいたっては、しゃがみ込み眠たそうな顔をしていて、挙げ句にアクビしてる(眠たそうなじゃなくて、本当に眠そうだ…)。
こんなんで大丈夫なのかこの国…
特にこれといって、縁もゆかりも無い国ながら、俺は少々心配になった。これからしばらく滞在予定なのに…
「私達、入れるんですかね?…」
「まぁ一応、案内や歓迎の看板はあったからな、大丈夫だろう。多分…」
ここまで来て引き返すのもアレなので、意を決して門に近づいた。
俺等が近づくと、門番は俺等に気付き、
「おっ、おい!」
「ん、客か?久々だな…」
「ああ!」
しゃがんでいた方は直ぐ様立ち上がり、タバコを吸ってた方は、吸っていたタバコを足元に落とし、火を踏み消した。
そして俺等に近寄ってきた。
「入国希望で!?」
「はい、4人です!」
「4名ッスね!」
手短にやり取りをする。便宜上、タバコを吸ってた方を門番A、眠そうにしてた方を門番Bとする。
俺等が入国の為、書類を取り出そうとすると、
「あっ、書類は結構っす!」
「えっ、いらないんですか?」
「ええ!」
そう言って近くを指差す門番A。
指差す方には、テーマパークの入場券売り場みたいな窓口があった。
「あそこで、人数分の入国料を払ってもらえればOKッスよ!」
と、門番Bが言う。
入国料払うだけでいいって、みたいじゃなくて、本当にテーマパークかよ…
むしろ最近のテーマパークでも、手荷物検査が必要なところあるくらいだぞ…
とはいっても、それは俺の前世において、地球での話だが…
手な訳で、入国料を払いに窓口に向かった。
窓口には、中年のおばさんがいたが、菓子をつまみながら、茶を飲んでいた。
こっちもこっちでヒマそうにしていた。
「あの〜」
「!?おや、お客さんとは、珍しい…」
こっちも俺等に気付くと、対応に移った。
「いらっしゃい!え~と、大人3人に子供1人だね!」
俺とリリーナ・レイナは大人料金で、レオは子供料金だった。ますますテーマパークみたいになってきたな…
俺等は4人分の入国料を支払った。支払うとおばさんは、4枚の木の札を渡して来た。首から下げられる紐付きだ。
「その木の札が、入国料を払った証だよ。持っていれば、何日でもこの国に滞在出来るよ。出る時に回収させてもらうよ。後、再発行は出来ないからね!万が一無くしたら、国外退去か、再度入国料を払ってもらうことになるから、無くさないように気を付けてね!」
この木の札が滞在出来る証なのか。チケットの半券みたいなものか…
札は各々、首から下げた。
「ほらレオ君も!」
リリーナがレオの札首から下げさせた。
「いい、無くさないように、しっかり首から下げとくんだよ!」
「ん!」
注意を促すリリーナ。そりゃあ、料金の払い直しは痛いからな…
と、ふとある事を思い出した俺は、窓口のおばさんに訪ねた。
「ところでさ、今日俺等以外に、それココに来た人はいるんで?」
「いや、あんた達以外はいないよ。そもそも、今日どころか、人が来ること事態、数日ぶりだよ!」
と、返された。
そう言えばさっき、このおばさん、
「珍しい…」
って言ってたな。門番Bの方も、
「久々だな…」
と言っていたな。
どうやら、滅多に人は来ないらしい。だから門番A・Bも、窓口のおばさんもヒマそうにしていたのか。そんなんだから、接客態度の良いと言えないこの面々でも勤まっているのか…
本当に、潰れかけのテーマパーク並だ。大丈夫なのだろうかこの国…
「(すると、あの3人は、本当に何処に行ったんだ?…)」
あの3人とは、馬車乗り場で見かけた人達のことだ。もしかして、彼等もこの国に来たのか思っていたが、違うようだ。
この辺に、他に向うような場所あるのか?
「(…ま、いいか…)」
考えてても仕方がない。
俺等は木の札を門番に見せ、ジパーネ国に入国したのだった。