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祭りの後3

「そうか、今日旅立つのか…」

「ああ。いい(とこ)だけど、何時までもいるわけには、いかないからな!」

「まぁ確かに、この町は年に一度の収穫祭くらいしか、ウリがないからな…」


俺等は、 開店前(仕込み中)のラーメン屋内で、ケイと話している。

最初に挨拶に来たのがココだ。因みに、ゴロンは仕事はいない。彼は炭鉱夫で、数日に一度だけココに戻って来るらしい。

案の定レオが、つまみ食いして、お詫びにと店を手伝った。そんな思い出も、ここを発つと思うと、不思議といい思い出に感じなくもない。

そう思いながら、ふと壁の手書きメニューを見ると、例の激辛ラーメンがピックアップされるように載っていた。

しかも、


【辛いもの好きの方にオススメ!】


という、キャッチコピーまで、書かれている。


「ケイ、コレって…」

「いやなに、アンタのすすめもあって、ダメ元で出したんだが、予想外に人気でな…」

「マジか!?」

「ああ。意外と、激辛が好きな人って、多かったようだ。食ってる人を見た人が、好奇心から自分も食ってみたいって、なったようでな…」

「へぇ~!」

「しかも、祭の【激辛スープ早飲み大会】の一件もあってな。で、好評につき、限定でなくレギュラーメニューにしたんだよ!」


怖いもの見たさってやつか…

この世界にも激辛好きはいるんだな。


「それもコレも、全てはキミのおかげだよ。ありがとな!」


そう言ってレオに礼を述べるケイ。


「おう!」


と返事するレオ。

何時もだったら、コリもぜずに、つまみ食いしそうだが、今日は大人しくしている。

それもそのハズ。何故なら…


ガシッ!!


と、レオは左右の両手をリリーナとレイナにシッカリと握られている。

つまみ食い防止のためだ。

その姿はさながら、捕まった宇宙人の様だ…大分前に、テレビ等で見たヤツを思い出した。


「さてと、そろそろ行くか。」

「そうですね。」

「もう行くのか!?」

「ああ、それじゃあ。ゴロンにも、ヨロシク言っといてくれ!」

「おう。また何時でもよってくれ!」


そう言ってケイの店を出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方その頃、近くの炭鉱にて。


「新入り!シッカリ運べ!!モタモタすんな!」

「はぃ〜〜…」


ゴロンに怒鳴られ、半べそをかきながら、働くドラムーの姿があった。

ゴロンはココの炭鉱夫で、ドラムーも今日からココで働いている。


「(チクショ〜、何で俺がこんな薄汚れたトコで…)」


と、内心悪態を付きながら働くドラムー。

最初はこんな感じたが、後日、ゴロンにケイの店でラーメンをご馳走してもらい、美味さに感激。

次第に、汗水流して働く喜びを知ることになるのだが、それはまた別の話…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そうですか、行かれるのですね。」

「ええ。色々とお世話になりました!」

「いえいえそんな、大した事してませんよ!サヨの相手までして頂いて、逆に申し訳ないくらいですよ…」

「大丈夫ですよ。レオも同じ年頃の友達が出来て楽しそうでしたし。ねぇ、レオくん!?」

「ん!」

「ん!じゃないでしょ!?」

「ははは!」


俺等はブルマン氏とサヨの所に挨拶によっている。祭の間、休んでいたブルマン氏の店の方も、今日の午後から営業再開するらしい。

ブルマン氏と主に挨拶してるのは俺とリリーナ、レオだ。

サヨの方はというと、


「それではレイナさん、また何時の日にか、お手合わせ願います!」

「ええ、何時でも受けて立つわよ今度は、あんな決着にはならないからね!」

「その事は言わないで下さい…」

「あっ、ゴメン…」


レイナと何時の日にかの再戦(リベンジ)の約束をしていた。

ココは彼女の実家の道場だ。近くでは、門下生が鍛錬している。よく見ると、武道大会で見た顔もいる。尚、大会でレイナと当たった面々はいない。


因みに、ブルマン氏によると、2回戦で蹴りの一発でやられたマセイヌは、足の腫れが引くまで自宅で療養中で、4回戦のサーロンは食中毒で担ぎ込まれた病院に今も入院中、そして決勝戦のペプチドは反則負けした事を恥てか、1から修行をし直すと言って修行の旅に出たとか。


こういった情報は、一体全体何処から入るんだ?…本人はお客からと言っているが、本当なのか?真偽の程は定かではない。


「レオくん、あの人形大切にするからね!」

「おう!お前も元気でな!!」

「皆さん、お気を付けて!」


そして、サヨ・ブルマン氏とも別れ、その後、この町で知り合った人達に挨拶して周り、やがて馬車の時間になった。

乗り合い馬車に乗りこんだ俺達。


「そう言えばタイガー、ボンさんと奥さんに挨拶してないんじゃないの?」


座席に座って間もなく、レイナが聞いてきた。


「ああ、あの2人は次の祭の出店準備があるとかで、祭の後片付けが済むなり、町を出たってケイが言ってたぞ。」

「そうなんですか!?挨拶出来なかったですね…」

「いや多分、またすぐに会えると思うぞ!」

「何で?」


レイナが尋ねる。


「それが、あの2人の次の出店先が、俺らの次の目的地なんだよ!」

「そうなの!?」

「ああ!」

「そう言えば、次の目的地聞いてなかったけど、何処なの?」

「ジパーネ国だ!」

「ジパーネ国…それってピートさんの…」

「そう、その国だ!」


ジパーネ国。それは、ホープスタウンで出会った菓子職人ピートが菓子作りを学んだ所だ。小さな国なので、情報がほとんど無いのだが、アズビーの事もあるし、もしかしたら、日本に似た文化の国かもしれない。公国で調べ物をしていたら、偶々、ジパーネ国が近くにある事を知り、急遽、目的地に加えたのだ。


「しかも、ナタクから聞いたんだが、ピートも今、用事でソコにいるらしいんだ!」

「わぁ、それじゃあ、ピートさんとも再会出来るかもしれませんね!?」

「ああ!」


まぁ、少々都合の良すぎる話な気もするが、その辺は置いといて、そうこういてる内に、出発の時間になった。


「それでは、出発しますよー!!」


と、御者のおじさんが発すると共に、馬車は走り出した。

次の目的地、ジパーネ国を目指して、俺達の旅は再び始まった。



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