唐揚げと○○○
唐揚げの起源は、中国の普茶料理(精進料理に近いもの)で、江戸時代に日本に入って来ました(当時は豆腐で作られていた)。
それが戦後の食糧不足も相まって、養鶏が発展すると共に、鶏肉で作られるようになり、一気に広まった。
というものだそうです。
ケイに調理場を貸してもらい、俺はセリさんから貰った鶏肉で唐揚げ作りを始めた。
唐揚げの材料は
・鶏肉(モモ・ムネ肉)
・塩コショウ
・小麦粉
・生姜
・ニンニク
・油(勿論、揚げるためのもの)
こんなところかな。醤油があればいいんだけど、無いから塩でいく。
前世でテレビ等で見聞きしたものだが、全体的にうろ覚えなので、手順等は適当…いや、自己流ってことで…
唐揚げの作り方
①鶏肉を適当な大きさに切り分ける。
②切り分けた鶏肉に、塩コショウ・すりおろしたニンニクと生姜を入れてよく混ぜる。
③混ぜた鶏肉に小麦粉をまぶす。
④高温の油で揚げる。
⑤中まで火が通ったら、油から上げて完成!
こんなところだ。
今回は小麦粉を使ったが、片栗粉でも可だ。小麦粉と片栗粉とでは、衣の食感に差が出るらしい。小麦粉は当然麦から。片栗粉はジャガイモ等のデンプンと、元の材料が違うので、そうなる様だ。
ニンニクと生姜は、肉の臭みを消したり、殺菌作用で消化も助ける等の作用がある(らしい)。
コショウ・ニンニク・生姜は、この町の産だ。香辛料が名産品の町なので、質の良いのが容易に手に入る。
生姜。生姜もまた、香辛料の一種だ。海外ではジンジャーと呼ぶ。飲み物のジンジャーエール。生姜が入っている飲み物から、その名なのだ(炭酸飲料苦手なので、俺は飲んだこと無いけど…)。
他にも、味付けに酒やマヨネーズを、隠し味にハチミツを入れたり、二度揚げしたりと、やり方は色々あるみたいだが、今回は省略。
後、鶏肉と各調味料を混ぜる際、ビニール袋に入れてやると、簡単で手も汚れず、尚且つ後片付けも楽なのだが、この世界にそんな便利な物は無いので、普通に器でやった。
手な具合で、試しに一つ揚げてみた。
十分に火が通ったら、油から上げて、味見に一口…
すると、
「……(うっ、美味い!!)…」
俺は心の中で叫んだ。
勿論、ちゃんと作ったものに比べたら、大きく劣るだろう。が、それでも美味く感じた。
そういえば、こんなジャンクフード(?)的なモノを、この世界に来てから食べた記憶が殆ど無い(ラーメンは除く)。
すっかり、この手の味を忘れていたが、そこは元現代日本人。
染み染みしていると、近くの野菜入れに、ジャガイモがあるのに気付いた。
「(ラーメン屋でジャガイモなんて使うのか?…)」
と少し思ったが、すぐに別の事を思いついた。
ちゃんとケイに了解を得て、ジャガイモも使わせてもらった。
そして、それから間もなく、料理は完成した。
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「出来たぞ!」
「おお~!!」
唐揚げを盛った皿を皆の前に置いた。
皆、初めて見るモノに興味津々になっている。
「さぁ、冷めないうちにどーぞ!あっ、つっても火傷には気を付けてな!」
俺の勧めで各自、唐揚げにフォークを伸ばした。 そしてソレを、口の中に運んだ。口内で咀嚼して飲み込む。
「「……」」
「どうだ?…口に合わないかな?…」
「…めぇ…」
「!?」
「うめぇ!超 美味いぞ!」
「あぁ、すげー美味いぞコレ!」
大盛り上がりのケイとボン。
「ええ。美味しいですよ!ねぇ、レイナちゃん!」
「うん、イケるよ姉さん!」
「あたしも好きだよこういうの!」
女性陣にも好評だ。
好評につき(?)、続けてアレも出すことにした。
「皆、続いてコレも食ってくれ!」
「なんだよこりゃ!?」
「フライドポテトだ!」
「フライド…ポテト!?…」
そう。ジャガイモで作った物。それはフライドポテトだ。
フライドポテト。ジャガイモを手頃な大きさに切り、油で揚げて、塩で味付けした料理だ。
同じ揚げ物で尚且つ、ジャンクフード繋がりで、ジャガイモを見て思いつき、作ってみた。
マッ○ポテトみたいに、細長いヤツが理想なのだが、技術的にも難しいので、太めのやつにした。
「コッチも熱いうちにどーぞ!」
「どれどれ…」
唐揚げと同様、ポテトを口に運ぶ。
「うん!コレも美味いぞ!」
「ああ、この外はカリッと、中はホクホクの感じが最高だぜ!」
「これ、レオくんにも食べさせてあげたいな…」
「レオくんがいたら、我を忘れて食べちゃいそうだね!」
「そうだね!」
「そうそう、このプライドポテト、味付け今回は塩だけだが、他にも胡椒やマスタード、チーズや各種ソースを付けても美味いぞ!」
「わ~美味しそう!」
「ケイさん、調味料とか貸してもらえます?」
「おういいぜ!待ってな、取ってくる!」
調味料を取りに、調理場に向かうケイ。
皆、実に楽しそうにしている。唐揚げとフライドポテトに、とてもお満悦の様だ。
手間ひまかけて作った料理を、喜んでた食べてもらえる。結構いいもんだ。
プロの料理人の人達も、こんな気分なのかな…
俺がそんな気分に浸っていると、
「アンタこれ…」
「ああ、いけるぞ!」
ボンと奥さんのセリが、何やら真剣な顔で話している。それは、商売人のモノだと感じた。
「あんちゃん!」
「どうしたんだよ、改まって!?…」
「頼みがあるんだ!」
「頼み?」
「ああ。この、唐揚げとフライドポテトってやつの、レシピを教えてくれないか!」
「レシピ!?」
殆ど自己流だし、レシピって程のものでは無いと思うが…
まぁ、特に断る理由もないしな…
「別にいいけど…」
「それから、ついでに…」
「ついでに?…」
「この2つを、明日の祭で売ってもいいか?」
「祭で!?」
なんかまた、一ブーム起きそうな予感が、この時、俺の頭の中を過ぎったのだった。
ラーメンにジャガイモ。
作者は全くイメージ無いですが、一応、使うケースはあるみたいです!