激辛2
因みに、鹿せんべい飛ばし大会の優勝者には、鹿の角トロフィーが送られるそうです。
一定の距離以上飛ばした人も、記念品が貰えます!
ゴマクッキー投げ大会が終わった後、祭のイートスペースにて。
「そんじゃ、レオの優勝を祝して、乾杯!」
辺りの出店の品々を買い揃え、それらで簡単ながら、レオの祝勝会を行なっている。
「それにしてもレオくん、さっきのやつ、スゴかっよ!」
「そうか!?」
「そうだよ。私のなんか途中で風にあおられて落ちちゃったし…それに比べてレオくんのクッキーは、風に乗ってあんなに遠くまで行ったんだもの!」
「大したことねーよ!」
「大したことだよ!?どうやったら、あんな事出来るの?」
「そだな…まぁ、何となくだ!」
「何となく?」
「ああ、何となく、風が来そうな感じがしてな、あの辺に投げたら、上手いこと風に流されて、いけそうな気がした!」
「そうなの…」
と、それぞれ、大会が終わった後リリーナから返してもらったウサギの人形と、優勝者に贈られる木彫りの像(ゴマの神を模した、トロフィーに値するもの)を傍らにした、レオとサヨが話している。
因みに、ゴマクッキー投げ大会の優勝商品は、その木彫りの像と、ゴマクッキーを初めとする、ゴマを使ったお菓子の詰合せ(勿論、コレは普通に、美味しく食べれる)だった。
「でも本当にすごかったよレオくん!」
「姐さんの言う通り、もうそっちの方面で、食べていけるんじゃないの!?」
「そっちの方面って、何だ!?」
「えっ…えっと…それは…」
「考えなしに言うなよ!」
「ははは!」
そんな感じで、俺等が飲み食いしながら談笑していると、
「うぉーー!!」
イートスペースの近くで、何やら盛り上がっているらしく、歓声が聞こえてきた。
「何だ?」
「向こうでも、別のイベントをやっているみたいですよ!」
リリーナが、祭のパンフレットを見ながら言った。
「2日目、ゴマクッキー投げ以外にも、イベントあるんのか。まぁ、当たり前と言えば、当たり前だよな!」
「ええ。あっ因みに、1日目は武道大会以外にも、ホットドッグの大食い大会があったらしいですよ!」
「ホットドッグのね…(ニューヨークとかでやってるやつみたいだな…)」
こっちでも、その手の大会あんのか。そういえば、武道大会にばかり目が行ってたけど、別の所でも、盛り上がってたな。多分それが、ホットドッグ大食い大会だったんだろうな。
因みにその大会は、マスタードの神様にまつわるイベントらしい。
「なにィ、オレっちそっちの方が良かってぞ!!」
案の定、食い付くレオだった。
「生憎だけど、そっちは15歳以上からしか出れないみたいだから…」
そう言ってなだめるリリーナ。
それでもゴネるので、後でホットドッグを買ってやると、約束をした。この祭にも、ホットドッグの屋台があったので。
それは置いといて、丁度、買い揃えた品々は殆ど食い終わっていたので、ゴミを片付けてから、俺等は歓声のする方に向かった。
「予選第2試合は、3番さん勝ち抜け!」
そこでは、長机に5人の男女が座り、真っ赤なスープをコレまた顔を真っ赤にし、汗だくになりながら飲んでいる。
という光景だった。
司会をしているのはエムーだった。
「何だコリャ?」
「これは、このお祭りの名物、「激辛スープ早飲み大会」ですよ!」
「激辛スープ…早飲み大会!?…」
「そうです。唐辛子を大量に使って作った、スープを早く飲み切れるかを競う競技です!」
「そのまんまな競技だな…」
「コレも、香辛料の神様の、神話から来てるのサヨちゃん?」
「ええ。唐辛子が不作な年に、唐辛子の神様に神頼みをしたら、「指定した通りに作った唐辛子料理を指定した時間までに食べ切れば、翌年の豊作を約束する!」という神託があったという伝承から生まれたそうですよ!」
「へぇ~…(妙な神話だな…)」
サヨの話を聞いている間にも、大会は進んだ。
何回かに分けて予選を行い、各予選で1番になった選手で決勝を行うようだ。
勝ち抜いた選手も、敗退した選手達も全員、随分と苦しそうだ。掻いた汗で、皆が皆、服がぐっしょりしている。
「…ああレオくん、この大会、参加は17歳以上からだって!」
「17以上だったとしても、遠慮する…」
この町に来た初日に、拾い食いをして、エラい目にあったからか、食物絡みでも、流石にコレには食いつかなったレオ。
そうこうしている間に、予選は全て終り、決勝への出場権を手に入れた、男女5人(男3・女2)が観客達の前に並んだ。
「さて決勝ですが、事前にお伝えした通り、今年は少し趣向を変えて行いたいと思います!」
「趣向!?」
俺等はいなかったから、当然聞いてないが、開始時に、その様な事が司会のエムーから、伝えられていたらしい。
「それでは、決勝の為にご協力頂いた、当町のラーメン店 店主である、ケイさんご登場下さい!」
「ケイ!?」
聞き覚えのある名前が出て来た。
そしてエムーの紹介で現れたのは、先日知り合った、あのケイだった。
「どうも、ラーメン屋やってます、ケイです…」
照れくさそうに挨拶をするケイ。
「ではケイさん、例のモノを!」
「アイよ!」
ラーメン屋らしく、そう返したケイは、蓋の乗ったワゴンを押して出てきた。
「決勝で皆さんに召し上がってもらうのは…」
蓋を外しながら言うエムー。
外すと湯気が立ち込めた。その湯気が晴れるとソコにあったものは、
「コチラです!」
それは、ケイの店で故有って出来た、超激辛ラーメンだった。
クロッシュとは、フランス語で「鐘」の意味です。又、釣り鐘型の女性用帽子という意味もあります。