イベント
目的のイベント会場にやって来た俺達。
「受付はあそこですよ!」
「よし、そんじゃあ早速…」
受付にて、
「ではそちらのお二人ですね!こちら参加証になります。」
「はい!」
受付でレオとサヨの2人をエントリーさせ、参加証を受け取った。
「ほら、参加証だ。失くすなよ!」
「ん!」
「ありがとうございます!」
レオとサヨに参加証を渡し、開始を待った。
「では、もう間もなく開始されますので、それまでお待ち下さい。」
無事エントリーを済ませ、開始を待った。
しばらくすると、
「それでは、 イベントの方を始めたいと思いますので、出場者は集まって下さい!」
係員が出場者に集合をかけた。
「じゃあ行って来るぞ!」
「行ってきます!」
「おう、楽しんでこいよ!」
2人を見送った。
「観覧は向こうみたいだな、行こうぜ!」
「ええ!」
「オッケー!」
ウサギのぬいぐるみを抱えたリリーナとレイナと観覧席に向かう。席と言っても、立ち見だが。リリーナが抱えているのは、さっき輪投げ屋でレオが獲得し、サヨにあげたやつだ。競技の邪魔になるので、イベントに行く前に、サヨから預かった。
因みに、レオが獲得した他のオモチャたが、取ったもののレオは興味なく、サヨもいらないと言ったので、近くにいた子供達が物欲しそうにしてたから、その子達にあげた。
「それではこれより、ゴマクッキー投げ大会を始めたいと思います!司会を務めます、レニーです!」
司会の女性、レニーが開始宣言をした。
そう、2人が参加するイベントは、ゴマクッキーを投げる大会だ。
ルールは至ってはシンプル。1人1枚、投げる用に作られた、大きめのゴマクッキーをフリスビーみたいに投げる。1番遠くに飛ばした人が優勝となる。
何でも神話に出てくるゴマの神様が、草木が全く生えていない土地の隅から隅まで、ゴマの種を巻いて、その地一帯をゴマ畑にしたという話があるらしく、その話を元に出来た大会らしい。
そう言えば奈良にも、デカイサイズの鹿せんべいを投げて飛距離を競う、
「鹿せんべい飛ばし大会」
ってのがある。
多分それと、似たようなもんだろう。名前もよく似てるしな。
「それでは、皆さんには、お配りしたゴマクッキーを順番に投げてもらい…」
「まっじ~〜!!」
司会の女性の声を遮るように、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「今の声って…」
「レオだな…」
声の方に注目が集まる。集まった先では、レオが配られたゴマクッキーをかじっていた。
案の定。まぁ、レオに食い物渡せばそうなるよな。本当に、ネコにマタタビだったな。
しかし、一口かじっただけで、止めている。
「おぇ~、なんだよコレ!?スゲーまじーぞ!」
「えぇ、食べちゃったの…あの、そのゴマクッキーは、投げる用の作ったので、人が食べれる様には作ってないんですよ?」
投げる目的で出来てるので、味は悪いようだ。
鹿せんべいもそうだ。鹿せんべいはあくまでも鹿の餌なので、味付けも、調味料等も使っていない。小麦粉と米ぬかが材料なので、食べても害はないけど、美味くもないらしい。
また、人間用でないので、賞味期限も設けられていない。
「えー、こちらのゴマクッキー、食べても美味しくはありませんが、競技後はそのまま野生動物のエサとなりますので、ご安心下さい。」
司会のレニーが説明する。元々、説明する予定だったみたいだが、レオの事があったので、早めに説明に入ったようだ。
鹿せんべい飛ばし大会の鹿せんべいも、投げた後はそのまま鹿の餌になる。鹿せんべいには、砂糖も塩も不使用で、例え食べられずとも、やがて完全に土に帰る。環境にも優しい。
「はい、新しいクッキーです。もう食べないで下さいね!?」
「ン!」
新しいクッキーを受け取るレオ。
そんなこんなで、トラブルって程ではないが、改めて、
「では、早速大会を始めます!」
大会が開始された。
「それでは、一人目の方から行ってみましょう!」
一人目は中年の男性だ。
投げる順番は、大会にエントリーした順に投げる決まりだ。
「そりゃあ!!」
気合いを入れてクッキーを投げる男性。気合いが入ってるだけに、中々飛距離が延びる。
しかし、そこへ、
びゅー!!
と、一陣の風が吹いた。突然の風に、クッキーは流され、そのままコースアウトしてしまった。
「残念ながら、コースアウトしたので失格になります!」
「あぁ~」
コースアウトすると失格で、記録なしとなるようだ。悔しがる男性。意外とシビアだな。
「そーれ!」
「えい!」
「やぁ!」
「とりゃあ!」
その後、参加者達が次々にクッキーを投げる。
「只今の記録、33.81メートルです!」
30メートル台を出す人、
「只今の記録、1.59メートルです!」
手が滑ってすぐ手前に落ちた人、
「コースアウト、失格です!」
一人目と同様にコースアウトで失格の人と、様々だ。
「只今のところ、今大会の最高記録は、40.37メートルです!」
今のところ暫定1位は、20代位のフーラという名前の女性が出した、40.37メートルだ。
因みに、歴代最高記録は49.17メートルらしい(祭のパンフレットからの情報)。
「現在、第1位のフーラ選手の記録、40.37メートルを超える記録は、果たして出るのでしょうか?残る出場者は、2名です!」
残り2名。つまり、
「あっ、出てきましたよ!」
「がんばれサヨちゃん!」
そう。いよいよレオとサヨの2人だ。
鹿せんべいは人間が食べるように出来ておらず、検査等もしてないので、人が食べる事は禁止されているらしいです。
また、鹿に砂糖や香辛料が入った物をあたえるのも良くないそうです。場合によっては命に関わる事になりかねないそうなので、ご注意下さい