ラーメン屋2
俺とレオは、ラーメン屋に入店した。
「いらっしゃい!」
入るなり、店員の声がした。
店内は、ブラウンタウンでテツと行った店と似たような感じだ。まぁ場所が違えどラーメン屋だ。どこでも、同じ様な感じだろう。他の客は、テーブル席に2人いる位だ。昼には少し早い時間帯なためか、比較的に空いていた。
俺とレオはカウンター席に座った。俺はラーメン屋じゃ、カウンター席で食べるのが好きだった。
座ると壁に手書きで書かれたメニューを見た。こんなふうに、手書きなところが味があって良いと感じた。
品書きはそんなに多くはなく、ラーメンにライス等いった、至って普通の品々だ。
俺等はラーメンとライスをそれぞれ注文した。
「お待ちどう!」
暫くすると、ラーメンとライスが出て来た。早速、頂いた。
チュルチュル!
「…うん、なる程な…」
味は至って普通の味だ。特別、美味いわけではないが、かと言って、不味くもない。
ジー……
何やら視線を感じたので、その方を向くと、この店の店員が、俺の様子を食い入るように、見つめていたのだ。
特に悪意とかは感じなかったので、無視していたが、次第に気になってきて、食うのに集中出来なくなった。
たまらず俺が、
「何か?」
と訪ねた。
すると店員は、
「あ、いや、その…つい気になって…」
食いながら話を聞いた。彼がこの店の店主で、名前は「ケイ」。
俺を見ていたのは、食った時の反応が気になるからだそうだ。
何でもこの店、客の入りが今ひとつとのこと(この世界に来てから、何度目だよこのパターン…)。
今日も客は、俺等を入れて現時点で4人らしい。先にいた2人の客+俺とレオで4人か…(気付けば先客2人は既に店を出ていた)。
「(確かに、流行ってる感じはしないな。)これで、経営成り立ってるのか?」
「まぁ、何とか…この町、他にラーメン屋は無いんでね。夜になれば、それなりにお客が来るんでね、やってけてるんだよ!」
「そうか…(元の世界だったら、近くに大手の店が出来たら即潰されるパターンだけど、この世界なら、そのパターンは無さそうだし、今回は特に助言はいらなそうだな…)」
等と思っていたら、横の席にいたはずのレオがいないことに気が付いた。既にラーメン・ライスは完食済みで、スープ1滴、ライス一粒残さずにだ。
嫌な予感がしてレオを探すと、直ぐに見付かった。案の定、厨房の中に入り込んでいやがった…
「おいレオ!」
「ん!?」
「あ~、チャーシューが…」
悲痛な声をあげるケイ。
厨房でレオは、ラーメンのトッピングのチャーシューを丸かじりしてやがった。
慌てて取り上げたが、チャーシューは四分の一程、既に食われていた。
「あ~あ、コレもう使えねーな…人が噛ったのなんて、出すわけにはいかねーし…」
「すまないケイ…レオ、お前も謝れ!!」
「…ごめんなさい…」
謝る俺とレオ。ケイは子供のしたことだといって、大目に見てくれた。
せめてものお詫びにと、少しだけ店の手伝いをする事にした。手伝いといっても大したことは無いけど…
テーブルを拭いたり、洗い物したりするくらいだ。が、その最中、
ポチャン!
「げ!!」
何かが液体の中に入るような音と共に、レオが妙な声を上げた。
駆けつけるとレオは、火にかけているスープの入った寸胴鍋の近くにいた。何やら顔色が良くない。
「おい、今の声は何だ?一体全体、何をしたんだレオ!?」
「な、何も…」
ぴゅ~ぴゅ~!
と、下手な口笛を吹くふりをして誤魔化そうとするレオ。
「正直に言えレオ!!」
「…それが…」
観念して白状するレオ。
「なに~、スープに何か入れちまっただと!?」
コク!
と頷くレオ。
聞くと、片付けしてたら棚に乗っていた小さい壺を倒してしまい、中身が全部、スープに入ってしまったという。
ケイがその壺を確認する。
「こ、コレ、唐辛子の粉だぞ!!」
「唐辛子!?」
スープを確認すると、スープは唐辛子色に染まっていた。
少し味見をしてみた。すると、
「!!か、辛ーーーい!!」
火を吹きそうな位、辛かった。そりゃあ、唐辛子の粉が大量に入ってんだ、辛くないわけが無い。
レオ…チャーシューに続いて今度はスープまで…
「おいおい、勘弁してくれよ…」
力なく言うケイ。幸い、スープは別にもあるので、ラーメンを客に提供する事は出来る。
が、唐辛子が大量に入ったスープは…
「こんな辛いの出せねーよ…」
そう言って捨てようとするケイ。
が、俺はそれを止めた。
「待て待て、捨てるのは勿体無いぜ!」
「そりゃあそうだけどよ…こんなにも辛いのどうすんだよ?」
「…そうだな…あっ、だったらよ…」
「??」
俺は1つのアイデアを出した。
一方その頃、近くのパーラーにて。
「ん~~甘くて美味しい!」
「コッチもイケるよ姐さん!」
「どれどれ!?ホントだ!」
「でしょでしょ!?(姐さんカワイイ…)」
と、ココとは真逆に、甘いスイーツ類に舌鼓を打ち、至福のひと時を過ごす2人の姿があったとか…