表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/185

新スポーツ

 突然の大音に驚きつつも、リリーナ・レイナ・ロッテの3人は、屋敷の方に急いで戻った。

 すると、先程まで皆で茶を飲んでいた広間を出て所にある中庭に、タイガー達がいた。

 そして、タイガーと侯爵の目線の先には、侯爵家長男サンダスと、次男のデービィットがおり、サンダスの方は立っているが、デービィット方は地面に倒れている。


 「な、何これ…」

 「どういう状況なの…」


 目の前の光景を理解できない3人。

 対してサンダスは、タイガーの方を向くと、


 「コレで勝ちでいいのかな?」

 「え~と…はい、とりあえず…(少し行き過ぎだな、コレじゃあ殆どレスリンだよ…)」


 サンダスの質問に、ハッキリしないながらも答えるタイガー。


 「ちょっと兄さん達!!」

 「おぉ、レイナか!」

 「おぉ、じゃありませんよ!なんなのですか、今の大音は⁉それにこの有り様は…」


 皆の前なので、敬語使いに戻っているロッテ。


 「だ、大丈夫ですか⁉」


 リリーナが倒れているデービィットに駆け寄る。

 が、当のデービィットは、


 「大丈夫だよ。受け身は取ったしな!」


 と言いながら、何事も無かったように起き上がり、ケロリとしていた。

武道家だけに、丈夫な様だ。


 「なる程な…シンプルだが、仲々面白そうじゃないか、この「スモウ」とやらは!」

 

 と、言う侯爵。


 「「スモウ!」」

 「そう、スモウだ!」

 

 と言って、説明に入るタイガー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 話はレイナ・ロッテと、2人の後を追ったリリーナが部屋を出た後にまで戻る。

 武勇伝を語り続ける侯爵と、それにうんざりし始めていた俺。そんな最中、3男のハーランドが、


 「そういえば父上、例の件なのですが…」

 「例の件?」

 「ダルクス家から相談されていたやつですよ。」

 「あぁ、あれか…」

 「(あれ…)」


 気にはなったが、重要機密かもしれないので、おいそれと口を挟むわけには行かないなと、思っていた。が、


 「あの件は、仲々いい策が浮かばくてな…おぉ、そうだタイガーくん。聞けば君は、コレまで数々の奇抜なアイデアを生んできたそうだね!そんな君に、相談なんだが…」

 

 向こうから聞いてきた。

 こんな庶民の俺に相談する位だから、機密事項ではないようだ。

 で、侯爵の話を纒めると、こうだ。


ダルクス家から、目当てらしいスポーツはないものかと相談されたのだという。というのも、最近国民達から、スポーツが少々マンネリ化しているという声が上がって来ているのだとか。

更には、1つの試合にかかる時間も長いという意見が出てきている。決着がつくまでの時間が長くてじれったいと言う。


それとは別に格闘技系。試合を観戦していて、興奮するにはするが、


「流血は見たくない」

「子供には見せづらい」


といった声もある。

最とこう、手短に、かつスパッと決着のつくものはないのかと言う。


といった感じだ。


「スパッと決着のつくモノか…」

「何にないかね?」

「そうですね…相撲みたいなやつとなると…」

「⁉何だね、スモウとは?」

「えっ⁉…あぁ、相撲ってのは…」


手な感じで、何気なく呟いた相撲。

侯爵に説明したら、面白そうだと言い、長男・次男の2人も興味を持った。

そんな訳で、俺の出来る範囲でルール説明をし、いざやってみようという事になった。

勿論、外でだ。地面に土俵を描いて。

そして、長男と次男の取組だ。

結果は、長男サンダスの勝ちだ。流石は、レスラスの王者だ。まあ、次男の方もかなり健闘していたよ。


「俺の勝ちだなデービィットよ!」

「流石は兄者!もう1勝負!」

「よかろう!望むところだ!」

「待て待て、次はワシだ!」


と言って盛り上がっている。どうやら気に入ったようだ。

それから侯爵は、ダルクス家にこのスモウを、新しいスポーツの案として、披露すると言っていた。

因みに、この相撲以外にも色々とアイデアを伝えた。

腕相撲(アームレスリング)・ハンドボール・ドッチボール・卓球といった、この世界に無かったモノを提案した。

他にも、セパタクロー・ペタング・キックベースボール等、少々マイナーなスポーツに加えて、「ホッカン」と言う、いかにカッコよく椅子に座るかを競うという、少々(かなり)マニアックなモノなんかもついでに…

まぁ俺自身、知っているだけでやった事ないモノばかりだけど…

でも侯爵は、


「素晴らしい!どれも今までにないモノばかりだ!」


と、絶賛していた。

本当のところは、俺が思い付いた訳じゃないので、少々心苦しかった…


そうこうしている間に、オヤジさんの店の、夜営業の時間が迫って来ていた。なので、この辺で御暇(おいとま)することとした。

レイナを始め、ジャスティス家の面々とロッテに見送られて、屋敷を出た。

オヤジさんの店に戻る最中。


「スゴイ屋敷だったな…」

「ですね…あっでも、1つ気になる事があるんですけど…」

「何だ?」

「スモウっていうのといい、侯爵様に提案したスポーツのアイデア、アレだけ沢山のアイデア、一体何処から出たんですか⁉」

「!!」


リリーナ、違和感を感じてるようだ。彼女の中で俺は、記憶喪失という事になっている。そんな俺が、沢山のアイデアを出すのは些か不自然だ。

一度にアイデアを出し過ぎたか…

側にいるレオを見たが、屋敷で土産に貰った菓子を速攻で食ってる。


「それは…」

「それは!?」

「企業秘密だ!」

「企業秘密って、何ですかそれは⁉」

「ほら、急がないと夜営業に間に追わないぞ!」

「あっ、ちょっとタイガーさん!」


適当に、というよりかなり雑に誤魔化した。後で、改めて説明しよう。その時までに、理由を考えておかないとな…

相撲を、日本の国技と思っておられる人が多いと思いますが、実は相撲は国技ではないらしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ