素朴な遊び
「おーいタイガー、言われた通り、連れてきたぜ。」
「おう、来たか。」
休日のある日、俺はゲンの息子のレンに友人を連れてきてくれと頼み、町外れの空き地に集合してもらった。そこで、テツに作ってもらった品々を披露するためにだ。集まったのは5人程だった。だが、最初だからな、まあいいだろう。
「で、タイガー。面白いよことあるから友達連れて来いって言ってたけど何なんだよ?」
「これから披露するから楽しみにしてな。」
だが、いきなり「これで遊んでみろ」と言っても、いきなりすぎるから、別の遊びを教える事から始めた。
別の遊びそれは「缶けり」「釘さし」だ。缶けりは空き缶があれば出来る。この世界のかくれんぼ・鬼ごっこのあたる獲物探し・獲物追いを足して空き缶を蹴飛ばして拾って来るという工程を加えたものだ。最初はレン達はいつもの遊びに加えられたルールに手間取ってたが直ぐに慣れていた。子供は覚えが早いなと俺は感じた。
「どうだお前ら、缶けりは?」
「中々面白いよ、見つけられてもまだ逆転出来るところが。」
「そうか。よし、そんじゃ次は釘さしだ。」
「釘さし」聞き慣れない遊びだろう。かなり昔の遊びだからな。釘さしは釘2本あれば出来る遊びだ。地面に線を引きその端をAとBとして、2人のプレイヤーのどちらかが地面に釘の尖った方を手裏剣の様に投げつけ刺さった場所までに直線を引いていく。釘が相手の線に触れる又は刺さらず倒れたら交代。そうやって相手の線を囲って行き、どちらかがこれ以上自分の線を広げられなくなったら負けとなる。
ルールを教えると俺が審判となり子供達にやらせた。怪我でもさせたら大事だから細心の注意を払った。
「チクショー倒れた。」
「あー狙いがズレた。クソー!」
中々白熱してる。元いた世界だったら古臭いと言われそうだが、この世界の子供達には、新鮮な遊びだった。
「どうだった?」
「結構スリルがあるよこの遊び。さっきの缶けりといい、タイガーが考えたのか、これらの遊び?」
「いや俺じゃないぜ。」
これらの遊びは、缶けりは子供の頃にやったことあるが、釘さしは無い。なのになぜ知っているか、それは元いた世界の漫画「こ○亀」で知ったのだ。こ○亀には昭和の頃の遊び等が話によく出て来る。本当、愛読してて良かったぜ。
そうやって遊んでる子供達の顔を見てると不思議とほっこりした気分になる。思えば元いた世界の現代っ子は外であんまり遊ばず家でゲームばかりしてる事が多いからな。「子供は風の子」何て言葉も今や死後と言っていい位だ。しかし、この世界の子供達はかつての昭和の時代の子供達に似たものを持っている。今思えば時代の流れとは言え、元いた世界の子供は何処かかつての時代の子供達と違っている気がする。
「さてと、そんじゃここからが本番だ。」
「本番⁉」
「そうだ、今までのは準備運動みたいなもんだ。さて、ご注目!」
「何だ、何だ?」
俺はテツに作ってもらった品々を、地面に敷いた新聞の上に並べた。
子供達は最初、それが何なのかわからなかったようだ。そりゃそうだ。無理もない。見たこともない品々が目の前に並べられているのだから。
「おっさん、何だよこれ?」
「だから俺はまだ20代…まあいい、これは遊び道具だ。」
「遊び道具?これが?」
「ああそうだ。それじゃあまずは、これからだ。」
そう言うと俺は並べた物の中から一つを手に取った。