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公国の歴史

 侯爵と公爵。日本語だと読みが同じで、少々ややこしいと思いますが、向こうの世界では字も読みも違うものと思ってください。因みに、現実的には、役割等は大きく違うそうです

 名家どころか、貴族の家柄だったレイナ家。

 そして俺等の目の前にいるのが、現家長の「ブルータス・フォン・ジャスティス」だ。

 

 「フォンか…」

 「タイガーさん?」

 「いや何でもない…」


 俺はミドルネームのフォンを聞き、内心テンションが上がっていた。異世界者のラノベでは、貴族や王族の名前のミドルネームに「フォン」が付く場合(ケース)が多い。

 それが俺流、異世界物あるあるの1つだ。

 その他のあるあるは、「レイン」・「アラン」等といった名前のキャラが多い等だ。

 と、話がそれたので戻す。

 

 「先程、彼女リリーナも言ってましたけど、なんだって身分ある方が、家族はともかく、他人の為にそこまで身体を張れるんですか?」

 「それはな、我がジャスティス家は代々、この国を悪から守る事を生業(なりわい)にしている家だからだ!」

 「悪から守る⁉」

 「そうだ。そもそも、この国はなんだってここまでスポーツが盛んなのか分かるかね?」

 「いえ。来る前に色々調べたんですけど、その辺は詳しくは…」

 「まぁ確かに、その辺は余り公表してないからな。話せば長くなるが、いいかね?」

 「は、ハイ!」

 「ふむ!では話そう。コレは、かれこれ数百年前のこと……」

 

 と言って、侯爵は話しだした。

 その話はかなり長く、途中、関係ないことも(その年は〇〇が豊作だったとか、近くの国の王妃が美人だったらしい等)挟んでいたので、余計にだ。

 なので、かいつまんで纏める。


 数百年前にこの国は建国され、当時は選挙で選ばれた人物が王に即位し、その王様が治める王国だった。

 しかし、その王はやがて権力に溺れ、国民に重税を課し、人々を苦しめ自身は私腹を肥やすようになってしまった。

 やがて王への不満と怒りが爆発、内乱(クーデター)が起きた。

 結果、王は国を追われた。そしてその時に、内乱(クーデター)の指揮を取った、リーダー格の3人が現在、この国を治めている3大貴族の始祖なのだ。


 3人の中で一番年上で、力は余りなかったが、幅広い知識と人徳を持ち、軍を指導した「初代ウォルターズ」。現 ウォルターズ公爵家の御先祖。


 3人の中の紅一点で、偵察や交渉を得意としつつ、戦闘時は男顔負けの活躍をしたとされる「初代ダルクス」。現 ダルクス伯爵家の御先祖。


 そして、3人の中で一番戦闘力があり、圧倒的な強さで戦果を上げていた「初代ジャスティス」。つまり、レイナ・ブルータス侯爵の御先祖だ。


 王を失脚させたこの3人は、革命を成功させたと共に、国民達のカリスマとなり、元々庶民の出だった3人は、多くの人々の希望でそのまま貴族の地位に就いた。

 以降、ウォルターズ家はこの国の財政面を、ダルクス家は広報や他国との交渉を、そしてジャスティス家は国の治安維持を担当している。

 そうやって、3家が協力してこの国を治め守るようになり、その体制(スタイル)が今も続いている。

 因みに、侯爵・公爵・伯爵だのと付いてはいるが、便宜上付けているにすぎず、この国ではどの家系の方が、位が上とか下といった明確な区別は一切ないらしい。

 そして、内乱(クーデター)が成功したとはいえ、双方共に、多かれ少なかれ犠牲が出た。今後、何かもめ事が起きても争ってはならない。するなら、スポーツで、平和的にいこう。

 と、いう考えが生まれ、以降、何かを決める際、話し合いで決まらなければスポーツの試合の結果でケリをつけることとなった。


 「流すなら、血や涙でなく汗を!!」


 といった具合に。

それが高じて、やがてこの国は、世界屈指のスポーツの大国となった。


「…とまぁこれが、この国の歴史だ。それ以来、我が一族は、国や国民に害する悪が現れれば、体を張って戦い、皆を守って来たのだ!!」


長い話を終え、渇いた喉を茶で潤す侯爵。


「成る程そんな経緯が…それでこんなにもスポーツが盛んに…」

 「確かに平和的ですね。家柄もご立派ですけど、危険ですし、嫌だと思ったことはないんですが?」

 「危険は承知だ!先祖の中には、瀕死の重傷を負った者もいると聞く。しかし、平和のために、誰かがやらねばならないからな!」


 と侯爵は宣言した。


 「まぁとわいえ、一族の者全員が、この使命を負わねばならないという訳じゃない。嫌なら拒否してもよいという規則だがの。」

 「あぁ、そうなんですか?」

 「うむ。拒否した者は他の普通の仕事についたりするが、そういった方に進んだ者は僅かだ。大抵が、言われずとも、武道の道に進むがな!」

 「そうよ。私も物心ついた時から、自分から武道を始めてたわよ!」

 「へぇ、そうなんだ⁉」

 「えぇ。多分そういう血筋なんでしょうね⁉それがこうじて、あちこち修行して回ってるからね!」

 「でも侯爵様、ご心配じゃないですか?一人娘がお一人で修行の旅に出られてて⁉」

 「一人?いや、レイナは一人娘ではないぞ⁉」

 「えっ⁉」

 「そうよ。私には兄3人と姉が1人いるわよ!」

 「そうなのか⁉」

 「ええ。皆も武道を志してるわよ!」

 「丁度、全員この屋敷にいるぞ。おーい、呼んで来てくれ!」

 「かしこまりました!」


 侯爵はメイドに命じ、他の兄弟達を呼びに行かせた。

少しして、いかにもといった風貌の、4人の男女が入って来た。


 かつてドイツでは、貴族等が所有する領地のことを「vonフォン」と呼んでいて、それが名字になっていた時期があったそうです。なので、今でも貴族の家柄の人達の名前には、その時の名残で、「フォン」が入っている人がいるそうです。

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