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閑話 お土産

 久々の閑話になります。

 初めは1話で終わらすつもりが、長くなったので分けます。時系列は、お土産を送った日から、数日後になります。作中の荷馬車屋は、独自の運路があり、短時間で効率良く運搬してくれるという設定です。

 

 ブラウンタウンの役場の職員用出入り口。


 「お疲れ様です!」

 「お疲れ様!」

 「お疲れー!」


 その日の仕事を終え、職場から出たミミ。

 この日は久しぶりに、定時で帰れた。退社した足取りのまま、近くの荷馬車屋の集配所に入った。

 場所によって異なるが、この町では届けられた荷物は、この集配所に全て保管される。そして、役場等に、荷物が届いている人の名前が張り出され、本人又は代理人が取りに来る。

 という、システムになっている。

 本日、その名前の中に、ミミ自身の名前があったので、仕事終わりに受け取りに来たのだ。


 「おっ!よう嬢ちゃん!」

 「あらテツさん!」

 

 集配所で、町の鉄工所のテツと出会った。リリーナ・タイガー繋がりで、少しだが面識があるのだ。


 「嬢ちゃんも荷物を取りに来たのか?」

 「ええ。テツさんもですか?」

 「ああ。仕事に必要な物を注文しててな、今日届いたんだ。」

 「そうなんですか。でも私は、特に何か頼んでは、いないんですけど…」


 テツと簡単な会話をしながら、受取りの手続きを済ませた。手続きと言っても、名前を言い、身分証明できる物を提示する位だ。

暫く待つと、


 「ミミさん。ミミ・ハーモニーさん!」

 「はい!」

 

 名前を呼ばれ、窓口に向かうミミ。

 『ミミ・ハーモニー』

 それが、彼女のフルネームだ。


 「受取書にサインをお願いします。」

 「はい。」


 受取書にサインをして荷物を受け取った。


 「(結構大きいわね…差出人は…)あっ!」


 差出人に名前を見て声を漏らしたミミ。

 差出人の欄には、「リリーナ・スプリングス」と、旅に出ている最中の、親友の名前があった。

 

 「(リリーナ…何を送ってきてくれたんだろう…)」


 親友からの荷物に心弾むミミ。

 早速持ち帰ろうとするも、


 「うぅ…」


 そこそこの大きさと重量の荷物。通勤時に愛用している手さげ鞄もあるので、運ぶのに一苦労だ。

 因みに、頼めば家の方に運んでくれるが、有料となっている。

 そこへ、


 「大丈夫か?手伝うぜ!」


 と、同じく荷物を受け取ったテツが声をかけてきた。最も、テツの方の荷物は、片手で持てるくらいの大きさの物だった。

 ミミとテツ。互いの家は同じ方向だったので、お言葉に甘え、運んでもらった。代わりに、テツの荷物を預かるミミ。テツの荷物は、小さいが少し重かった。聞けば、作業に必要な金属部品が入っているのだとか。

 それから間もなく、ミミの住居についた。

 テツの家兼作業場は、もう少し先だ。

 

 「ふぅ~、ココ置いとくぜ!」


 入口付近に荷物を置くテツ。にじみ出た、額の汗を腕で(ぬぐ)うテツ。

 ミミは礼を言いつつ、スカートのポケットからハンカチを取り、テツに差し出した。

 出されたハンカチで遠慮なく汗を()き取ったテツは、ハンカチを返すと、自身の荷物を手にして、自身の家に向けて去って行った。

 鞄から取り出した鍵で、ドアを開けて家に入り、鞄を机の上に置き、先程の汗塗れのハンカチを洗濯かごに入れてから、ミミは早速、荷物を開いた。

 中には、紙包みや袋等が入っていた。その内のいくつかには、自分やケティ達の名前が書いてあった。

 それらの品々の上には、手紙があった。

 その手紙の内容を要約すれば、旅の途中で知り合った人等に誘われ、リゾート地に行って来た。そこで買った物を、お土産として送るといった感じだ。

 小分けすると料金がかさむので、一纏めにして、ミミ宛に送ったとも書いてある。

 荷馬車屋は、荷物の大きさで料金が変わってくるが、小分けだと数によっては、大きな荷物1つ送るよりもコストがかかる事もあるのだ。


 「「名前が書いてあるのは、その人用の品が入っているよ。中は、見てのお楽しみ!」…か…」


 入っていた手紙を読み終えたミミ。

彼女(リリーナ)の筆跡で書かれた手紙を眺めながら、


 「リリーナ、元気にやってるみたいね…」


 と、旅に出てしまったので、長い事会えていない親友の近況報告に、しみじみとするミミ。

 リリーナからのお土産を見つめ、すぐにでも開けたい衝動に駆られたが、それをグッと我慢した。

 明日は休日であり、偶然にも、月1で開催している女子会の日なのだ。

 その時に、皆で一緒に開けようと考えたのだ。その方が、会が盛り上がると感じたからだ。


 「ふふふ!」


 と、明日の楽しみが更に増えた事に、喜びの声を漏らすミミだった。


 そして翌日、会場は前と同じく、マリーの店だ。

 店主のマリーは、用事で数日前から店を休み、町を離れている。鍵は、ミミが代表して預かっている。勿論、女子会の会場として使う事は、了承済みだ。

 ミミがマリーの店に着いた時点で、他の皆は集合済みだった。


 「ごめん、待った?!」

 「ううん、大丈夫だよミミ!」


 と返したのは、パン屋を経営しているホリィこと、

 『ホリィ・S・ポプキンス』


 「アタシらも、今来たばっかだよ!」


 と、自警隊に務めている、あいも変わらず強気な口調のケティこと、

 『ケティ・グッドマン』


 「そうだよ、ミミ。」


 こちらもあいも変わらず、大人しい性格の町の図書館の司書であるニコこと、  

 『ニコ・トーマス・ロットマン』


 これらが、彼女達のフルネームなのだ。


 「それじゃあ早速、準備に取り掛かろうか!」

 「おうよ!」

 「「うん!」」


 女子会の準備を始める4人。

 皆、この会を楽しみにしている。

 しかし今回は、更にお楽しみが待っているのだが、その事を知るのはこの中で、ミミ唯一人だった。

 

 以前言っていた、皆のフルネームは以上の通りです!今話をもって発表しました。

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