運動公園
俺とディンとショーは、川の近くの公園に入った。
そこでは、幼い子供達が遊んでいる。その遊びも、男子はケリキュウやブロウボールのマネごとで、女子はテニスのようなやつ(後に、スナッピングボールという名前のスポーツだと知った)をしているようだ。
流石はスポーツ大国といったところか。子供達の遊びもスポーツが主のようだ。
子供達だけでなく、ランニングしている大人もチラホラいるし、よく見れば、雲梯や背の高い鉄棒があり、それに汗を流している人もいる。
遠くには、フィールドアスレチックらしき物も設置されている。どうやら、ココは運動公園みたいだな。
2度目になるが、流石はスポーツ大国だ。
それはさておき、公園の端のベンチに俺等は腰を下ろした。
「取り敢えずディンくん、これでも飲んで!タイガーさんも!」
と、ショーが何時の間にか、飲みの物を人数分用意していた。何でも、公園内で売っていたらしい。
先程の一件もあってか、のどが渇いていたので、ありがたかった。
「あっ、どうも…」
「すまないな。いくらだった?」
とわいえ、タダという訳にはいかない。
飲みの物代を出そうと、俺が財布を取り出すも、
「いえ、お金はいいですよ!僕が出していますから!」
と言ってきた。
悪い気がしたが、どうしてもというので、お言葉に甘えさせてもらった。
で、ベンチに座り、一先ず、ドリンクを一口飲んだ。
ハチミツが入っていて、甘いながらもスッキリとした味わい。そして、ほんのりとだが塩味もする。どうやら、スポーツドリンクのようだ。成る程。運動公園で売っているだけはあるな。
流石は…3度目なので、以下略。
ドリンクを飲みながら、ディンと話した。
「アソコの川には、よく来るのか?」
「ああ。アソコは思い出深いとこだからな!」
「思い出⁉」
「そう。子供の頃よく、両親や友達と、あの川で遊んだもんだよ。夏は水遊びしたり、川魚取ったりして。」
「へぇ~、楽しそうだな!」
「あの頃に戻りたいよ。あの頃は、足も何ともなかったんだからな…」
「「……」」
急に空気が重くなったのを感じた。
何とか、雰囲気を変えようと思ったが、気の利いた言葉がなく出てこない。
ショーの方も、なんと言えばいいのか分からず、困惑している様子だ。
と、そこへ、
バン!ポンポンポン…
ケリキュウのボールが、俺等の近くに飛んできた。
「すみませーん!ボール取ってくださーい!」
離れたところから、子供が叫んでいる。
先程見かけた、ケリキュウをしている子供たちだ。
「ああ。良いよ!」
と、ショーが返事し、蹴り返そうとした。が直ぐに、
「あっ、いや…」
ディンを見ながら足を止めた。
足を故障して、ケリキュウを辞めたディン。そんな彼の前で、チームのエースである自分が、ボールを蹴る姿を目前で見せる。そんなに見せたら、ますますディンが落ち込むんじゃないかと、抵抗があったよう。
「よし。それじゃあ俺が!」
と俺がボールを持ち上げ、投げ返すことにした。
が、
「それ!って、ありゃ⁉」
投げる直前で、ボールがすっぽ抜けてしまった…
ボールはそのままディンの前に転がった。俺が恥じらいを感じている中、ディンは徐ろにボールを持ち上げた。
「いくぞ!」
と言って、子供達の方に転がすように投げた。
投げたボールは、少しカーブを描きながらも、子供達の元まで行った。そしてそのまま、1人の子供の足元にまで、たどり着いた。
「ありがとうございまーす!」
礼を言って、再び遊び始める子供達。
それに手を振って返すディン。
「ずいぶんの、正確に転がったな!」
俺が感心していると、
「球拾いしてたら、身についたんだよ…」
と答えた。何でも、補欠であるゆえコートの外に行ったボールを拾いに行くのを、やらされがちだという。で、拾ったボールをコート内に投げ入れている内に、狙ったところに、ほぼ正確に転がせるようになった。ただそれだけ、上手くなったのだとか。
「投げて転がす。ただそれだけだよ。特別早くもないし、何の約にも立たないけどな…」
と言うディンだったが、俺は今のを見て、ひらめいた。
「もしかしたら…」
「「?…」」
「ちょいと待っててくれ!」
俺の様子を不思議そうに見ているディンとショーを尻目に、俺は動き出した。
運動公園を出ると丁度、近くで古い家屋の解体をしていた。側には、出た廃材が積まれている。
「アレが使えそうだな…後、アッチのも!」
その中から使えそうな物に当たりを付け、作業員に話して目当ての廃材を貰った。
「コレでよし!」
作業員が気を利かせて、それ等を入れる箱までくれた。
その箱を抱きかかえ、俺は2人の元へと急いだのだった。
感の良い人なら、検討つくと思いますが、取り敢えず次回に続きます。