表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/185

大陸

 朝方の港町。コリートの船が停泊している。


 「そんじゃあな。俺等は直ぐに出港すっから、ここでお別れだ!」

 「もう行かれるんですか?」

 「ああ、次の仕事は別のトコでな。ここには、物資を摘み為に寄っただけだからな。摘み次第、出港だ。」

 「そうか。短い間だったが、世話になったな船長!」

 「お世話になりました。ほら、レオくんも!」

 「ん、船の飯美味かったぜ!」

 「違うでしょ、もう…」

 「ははは、そう言ってくれっと嬉しいぜ!」

 「この先も、気を付けて行けよ!」

 「アンタこそ、飲み過ぎんなよ!」

 「ハハハ!それはちと、難しいな!」


 ココはジョウの店がある港町。

 約束通り、コリート等にココまで送ってもらった。コリート等は、次の仕事があるので、彼等ともいよいよお別れだ。

 今いるのは、船を停めている停泊所。コリートを始め、メットやゴンザレス達と別れの挨拶をしている。

 そこへ、


 「お~い、オメー等!」

 「今帰ったの?」

 「あっ、ミチヒコさんにファンさん!」

 

 ジョウの店の2人が来た。またまた、港に買い出しに来ていたらしい。魚河岸と同じで、ここいらの店は、朝早くからやっているのだ(働いていた時の情報)。

 2人と、簡単に挨拶をかわす。


 「よかったら、店に寄ってかないか?俺等も、買い出し終わって、丁度戻るとこだ!」

 「もちろん。どっちみち、店に顔出すつもりだったしな!」


 元々、土産持って行くつもりだったので、このまま店に向かうこととした。


 「3人共、元気でな!」

 「ゲンギデナ!ゲンギデナ!」

 「「アバヨー!」」


 コリートと、声まねするパロ。メットやゴンザレス等船員(クルー)達も、見えなくなるまで手を振って見送ってくれていた。

 彼等と別れの、ジョウの店に。

 今はまだ準備中。店員達がアクセクと動いている。

 店内の水槽内には、例のクラゲが元気に漂っている。


 「おや、皆さん!お久しぶりです!」

 「ああ。島の土産持ってきたんだ。皆で食ってくれ!」

 「おやおや、ご丁寧に。まぁ、お茶でも飲んでいって下さい。」


 こうして、店でジョウ達と、土産の菓子をお茶請けに、土産話に花を咲かせた。

 暫くして、


 「さてと。もうすぐ開店時間だし、そろそろ行くよ!」

 「もうそんな時間ですか。時間が経つのは早いな…」

 「ところであなた達、次はどこ行くの?」

 

 空になったカップを片付けながら、ファンが聞いてきたので、答えた。

 

 「実は、北の方に行ってみようと思ってるんだ。」

 「北の方に⁉そっちって確か…」

 「そう。大陸一、スポーツが盛んな国だ!」


 今更ながら説明すると、俺等のいるのは、元の世界のアメリカ大陸位の広さの大陸だ。元いたブラウンタウンを始め、これまでの旅で訪れた町や、レオのいた山も、大陸の極一部分に過ぎないのだ。

 で、その大陸では、各地で文化風習が異なったりしている。ブラウンタウンのような牧畜や農業をしている所もあれば、今いるココみたいに海があれば、漁業をしているとこもあるし、森林が多ければ林業をしている。まぁ、当然といえば当然だし、自然といえば自然だけどな。

 で、肝心なのはここからだ。そんな大陸の中で、他とは違った特色の国が、チラホラだがあるのだ。

 その内の1つが、次に行く予定の国だ。


 何故かは解らないが、そこでは大陸一、スポーツが盛んなのだ。この世界にもスポーツはある。同じとは言えないが、野球やサッカーに近いモノが特に人気らしい。他にも、テニスやバスケに値するモノも。ブラウンタウンには、あまり浸透してなかったが…

 

 「あの国に…でも何故、あそこにしたんです?」

 「そうよ。あなた達、スポーツにはあまり関心ないんでしょう?」


 確かに、俺は運動はあまり得意じゃないし、リリーナもインドア派で運動は苦手だ。

 レオは運動神経はいいが、食うことの方が好きだ。

 それなのに、何故行くのかと言うと…


 「それは…」

 「あっ、レオくん!また!」


 突然、リリーナが大声をあげた。見るとレオがジョウ達に出した土産以外の物にまで、手を付けていた。


 「それは、ケティ達に買ったやつだって言ったでしょう‼もう…」

 「またか…相変わらず、スゴイ食い気だな…」


 呆れ気味に言うミチヒコ。


 「ああ。だから、例の国に行こうと思ってな!」

 「だから?」


 そう。レオの有り余ったエネルギーを、そっちに向けさせようと思ったのだ。何かしらのスポーツにのめり込めば、才能が開花する可能性もある。

 それに、食う以外の趣味を持てれば、今みたいな食い意地の悪さも改善するかもしれない。そうリリーナと話して、決めたのだ。

 その様に、ジョウ等に説明した。

 が、


 「それがダメなら…別の食いモンね~かな?」


 と、店の厨房に行こうとするレオ。


 「ああ、そっちには仕込んだ食材が!」

 「ダメー、レオくん!」


 かつての事がフラッシュバックしたのか、血相変えてレオを静止するリリーナとジョウ。

 そんな光景を見て、


 「出来そうか?」

 「大丈夫なの?」


 と、聞いてくるミチヒコとファン。

 それに対して俺は、


 「…わからん…」

 

 と、力無く答えた。早くも幸先が不安になったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ