幻想郷案内されました2
「ん?教えてもらってるのは人間の子供だけじゃないようだな」
中の様子を見ていて気づいた俺。 教えてもらっているのは人間の子供たちの他に羽が生えている子供の姿が。 しかも、1人じゃなく、他にも数人見受けられる。
「あぁ、あれは妖精ね」
霊夢が教えてくれた。
妖精もいるのか、幻想郷は・・・ あらためて幻想郷について驚かされた俺だった。
そう思っている時に一旦授業が終わったのか、青い服が目立つ女性が教室を出て行った。
「さて、行くわよ」
霊夢たちに続いて寺子屋の中に入るとそこにはさっき授業を教えていた女性が立っていた。
「ジロジロ見てないで堂々と入って来たらどうなんだ?」
どうやら俺たちが見ていたのに気づいていたようだった。
「あぁ、すまないな、慧音先生。ちょっと紹介したい人がいてな」
魔理沙がそう言い、霊夢が俺の背中をこづく。
「あっ、どうも。古郷 岳と申します」
「彼は神隠しで幻想郷に迷い込んだ外の世界の人間なの」
とりあえずぺこりと頭を下げる俺を霊夢が説明した。
「あぁ、どうりで見慣れない方だと思ったよ」
慧音と呼ばれた女性は俺を見て 「上白沢 慧音だ。それはお気の毒に・・・。何かあったら言ってくれ。力になろう」
ニコッとして言う慧音にとりあえずホッとした俺。
「一応伝えとくとこの慧音先生は妖怪だからな」 俺に耳打ちする魔理沙の頭を慧音が叩いた。
「いらないことは言わなくていい」
「痛えぇぇ・・・」
魔理沙が涙目になりながら頭を抱えた。
「まぁ、慧音が妖怪なのは本当だけど人間に危害を加えることはないわ。むしろ、その逆の存在だから。人間の里でわからないことがあったら彼女に聞くといいわ」
「逆ってことは友好的って事?」
「そうじゃなかったら寺子屋なんてしないさ」
慧音がそう説明すると教室の方から「せんせー!じゅぎょうはー?」という声が聞こえた。
それに慧音は「すぐに行くよー!」と返事すると
「生徒たちが待ってるからこれで。あっ、岳さんも一緒に寺子屋でどうかい?」
「え?いや、俺もうこの歳ですので・・・」
「歳は関係ないよ。もし受けたいと思ったら来てくれ。歓迎するよ」 と、言うと慧音は教室へと戻って行った。 「ありゃあ、一度は行った方がいいと思うぜ?」
隣で魔理沙が一言呟いた。
その後寺子屋を出た俺は霊夢や魔理沙に団子屋や魔理沙の父親が経営している大手道具店霧雨店や蕎麦屋などを案内され、一旦休憩ということで団子屋で一休みしていた。
「とりあえず人間の里はあらかた案内したな~」
ちなみにここの団子は何も付けない三色団子を売っており、魔理沙はそれの2本目を食べようとしていた。
「次はどこ案内してくれるんだ?」
お茶を飲んで一息した俺は魔理沙に聞く。
「う~ん・・・どこにしようかな・・・」
「先に言っておくけど山とか森はなしよ」
霊夢が魔理沙に言う。
森はおそらく魔理沙が住んでいる魔法の森というところだろう。
あそこは妖怪があまり立ち入らない場所だが、茸の胞子による瘴気が人間にも悪影響を与える場所らしい。
しかし、魔法を使う人たちにとってはそれが良い環境らしく、魔理沙や魔法を使う人たちはそこに住んでいるらしい。
昨日霊夢に魔理沙の住んでいるところについて聞いたからわかる。
しかし、山とは?
「山ってどこの?」
「ん?ここで山って言うと妖怪の山って言うところなんだぜ」
「よ、妖怪の山か・・・」
聞くだけでなんと恐ろしそうな場所だな・・・
「そこには天狗が住んでてな。やけに仲間意識強くってよ。私や霊夢が初めて入った時も侵入者扱いされて攻撃されたりと困ったもんだったぜ」
魔理沙がそう言うと思い出したように「あっ!」と声を上げた。
「どうしたの?」
「あったぜ!案内できそうなところ」
「どこ?湖とか紅魔館もなしよ?あと竹林もね」
霊夢が色々言っていて全く理解できなかったが魔理沙はどれも違うと首を振る。
「あそこがあるじゃないか!妖怪の里!」
「あぁ、最近できたって言う妖怪の隠れ里のこと?」
「そうそう!あそこ私も言ったことなくてよ!霊夢はあるか?」
「えぇ、軽く見る程度だったけど」
「なんだよ!私も誘えよな!じゃあ、私も行ったことないからさ、ちょうどいいから岳も連れて行こうぜ?」
「私はあまり気が乗らないのだけど・・・」
妖怪の里・・・しかも、隠れ里らしい。
俺がそこへ行っても大丈夫なのだろうか・・・
「妖怪の里なんだろ?俺が行っても大丈夫か?」
俺が聞いている点はもちろん、安全面についてだ。
村を見ている時に妖怪に襲われたんじゃたまったもんじゃない。
「正直行くのは危険よ」 霊夢が答える。
「やっぱりか・・・」
しかし、霊夢は続けた。
「貴方1人で行くならね。今回は私も魔理沙もいるから心配いらないと思うわ」
「じゃあ行けるってことだな!よし!そうと決まったら岳!早く乗れ、行くぞ!」
魔理沙は団子を食べ終わると手に持っていた箒にまたがる。
「ちょっと魔理沙!割り勘でしょ、ここは!」
「にしても・・・」
俺はまた魔理沙の箒にまたがって空を飛びながら下を見下ろす。
「全然そんな村っぽいところないな」
「当たり前でしょ。隠れ里なんだから」
「霊夢はどの辺りかわかるか」
「もう少し山に向かったところね」
そのまま真っ直ぐ進んでいると霊夢が「ここで降りましょう」と高度を下げた。
高度を下げると上から見てた景色と違った。
「なるほど、隠れ里ってこう言うことか・・・」
俺は感心したように呟く。
上から見たらごく普通の景色だったのだが、下に降りると霧のようなものに囲まれた村みたいなものが見えた。
これは場所覚えておかないと行ける場所じゃないな・・・
「早速入ろうぜ!」
そう思っている俺をよそに魔理沙が1人で村に入ろうと駆け出す。
「魔理沙、待ちなさい!岳、早く行くわよ!」
「おっ、おう!」
俺と霊夢はその魔理沙を追いかけるように村に入った。
「はぁ~!すげーな!」
魔理沙は妖怪の里を見て歓声を上げた。
造りは人間の里と似たような造りだったが、明らかに歪な建物が目立つところだった。
歪な建物の例としてなんらかの工房が建っていた。
「あの建物は間違いなくにとりの工房だな!」
魔理沙がそう言うと工房へ入る。
俺と霊夢もその後に続いた。




