1日10善頑張ります3
「よし、それじゃあ古郷先生に礼を言おうな」
『センセー、ありがとうございました!』
俺はそれにこちらこそと答えると寺子屋の教室を出た。
「すまないな、岳さん。まだあの子たちの授業が残ってるから、終わってから手伝おう。また夕方あたりに来てくれるか?」
「はい、わかりました」
俺は慧音に返事をすると寺子屋を出た。
「子供たちに教える。う~ん・・・これは指導に入るんでしょうか?まぁ、善意には変わらないでしょうし、これで3つ目ですね」
「これで3回目か・・・」
あと少なくとも今日中に7回善い行いをしないといけないのか。
「なかなか大変な道のりだな・・・」
寺子屋を出た俺の前に、突然誰かが降りて来た。
「霊夢さんから聞きましたよ!岳さん大変な目に遭っちゃいましたね!」
降りて来たのは文だった。
「とりあえず今から白玉楼や永遠亭に寄ろうと思った時にたまたま岳さんを見つけて降りて来たわけですけど、順調ですか?」
「とりあえず今3回の善行を積んだところだな」
「あやや、まだまだって訳ですね・・・。そうだ、私が取材対象として頼みたいって言って岳さんがそれに答えたらそれも善いことになるんですかね?」
「なるほどな。どうなんだ?」
「取材を受けるですか。まぁ、それで彼女が助かるなら善い行いになるでしょうね」
「それじゃあ早速、え~と、岳さん、大変な状況下にいますが、今の気持ちを」
「とりあえず地獄に連れて行かれないように頑張るよ」
「はい、ありがとうございました!それじゃあ私は行くところがあるので行きますね!」
文はそう言い飛んで行った。
文の取材で早く終わることなんて今までなかった。
文なりに時間を短縮したのだろう。
「あれでも善い行いになるのか?」
「まぁ、一応カウントされているようだから大丈夫じゃない?」
小町が球を見ながら呟いた。
「なんだか適当だな・・・まぁ、これで4つだ。今日はなんとか10回の善行を積むことができそうだ」
俺は人間の里を歩きながら途中で団子屋に寄る。
「あれ?団子屋に寄っても良いんですか?てっきり次の善行を積むものだと思ってましたが」
団子屋の店員に団子を4つを頼み、外の席に座る。
「腹が減ってはなんとやらだ。小町さんも休みなよ」
「そうだね。それじゃあ休ませてもらいますか」
小町は俺の隣に座る。
「そういえば、死神って一体どんな仕事するんです?魂を集めるとか?それとも魂を刈り取る仕事とかしてるんですか?」
「刈り取るのもいるけど私はそっちの死神とは違うね。私は主に死者の魂を船で運ぶのを仕事としてるんだ」
「運ぶって閻魔の所にですか?」
「まぁね。そこで死者の魂を四季様が生前の行いからどうするか決めるんだよ。まぁ、三途の川を渡る時にその長さでその者がどんなことをしてきたからわかるけどね」
「はい、団子4つ、お待たせしました」
「ありがとうございます」
俺は店員から貰うと、早速団子を取り、口に運んだ。
「・・・美味いな。小町さんもどうぞ」
「それじゃあいただきます」
俺と小町は2本ずつ団子を食べると、店員に代金を払う。
払い終えて団子屋を出ると、スマホの着信音が鳴った。
俺がスマホを取り出すと、妖夢からの着信だとわかった。
俺はすぐに出る。
「どうした?」
『さっき烏天狗が来て岳さんが大変なことになってると聞きました!その、大丈夫ですか!?』
「あぁ、大丈夫。ただ、善い行いって自分で探すよりも皆の頼みごとを聞いた方がすぐ見つかりそうでさ。妖夢、何か頼みごととかないかな?」
『そうですね・・・あっ!ちょっと!幽々子様!?』
妖夢が慌てたような声を出した後、しばらく無言になったが、その後、通話が再開される。
『はぁ~い、岳さん。お久しぶり~』
「幽々子様ですか?」
どうやら幽々子が妖夢からスマホを取り上げたらしい。
『話は聞いたわよ?頼みごとがあるかってことよね~?』
あっ、これは・・・と俺が思ったよりも早く次の言葉がスマホから聞こえた。
『今から白玉楼に来て美味しいご飯作って~』
「だと思いました」
幽々子からの頼みごととしたら絶対これだ。
ただ、断るのも悪い。
それに、料理を作ってあげるのも善行に含まれるだろう。
『ダメかしら?』
「いえ、良いですよ。今から向かいますからお待ちください。あと、他に頼みたいことがありましたら着いてから伝えてください。妖夢にも伝えてくださいね」
『わかったわ。お腹すかせて待ってるわね』
いつも空いているのではと思いながらとりあえず通話を切る。
「白玉楼の所ですか?」
「はい、そうですね。今から白玉楼に向かいましょう」
俺と小町は白玉楼へと向かった。
「待ってたわ~!それじゃあ早速作ってもらおうかしら~!」
「はいはい、何かリクエストあります?」
「そうねぇ・・・今日はハンバーグが食べたいわ~」
「ハンバーグですね、わかりました」
俺は白玉楼の厨房を借りる。
『いらっしゃい!料理長!』
『お待ちしていました!』
『今日は何を作られるので?』
厨房にはいつも通り料理担当の霊がいる。
俺はその幽霊たちに「やぁ」と答える。
「今日はハンバーグだな。俺がたねを作るから、焼いたりする作業を頼む。とりあえず50個作るぞ!」
『『『おぉ~!』』』
何度も来ているからか、この幽霊たちが何を言っているのかわかってしまっている俺はもしかして幽霊に近づいているのではないかと感じるのだが、何故か彼らだけしかわからないのを考えるとよく会っているからだと思っている俺。
料理人の幽霊たちのおかげで、1時間で作ることが出来た。
出来たハンバーグを大きな皿に乗せて幽霊たちが運んでいく。
俺は料理に使った料理器具を洗うと幽々子たちがいるところへと向かう。
俺たちが1時間かけて作ったハンバーグを幽々子は5分で完食していた。
「幽々子様・・・もう50個も食べたのですか?」
「違うわよぉ~。私は48個。妖夢と死神に1つずつわけてるわ」
それでも48個のハンバーグを5分で食べるなんて・・・
見てみると、確かに妖夢と小町の皿が置かれていた。
しかも、2人はまだ食べ終えていなかった。
「ごちそうさま~!でも、まだ食べ足りないわ~」
幽々子は妖夢を見る。
「なっ、何ですか?幽々子様、私のハンバーグはあげませんよ?」
妖夢は幽々子に言うが、幽々子が見ているのはハンバーグではなく、どうやら妖夢のそばにいる半霊を見ているようだ。
「ねぇ、妖夢、前から思ってたんだけど、妖夢の半霊って白くてふわふわしてて・・・まるでマシュマロのようね~」
「え?突然何を言い出すので?」
「いただきま~す!」
妖夢が警戒する前に幽々子は飛びかかると妖夢の半霊を捕まえて食べようとした。
「ぎゃぁ!幽々子様!何をしているのですか!?」
妖夢が幽々子を離そうとしているが、幽々子は全く離れず、幽々子は半霊を口に咥えている。
俺も妖夢の半霊を守るために幽々子を離そうとする。
妖夢と俺の2人がかりで幽々子を半霊から離すことに成功した。
「あ~・・・」
幽々子は不満そうな声を出す。
「人助け、いや、ここは幽霊助けかな。料理とこれで6回の善行だね」
小町が言う。
俺は無意識の内に善行を1つ重ねたようだ。
「ふぅ~、これで今日はあと4つね?岳さん?」
幽々子が俺を見た。
「もしかして、今のはワザと・・・?」
俺に幽々子は微笑む。
「私が妖夢の半霊を食べるわけないでしょ?妖夢も真面目に止めようとしちゃって・・・少しは私を信用なさい」
「そうだったのですか!私はてっきり・・・申し訳ありませんでした幽々子様!私はまだまだ修業が足りません」
「あら?そうだったら岳さんに手伝ってもらったらどうかしら?」
「はっ!それもそうですね!よろしいですか?岳さん」
「おう、良いよ」
俺は妖夢と鍛錬をした。
「これで7回の善行ですね。今日はあと3回、順調じゃないか」
「だな」
白玉楼を出た俺は人間の里に向かっていた。
時刻は午後5時を過ぎたくらいだった。
人間の里に着くと、何やら騒がしい。
「ん?どうしたんだ?」
「何やら騒がしいね」
俺が人間の里に降りると、人たちが俺のところに集まって来た。
「なっ!?なんだ!?」
「おい、あんたが慧音さんが言っていた頼みごとを聞いてくれる人間だろ?」
「ちょっと頼みたいことがあるんだよ」
ぞろぞろ群がる人たちの間を通って慧音が来た。
「岳さん、すまない。頼みごとがある人は岳さんにってことを伝えたら思ったより多かったみたいで・・・」
「な、なるほど・・・」
「とりあえず全員とはいかなくていいからな。あと今日は何回積めば良いんだ?」
「今日はあと3回ですね」
小町が説明する。
「そ、そうか・・・じゃあすまないが里の者たちには何人か諦めてもらうしかないな」
「いえ、今日は確かにそうかもしれないけど、明日また人間の里に来るよ。だからまた頼みたいことがある人には来て欲しいって伝えてくれませんか?」
「わかった。じゃあとりあえず今日は数人にさせてもらおう」
慧音が里の人たちに説明し、俺は数人の頼みごとを聞くことにした。
「岳、貴方も面倒なことになったわね・・・」
紅魔館で仕事をしていると、レミリアがやって来た。
「そうですね・・・大変です」
ちなみに今日の善行は紅魔館の仕事でまだ2回しか出来ていない。
「お嬢様、何か頼みたいこととかありますか?」
「う~ん、そうねぇ・・・血が欲しいわね」
「それ以外でありませんか・・・?」
「じゃあ、私はないわね。パチェにでも聞いてみたら?」
「そうですね。聞いてみましょう」
「もしあったらまたお願いするわ」
「はい、お願いします」
俺はレミリアに一礼をすると、図書館へと向かった。




