1週間の密着取材です!3
-密着取材4日目-
基本、紅魔館の仕事は泊まり込みの2日、これが週に2回あるので合計すると週に4日ある。
実際は夕食を作り、その片付けを終えた時に仕事が終わっているのだが、鍛錬やフランと遊んだりするのでそれが終わり、紅魔館で夜を過ごした後、朝早く博麗神社に帰るというのをいつもしている。
朝早くに起きた俺は文を起こし、咲夜に一言伝えると、紅魔館を後にして博麗神社へと帰った。
博麗神社へと戻った俺は昼になるまでは部屋で寝ている。
文も疲れていたのだろう、博麗神社に戻るとすぐに眠りについていた。
「こんにちは、岳さん」
目を覚ますとそこには俺の顔を見ている少女が居た。
その少女は巫女服を着ていた。
「・・・あれ、いつから霊夢は豊胸手術を受けたんだ・・・」
最初は霊夢だと思ったがここまで胸が大きかったであろうか?
「んもう!どこ見てるんですか!」
少女は俺の頭を軽く叩く。
「ん~・・・」
俺は起き上がると叩いた少女を確認する。
「ん?なんだ、早苗か。来てたんだな」
「はい!霊夢さんがお茶を淹れている間に岳さんの寝顔を見てました!」
「ん・・・そうか・・・今度から霊夢に鍵を戸に付ける許可でももらおうかな」
「もう!」
「こら!居ないと思ったら何でここに居るのよ!」
俺の部屋の戸を開けると霊夢が怒鳴りながら入ってきた。
その声があまりにもうるさく、俺は耳を塞いでしまった。
「霊夢さん、うるさいですよ・・・岳さんが迷惑してるじゃないですか」
「迷惑なのは霊夢の声だけじゃなくて勝手に部屋に入ってくる早苗もだからな・・・」
早苗に俺は尽かさず突っ込みを入れた。
「紅魔館のバイトからの帰りだったんですよね?お疲れ様です」
「・・・今何時?」
「午前10時くらいですね」
「ん、そうか。ならそろそろ起きないとな」
俺は伸びをすると、霊夢と早苗と一緒に炬燵が置いてある部屋へと向かう。
「もう少し経つと段々と暖かくなってくる季節になりますね」
「本当だな。炬燵もそろそろしまう必要があるな」
そんなことを話しながら3人揃って炬燵へと入る。
「でもやっぱり寒いわね」
霊夢に「だな」と答える俺。
「そういえば早苗は何の用でここに来たんだ?俺の寝顔を見に来たわけじゃないだろ?」
「えへへ、実はそれもあったと言うか・・・なんて、冗談ですよ。今夜ウチで鍋をしようと思ったんですけど、その誘いできたんですよ」
「鍋・・・ねぇ・・・」
霊夢が苦い顔をした。
新年を迎える時に食べた鯉の苦玉(胆嚢)の事を思い出したのだろうか。
「今回はまともな鍋ですから安心してください。ただ、鍋の食材なんですけどそれを自分たちで獲った物だけでやってくれと諏訪子様が・・・」
「自分たちで獲った物ってことは買うってことは禁止ってことか?」
「はい、修行のためだからと言われましたが、おそらく面白そうだからと言うだけでしょうけど私も立場上断ることが出来ず」
「なるほどな・・・そりゃあ大変だな」
「はい、なので手伝ってくれないでしょうか?お礼は鍋を食べれるということで」
「私は却下。面倒よ」
霊夢は断った。
「そうですか。岳さんはどうですか?」
「ん~?楽しそうだから良いよ」
俺の返事に早苗の顔がパッと明るくなる。
「ありがとうございます!いやぁ、霊夢さんは絶対に断ると思ってたので、岳さん頼りに今日来たんです!良かったぁ。岳さんが手伝ってくれて助かります!じゃあ霊夢さん、岳さんをお借りしますね!」
早苗は俺の腕を掴むと外へと連れて行こうとしたので、俺はいつもの支度をするので待って欲しいと伝えた。
俺はいつもの支度をする。
「文も手伝ってな」
部屋を出るとき、俺はそう言って振り返る。
そこには文が居た。
「良いですよ。密着取材ですしね」
文が俺の横を通って部屋を出ようとする。
「なぁ、ところで何で俺の部屋に居たんだ?」
「いやぁ、男の部屋って何があるんだろうって物色をして痛たっ!」
俺は文の頭を木刀で小突いた。
炬燵が置いてある部屋に向かうと早苗が待っていた。
「岳さん、霊夢さんも手伝うと言うことなんで3人で・・・って、貴女居たんですね」
「岳さんの密着取材中なので」
「へぇ、岳さんの密着取材・・・って!それって寝るときも一緒・・・」
「な訳あるか!ところで、役割分担はどうする?」
話が変なところにいきそうだったので、俺は鍋の話に戻す。
「えぇと、霊夢さんが手伝ってくれるのでとりあえず霊夢さんには魔法の森で茸を採ってもらいます」
「魔法の森の茸って食べても大丈夫なのか?」
「はい、瘴気のない無害な茸でしたら問題ありません」
瘴気などで気になったが早苗が言うなら大丈夫ないのだろう。
「わかったわ。魔理沙がその辺り詳しそうだし」
「で、文さんには妖怪の山で猪などの獣を調達して欲しいのですが」
「良いですよ。ただ、私も今密着取材中なのでそこは椛に頼むとしますか」
「じゃあ俺は?」
「岳さんは霧の湖で釣りをしていただこうと思います。ただ、昼間は霧が立ち込めて近くに妖怪がいると危ないですので私が護衛でご一緒します」
「わかった」
「岳、鯉は釣らないでよ!」
「釣っても今度は俺が調理するから安心しろって」
「霧の湖ですね。なら私は先に椛に頼みに行くとしますかね。それではまた後で」
文が妖怪の山の方面に飛んでいった。
「それじゃあ私も向かいますか。早苗、岳のこと頼んだわよ」
霊夢も魔法の森の方へと向かっていったので俺と早苗も霧の湖の方向へと飛んでいった。
「そういえば釣竿なんてあるのか?」
釣りをするのなら釣竿は必須だ。
「いいえ、ないので一から作りましょう」
「え?マジか・・・」
「魔理沙~居る?」
魔理沙の家に着いた霊夢は扉を開ける。
開けた瞬間、部屋から爆発音と共に何かが爆発した。
霊夢はすぐさま扉を閉めた。
そして、ゆっくりと扉を開く。
中は所々焦げているのか焦げ臭い。
その中央の辺りに魔理沙が立っていた。
「実験は失敗、ってところかしら?」
「ん?霊夢、居たのかよ」
魔理沙は爆発で飛んでしまった三角帽子を取ると被った。
「何の用だぜ?」
「アンタに聞きたいことがあるのよね」
「じゃ、頼みましたよ」
「ちょっと!いきなり来て言うだけ言って行くつもりですか!」
文が出て行こうとしたのを椛に止められる。
「あっ、報酬として岳さんからの尻尾モフモフで」
「くすぐったいですし恥ずかしいです!」
「じゃあ耳を撫でるということで」
「せめて頭にしてください!」
木の棒を竿にして木の蔓を糸の代わりに、釣り針は針金を使って釣ることに。
「重りの石を使ったとはいえ釣れるのか?」
どう考えても子供がやるザリガニ釣りよりも酷い。
「こんなので釣りが出来たら苦労は・・・」
「釣れました!」
早苗が竿を上げるとそこにはなかなかのサイズの魚が釣れていた。
「マジか、釣れるんだな・・・」
釣った魚はフナのようだった。
「フナって鍋に合うのかな・・・」
「とりあえず食料ゲットです!じゃんじゃん釣りましょう!」
早苗が餌を付けて糸を湖に垂らすとすぐに当たりが来た。
「岳さん!また釣れました!」
「すごいな!俺なんか全然だぞ」
餌も取られていない仕掛けを確認して俺も再度湖に糸を垂らす。
すると、俺の方にも当たりが来た。
「おっ!来た!」
俺が竿を上げようとすると、竿が折れた。
木の棒から離れた木の蔓が湖の中に入ろうとする。
しかし、俺はその蔓を掴むと、蔓を引っ張り、陸に上げた。
釣れたものは、スッポンだった。
「やりましたよ!スッポン鍋なんてそうそう食べれないですよ!」
「そうだな」
大きさも40cm近くとかなり大きい。
よく針から持ってかれなかったなと感心した。
俺の竿はスッポンで駄目になったので早苗がフナやニゴイを釣った。
数はスッポンを入れて8匹と悪くない。
フナやニゴイは白身の魚だ。
切り身にして食べるのが良いだろう。
「あとは霊夢さんと文さんですね」
「そうだな。とりあえずは魚とかはこれくらいで足りるだろうし」
「岳さ~ん」
文の声が聞こえてきた。
「何が獲れたんですか?」
文が俺と早苗の釣果を確認する。
「これってスッポンじゃないですか!鍋が一気に豪華になりましたね!」
「文、そっちはどうなんだ?」
「椛の働きによりますが彼女なら大丈夫でしょう」
「なら肉も大丈夫そうですね。あとは野菜ですが・・・」
「多分大丈夫だとは思うけど、なんなら食べられそうな物でも採って行くか?」
俺の提案に2人は頷いた。
俺たちは迷いの竹林にいた。
たけのこを採るためだ。
「たけのこって鍋に入れるんですか?」
「たけのこ鍋ってのは俺も聞いたことないけど煮付けとかが上手いんだから鍋の出汁とかを吸っていい旨味が出るかもしれない」
幸い出汁は調達しなくて普段使うものを使っても良いらしい。
あとは、やっぱり白菜とか欲しいな・・・
ただ野生の白菜なんてないだろう。
今回は諦めるしかなさそうだが、自分たちで調達して鍋を作るなんて今までなかったのでこれがなかなか楽しい。
「楽しそうですね、岳さん」
たけのこを取っていた俺に文が話しかけてきた。
「ん?そう見えたか?」
「はい!」
「まぁ、楽しいな」
そう言った俺を文がカメラでカシャっと撮影した。
「でか・・・」
守矢神社に着いた俺はそう呟かずにはいられなかった。
そこには椛とおそらく椛が獲ったのだろう猪がいたのだが、この猪がかなり大きかった。
えっへんと胸を張っている椛よりも倍以上のサイズの猪が倒れている。
「こんなの妖怪の山に普通に住んでんのか?」
「そうですねぇ・・・ここまで大きいのはそうはいないと思いますよ。後輩ながら大した働きです」
「そうでしょうそうでしょう!さぁ、もっと褒めてください!」
「でも、大きいのって大抵大味だったりしませんか?」
早苗の一言に俺も「可能性はなくはないな」と頷く。
「そんなぁ!私頑張ったんですよ!」
椛は俺に涙目で訴える。
「まぁ、そうと決まった訳じゃないしな。とりあえず料理してみないと。ありがとな、椛」
俺は椛の頭を撫でると椛が気持ちよさそうに目を細めた。
「良かったですね、椛」
「ん?何がだ?」
「いやぁ、この仕事の報酬が岳さんに撫でてもらうってことでしたからね」
「そうなのか、ならもっと撫でてやらないとな」
「そんな、もう大丈夫ですので・・・」
そう言っている椛の尻尾は左右に振られていた。




